- 車の修理を工場に依頼したけど、キャンセルしたい
- 整備工場ではキャンセル料が掛かるの?いくら?
整備工場の予約や作業について、キャンセルできるのかどうかを疑問に持つ人は多いです。
この記事では、整備工場の修理予定のキャンセル制度について、元ディーラー整備士の管理人が詳しく答えます。
- 自動車の修理依頼のキャンセルの考え方
- キャンセル料が掛かる整備と掛からない整備
記事の内容は私が勤務していたディーラーでの対応であり、一例です。全ての整備工場がこのような対応をするとは限りませんのでご注意願います。また、法的にどうなのかについては専門家ではないので触れることができません。一般的な話として読み進めてください。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
キャンセル料の決まりがある工場は少ない
整備工場にとって、修理依頼のキャンセルというのはそう多くはないので、明確な決まりがある工場は少ないです。
通常、修理の説明を受けたお客さんが修理を迷っている場合は「ちょっと考えます」とその時に言ってきますので、予約が成立せずキャンセルとはなりません。
また、お客さんが他と料金比較したい場合は「見積もりだけください」と言われますので、これも予約が成立しません。
「直します」とはっきり言われてから、「キャンセルさせてください」とうケースはそう多くありません。
整備工場側での修理キャンセルの考え方
- なじみの客かどうか
- 今後もひいきにしてくれるか
- キャンセルしたい理由
私が整備工場の責任ある立場だった場合、上記の3つをよく考慮して、キャンセル料などを考えます。決まりや、損害などあったとしても、まずはこの3つの視点から対応を考えます。
今後もひいきにしてくれそうななじみのお客さんが、困っていて、キャンセルの理由がしょうがないような事であった場合、こっちに損害があっても本来必要なキャンセル料をもらわないこともあります。
そもそも整備業界では、キャンセル料が設定されている整備工場は少なく、その都度個別に対応しています。
まずは、相談してください。しっかり理由を説明すれば、キャンセル料がかからないように解決できることも多いです。信頼関係を築くこともできます。
キャンセル料の考え方まとめ
- キャンセル料の決まりがある工場は少ない
- 実害があればその分は請求したい
- いろいろと準備しているので、人件費(手間賃)はもらいたいけど、もらいにくい
- 余計にもらうつもりは全くない
既に掛かった分は請求されることが多い
- 修理に必要な部品を発注していた(返品不可部品)
- 台車のレンタカーを手配していた
整備工場はこのようなケースの場合に、既に掛かった費用をしっかりと説明し、納得を得たうえで請求します。
自動車の部品は高額なものも多いので、高額なキャンセル料になることも多いですが、修理する際の部品を事前に手配することは、整備工場にとって必要なことです。既に注文して、返品できない部品の料金をいただかなければ、整備工場はやっていけません。
自動車部品の返品
自動車の部品はメーカー、車種、年式によって違います。ディーラーといえど、在庫している部品はほんの一握りで、それ以外の部品は他の卸業の会社に発注しています。そして、ほとんどの場合で返品・キャンセルできません。
お客様に請求できない場合は、そのままその工場の負担(在庫/赤字)になってしまいます。
実費以外の請求はしない
私の知る限り、高いキャンセル料金を請求する工場はない
キャンセル料がかかる場合でも「掛かってしまった実費相当をキャンセル料としてもらう」という工場が、圧倒的に多いです。
悪意があるほど高いキャンセル料金を請求された場合は、専門家に相談することをおすすめします。
人件費(手間賃)は請求されない事が多い
見積もりや準備に掛かった手間は請求しない整備工場が多い
作業内容にもよりますが、私が勤務していたディーラーでは、よっぽどのことでない限り請求しませんでした。よっぽどのこととは、非常に多くの時間を費やした場合です。
車を点検・診断して、全ての値段を出して見積もりをする。見積もりは、整備工場のプロの整備士にしかできないことで、整備工場側ではなるべく料金をもらいたいですが「また、来てください」という意味を込めて、請求しない整備工場が多いようです。
キャンセル料が掛からない整備
- 車検
- 点検
- オイル交換など、軽微な作業
上記の整備は基本的にキャンセル料はかからないと思っていいでしょう。
但し、実際に車両を事前に点検・見積もりを実施していて、部品の手配が済んでいた場合は掛かる可能性があります。
キャンセル料が掛かる可能性がある整備
- 事故整備(板金整備)
- エンジン脱着などを伴う、おおがかりな整備
上述した通り、部品の手配が既に済んでいて、返品出来ないような場合には、実費相当分は請求されます。上記のような内容の整備は、返品できない部品が多いので結果的にキャンセル料が掛かる可能性が高いです。
また、キャンセルの時期が重要で、部品が整備工場に届く前であれば、なんとかなる場合もあるので、キャンセルする場合はなるべく早くその旨を伝えることが重要です。
特に、板金作業の整備では部品が高額になりがちなので、注意が必要です。
まとめ
キャンセル料などの決まりがある整備工場は少なく、個別の事案ごとに対応しています。そこで、なるべくキャンセル料がかからないようにするために、次のことを実施してください。
- 早く連絡する(部品の発注が済んでいなければ、キャンセル料が掛からないことが多いため)
- 理由をしっかりと説明する
- 悪意が無いこと、今後も入庫するのであれば、その旨をしっかりと伝える
もし、何らかの事情で整備作業の依頼をキャンセルしたい場合は、上記の対応をすることが重要です。
以上、車の修理依頼のキャンセルは料金がかかるのかについての記事でした。