三級整備士筆記試験合格率(令和3年10月実施分)
種目 | 合格率 |
---|---|
三級ガソリン | 75.5 % |
三級ジーゼル | 68.8 % |
三級シャシ | 65.1 % |
3級自動車整備士の資格取得を目指す多くの人にとって、筆記試験の合格率や難易度については気になるところですね。
この記事では、三級自動車ガソリン・エンジン整備士、三級自動車ジーゼル・エンジン整備士、三級自動車シャシ整備士の3つの試験(筆記試験)の合格率と難易度、合格のコツなどを、一級整備士の資格を持つ筆者が詳しく説明します。
3級整備士取得を目指す人はぜひ参考にして、合格を目指してください。
※令和4年1月現在の内容です
- 3級整備士試験の合格率
- 3級整備士試験の合格基準
- 3級整備士試験の難易度
- 3級整備士試験の合格のコツ
3級自動車整備士(ガソリン・ジーゼル・シャシ)の試験は、学科試験と実技試験があります。この記事はその中の学科試験(筆記試験)についての説明記事です。また、3級整備士の種類にはバイクの整備士を対象とした「3級二輪自動車整備士」もありますが、ここでは説明しません。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
3級整備士筆記試験の合格率

合格率60~75%程度で年々上昇
上記は、(一社)日本自動車整備振興会連合会(日整連)が公表している、近年の三級整備士の3種目(ガソリン・ジーゼル・シャシ)の筆記試験合格率です。
合格率を見て、難しいと感じるかどうかは人それぞれですね。
以下、種目別に詳しく紹介します。
3級自動車ガソリン・エンジン整備士の合格率
合格率:65.9 %(過去10回平均)
試験年月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
R3年10月 | 3,527人 | 2,664人 | 75.5% |
R3年3月 | 4,172人 | 3,250人 | 77.9% |
R2年10月 | 2,351人 | 1,449人 | 61.6% |
R2年3月 | 4,043人 | 2,875人 | 71.1% |
R1年10月 | 3,644人 | 2,409人 | 66.1% |
H31年3月 | 4,229人 | 2,696人 | 63.8% |
H30年10月 | 3,811人 | 2,532人 | 66.4% |
H30年3月 | 4,701人 | 2,790人 | 59.3% |
H29年10月 | 4,217人 | 2,553人 | 60.5% |
H29年3月 | 4,542人 | 2,598人 | 57.2% |
平均 | 65.9% |
3級自動車ジーゼル・エンジン整備士の合格率
合格率:64.0 %(過去10回平均)
試験年月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
R3年10月 | 340人 | 234人 | 68.8% |
R3年3月 | 759人 | 548人 | 72.2% |
R2年10月 | 386人 | 284人 | 73.6% |
R2年3月 | 875人 | 565人 | 64.6% |
R1年10月 | 348人 | 210人 | 60.3% |
H31年3月 | 981人 | 620人 | 63.2% |
H30年10月 | 380人 | 221人 | 58.2% |
H30年3月 | 965人 | 626人 | 64.9% |
H29年10月 | 431人 | 236人 | 54.8% |
H29年3月 | 1,049人 | 627人 | 59.8% |
平均 | 64.0% |
3級自動車シャシ整備士の合格率
合格率:63.5 %(過去10回平均)
試験年月 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
R3年10月 | 931人 | 606人 | 65.1% |
R3年3月 | 1,798人 | 1,374人 | 76.4% |
R2年10月 | 926人 | 641人 | 69.2% |
R2年3月 | 2,151人 | 1,234人 | 57.4% |
R1年10月 | 1,419人 | 1,000人 | 70.5% |
H31年3月 | 2,167人 | 1,152人 | 53.2% |
H30年10月 | 1,397人 | 831人 | 59.5% |
H30年3月 | 2,435人 | 1,649人 | 67.7% |
H29年10月 | 1,519人 | 885人 | 58.3% |
H29年3月 | 2,593人 | 1,486人 | 57.3% |
平均 | 63.5% |
※3級ガソリン・ジーゼル・シャシ整備士の筆記試験は、いずれも例年3月と10月の毎年2回実施されています。
受験者の属性による合格率の違い
前述した合格率は、試験の運営をしている(一社)日本自動車整備振興会が公開している正確な合格率なのですが、実はこのデータには見えてこないものがあります。
それは、受験者の種別(属性)による合格率の違いです。
受験者は3パターン
- 働きながら整備振興会の講習を受けた人
- 高校の自動車科等を卒業した人
- どこの講習所にも通わず、自分で勉強した人
この中で、合格率が最も高いのは「1.働きながら整備振興会の講習を受けた人」です。
つまり、整備振興会の講習を受けた人は平均値より合格率が高く、それ以外の受験者は平均値より合格率が低いということになります。
働きながら整備振興会の講習を受けた人の合格率

