この記事は、自動車整備士や整備工場向けに、エーミングをする条件や個人の資格について説明した記事です。少々ややこしいので、この記事で確認して下さい。
- エーミングは個人の資格ではない
- 整備工場は電子制御装置整備の認証が必要
- 認証を取るには整備主任者が必要
- 整備主任者になるには講習や試問(試験)がある
※この記事は、下記国交省作成の資料を根拠に書いています。不明な点がある場合は下記サイトをご覧ください。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
エーミングをするのに必要な条件
特定認証のうち、電子制御装置整備の認証が必要
エーミングができるかどうかは整備士個人ではなく、その工場が認証を持っているかどうかです。
そしてこの場合の認証とは、従来の分解整備の認証ではなく、新しい制度で設けられた「電子制御装置整備」の認証ですので、どの工場も新たに取得しなければならない認証であることに注意が必要です。
電子制御装置整備の認証を取得していない整備工場ではエーミングはできません。作業した場合は未認証行為となり罰せられます。
※国ではエーミング作業などのことを「電子制御装置整備」と呼んでいます。
経過措置(猶予期間)

2020年4月以前からエーミングを行っていた事業者は、2024年の4月まで継続して作業実施可能
重要なことは、経過措置(猶予期間)の対象となる事業者は、それまでエーミングを行っていた事業者のみに限られる点です。
それまでエーミング作やったことがない事業者は、2020年4月以降(既に今現在)、対象となる車両の、対象となる作業を実施できません。
対象となる車両は意外と少ない
電子制御装置整備に該当する車両は、カメラやミリ波レーダー、赤外線センサーが付いている車両が全て該当するわけではありません。
対象車両に該当しなければ、認証を持たなくともフロントガラスやバンパーなどの整備が可能なので、整備しようとする車が対象車両なのかについてはとても重要なことです。
そして、対象車両は、おそらく多くの方がイメージするよりも少なく、比較的新しい車でなければ対象とならないことはあまり知られていません。
詳しくは後述していますので、記事後半を確認してください。
電子制御装置整備の認証を取得する条件
- 適正な作業場所等があること
- 適正な工具・機器があること
- エーミングに対応する整備主任者がいること
現在すでに従来の認証を取得している事業者が新たに必要な条件は上記の3つです。
「3.エーミングに対応する整備主任者がいること」について、個人の資格のようにも思いますが、あくまで、整備工場に1人以上そういう人がいないといけないという、事業者に対する条件です。
但し、誰でも整備主任者に選任できるわけではなく、整備主任者になることができる整備士には条件があり、これは整備士個人の資格です。ややこしいですね。詳しくは後述します。
「1.適正な作業場所等があること」「2.適正な工具・機器があること」については、国土交通省のwebサイトで確認してください(記事冒頭にリンクあり)。
※従来の認証を持たず、一から認証を取得する場合には、他の条件もたくさんありますのでご注意ください。
整備主任者になることができる条件

- 1級整備士:不問
- 2級整備士:資格取得講習と試問(試験)が必要
- 3級整備士・無級:不可能
電子制御装置整備の認証に必要な整備主任者になれる条件は、整備士資格によって変わります。
注目は2級整備士です。
従来の認証制度では、2級整備士であれば誰でも整備主任者になれましたが、今回の制度改正では、2級整備士の場合は「資格取得講習と試問(試験)が必要」と条件が付きました。
資格取得講習と試問(試験)内容
学科・実習の両講習を受講→試問
2級整備士の資格を有する人は、上記流れで整備主任者の資格を取ることができます。
「特定整備の資格取得講習」と呼ばれています。
開催日、料金、申込方法等については、都道府県によって変わりますので、最寄りの地方運輸支局または自動車整備振興会に問い合わせが必要です。
1日で講習から試問(試験)まで終わる場合や、複数日に分かれて実施するところがあります。
学科、実習については、主に検知デバイスやエーミングに関わる内容についての研修に参加し、試問(試験)は学科や実習で学んだことが筆記試験として出題されます。
管轄する運輸局によっても違いがあるようですが、これまで行われた試問は、合格率99%以上のかなりやさしい問題のようです。(令和4年現在)
講習をしっかり受講すれば、特に他には勉強をすることもなく合格できると思われます。
心配であれば、ネット上で「特定整備_資格取得講習_過去問」を検索して確認してください。
出題形式と合格点
項目 | コメント |
---|---|
出題形式 | 四視択一式 |
出題数 | 10問 |
試験時間 | 不明 |
合格点 | 80%(8問) |
電子制御装置整備に該当する車両

比較的新しい車
対象車両は、メーカーによっても大きく異なりますが、2019年頃から販売された比較的新しい車両がほとんどです。国土交通省のwebサイトで確認してください。
カメラやミリ波レーダー、赤外線センサーが付いている車両が全て該当するわけではないので、必ず調べることをおすすめします。
ここにある対象車両に該当しなければ、ガラスやバンパーの交換作業をしても電子制御装置整備に該当せず、エーミングをするのに認証はいりません。また、記録簿への記録・保管義務もありません。
電子制御装置整備に該当する整備とは
エーミングが必要となる整備
エーミングが必要となる整備は車種によっても変わります。
具体的には、
自動運転や自動ブレーキに関わるECU、カメラやセンサー、それらに関係を及ぼすフロントガラスやフロントバンパーの整備
整備とは交換だけでなく、脱着を含みます。
ポイントは、該当するのは車両前部に装着されるものに限られ、車両後ろに装着されるカメラ、センサー、バンパーは該当しないことです。
詳しくはメーカーのマニュアル等を参照してください。
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まとめ
- エーミングは個人の資格ではない
- 整備工場は電子制御装置整備の認証が必要
- 認証を取るには整備主任者が必要
- 整備主任者になるには講習や試問(試験)がある
以上、自動車のエーミングをするのに必要な資格/資格取得講習や試験についてでした。