整備振興会の講習を受けた人の合格率は75~90 %(参考程度)
全体の合格率は60 %前後ですので、振興会の講習を受けた人が合格率を大きく引き上げていることになります。
3級受験者の約半数の受験者が、整備振興会の講習を受けた人なので、振興会の講習を受けていない人の合格率は、60 %よりかなり低いということですね。
振興会の講習を受けない人は、合格率が50%程度と認識すると良いかもしれません。
整備振興会の講習
整備振興会の講習では、働きながら、半年間・週1回程度の講習を実施しますが、振興会は筆記試験合格のノウハウをかなり持っていますので、多くの人が合格します。
ただし、整備振興会の講習は、時期や時間帯、実施種目などが各都道府県によって異なることや、受講希望者数によって講習を実施しない、遠い所まで通わなければならないなど、希望通りにならないこともあるため、早めに実施状況を確認してください。
特に「3級ジーゼル」については、全国的に受講希望者が少ないため、ほとんどの整備振興会で講習を実施していない状況にあります。

試験の出題形式と合格基準
- 出題形式:四肢択一、マークシート記入式
- 試験時間:60分
- 試験問題数:30問で、1問1点の30点満点
- 合格基準:70%以上の正解(21問正解)
3級整備士試験の難易度

合格率だけを見てみると、3級整備士は2級整備士の下級の資格であるのにも関らず、2級整備士の合格率と同等か、むしろ2級整備士の合格率よりも低くなっています。(2級ガソリン・ジーゼルともに合格率65%程度)
「それじゃあ2級より3級の方が難しいのでは?」
と思う方もいると思いますが、そうではありません。教科書の内容や過去の問題を見ても3級の方がやさしい問題であるのは歴然としています。3級の合格率が低い理由は、3級を受ける受験者は学生の割合が少ないからです。
2級の受験者には専門学校等の整備士課程を卒業した人が数多くいて、彼らは多くの人が合格します。
つまり、2級の場合は学生が合格率を大きく引き上げているのに対して、3級はその多くが働きながら勉強して受験している人なので、学生ほど合格率が上がりません。
そのため、3級の方が合格率が低くなっています。(3級にも高等学校の整備士科を卒業した学生がいますが、割合はそれほど多くはなく、また、なぜか合格率もそれほど高くありません。)
そういった理由から、合格率と難易度は切り分けて考える必要があります。
難易度というのはなかなか難しい指標で、もちろん個人の感覚によって違います。この記事は私個人の見解で、説明させてもらっています。
3級整備士試験合格のコツ
- 整備士の経験が5年以上有る人でも、全く勉強しなければ、大半の人は合格できません
- 整備振興会の講習をまじめに受講すれば誰でも合格できます(教科書の内容(活字)だけでは理解できないことが多いため、講習を受けることで、圧倒的に理解度が高まり合格に近づく)
- 振興会の講習に通わずとも、整備士の経験が5年以上有る人であれば、1週間程度本気で勉強すると、合格できる可能性があります。ただし、教科書や練習問題(過去問題集)などの資料は絶対に必要です。
- 【究極】過去問が多く出題されるため、教科書を見なくても、過去10年分くらいの過去問だけを完璧に暗記することができれば合格できます。
- 教科書の内容を全て覚えようとするよりも、過去の問題をベースに教科書を開いた方が効率がいいです。
>>>【三級整備士】教科書の購入方法とおすすめの練習問題集 - 毎回のように出題される定番のラッキー問題が数多くあります。それらを覚えることから始めると効率がいいです。難しい問題は、全体の中の一部であり、それを落としても、定番の問題を全て解くことが出来れば、十分合格できます。
- 整備経験がそれほど無くても、勉強次第では十分合格できます。(学生が受かります)
- 試験時間の60分は、十分足りる時間です。実際に大半の人が試験時間修了前に退席するようですので、時間が足りなくなる心配はありません。
PR:好待遇の整備士求人情報
現在自動車整備士は人材不足。その影響から、全国どこでも自動車整備士の求人情報があふれています。同時に、かつて無かったような好条件・好待遇の求人情報も増えていて、この機会に転職を考える整備士さんが多くなっています。
好待遇の求人情報や、他工場の整備士給与が知りたい方は、試しに、求人数が多い大手転職サイトで検索してみるのが一番です。
大手求人サイトは、現在あなたに転職の意思が無いとしても、アカウント登録すれば、今すぐ無料で全国の求人情報を見ることができます。
自分の価値や業界の情報をチェックすることはとても有益です。
まとめ
- 3級筆記試験の近年の全体の合格率は60~70%程度
- 整備振興会の講習を受けた人の合格率は75~90%程度
- 整備経験者であれば、本気で1週間勉強すれば合格できる程度の難易度
- 合格するには、必ず教科書や練習問題が必要
3級整備士の筆記試験は、合格率から見ても他の国家資格に比べて、それほど難しい試験ではないと思います。受験するみなさんの検討を祈ります。
以上、3級整備士資格の難易度や合格率でした。参考にしてください。