出張整備のSeibii(セイビー)を整備士・整備業界目線から考える。

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最近、出張自動車整備Seibii(セイビー)なるものが話題になっている。

オイル交換やタイヤ交換などを、自宅でしてくれる出張サービスだ。

長く整備業界に携わるが、その手のサービスはあまり聞いた事がない。

自動車整備業界を知らない、新手のベンチャー企業のたくらみだろうが、海外ではそのようなサービスが成り立っているという。

この記事では、主に整備士または整備事業者の目線で、この出張自動車整備なるものを考えてみよう。

 

出張自動車整備Seibii(セイビー)

 

Seibii(セイビー)の特徴は次のとおりだ。

1.ネットで注文、あとは自宅で待つだけ

2.明瞭な価格、見積以上の請求はなし

3.ディーラーよりも低い料金設定

4.副業の整備士が在籍

5.整備士の働き方は自由、時給2500円以上

今回はあくまでも整備士目線でSeibii(セイビー)の価値について考えたい。

一般の自動車ユーザーにとって、このサービスにメリットがあるかどうかは、Seibii(セイビー)のホームページかこちらのサイトで確認して欲しい。

自動車整備の出張サービスを行う新事業が躍進か!?|Seibii(セイビー)の魅力とは
あなたは自宅でオイル交換などをしてくれるサービスをご存知ですか?これまでの自動車整備の常識は、「整備工場に車を持っていく」または「整備工場が車を取りに来る」のいずれかです。しかし今、自宅や会社で自動車整備を行う出張自動車整備サービスが大変話

 

整備士の働き方

 

Seibii(セイビー)では国家資格を持つ整備士を今もホームページ上で募集している。

その働き方はフルタイムでも、夜だけ、休日だけなどの副業でも良いらしい。

副業の場合は、仕事の依頼があった場合のみの労働となる。

 

例えばユーザーからインターネットを介して仕事が入った場合、Seibii(セイビー)の運営から、登録している整備士個人に対して、日時と場所、仕事内容などを伝えられ、作業を実施してくれないかと依頼が来る。

条件が合えば、ユーザーの自宅などに出張し、依頼された整備を行う。

もちろん断ることも可能だ。

 

整備士の報酬

 

仕事を依頼した自動車ユーザーは、事前にクレジットカードなどでオンライン決済をしているため、整備士に対して料金を支払うわけではなく、整備士は運営側から報酬をもらうこととなる。

報酬は時給2,500円以上とホームページに記載がある。

つまり、オイル交換が5000円だとして、その作業を整備士がする。

オイル交換に苦労して、2時間かかってしまったとしても、整備士はちゃんと2時間分の報酬が得られる。

運営会社はお客様から5000円もらったのに、整備士に2時間分の報酬5000円を支払ってしまえば、利益は0となる。

運営は知らないが、整備士は働いた分は必ずもらえるという仕組みらしい。

 

 

ちなみに交通費などについてはHPには書かれていない。

また、工具や交換部品の手配、廃棄物の処理などをどうするのかは不明である。

 

作業内容

 

作業内容はホームページに記載があるが、それほど多くの種類はない。

オイル交換、ドライブレコーダー取り付け、バッテリー交換、エアコンクリーニング、故障診断などである。

もちろん、分解整備を必要とするブレーキパッドの脱着などの作業はない。

 

ちなみに、出張整備を提案できる理由として、ホームページ上に次のようなことが書かれている。

なぜSeibiiにそれができるのか?

整備や修理メニューの80%以上は、大掛かりな設備を必要としません。 残り20%の作業のために、ディーラーや整備工場は設備に投資しています。 また、多くのディーラーにはノルマがあります。交換部品に、OEM品(医薬品でいうジェネリック)、リビルト品、リサイクル部品を使えないケースが一般的で、 高価なメーカー純正新品部品を売ることも営業の一部です。 残念ながら、あなたを担当する営業マンは、本当に必要な整備・修理メニューを提案しているとは言えないのです。 Seibiiは、不要な設備も営業ノルマに悩む営業マンも、抱えていません。 Seibiiで働く整備士は、純粋に自動車の整備・修理が好きな、技術者です。 だから、Seibiiはお客様に本当に必要なサービスを、適正な価格で提供できます。

 

ほとんどの整備作業は、青空の下、どこでも整備できるとのことだ。

整備士の仕事をずいぶん軽く見られたものだ。

まあ、完全に「そうではない」と否定できるかというとそうでもないが、自動車整備にイレギュラーは付き物だ。

腕のいい整備士になればなるほど不安が伴うだろう。

また、これについては賛否両論あるだろう。

 

働きたい整備士はいるか?

 

この令和の時代に、何の設備も無い屋外で、オイル交換をしたい整備士はいるだろうか。

 

現在の自動車整備士の労働環境改善の流れ、環境問題に対する取組みに逆行している。

雨や風がひどかったらどうする。

途中でボルトを折ってしまったらどうする。

オイルをこぼしてしまったらどうする。

整備士なら誰でもそう考えるだろう。

 

いやしかし、整備士は作業内容や報酬によって考えるかもしれない。

例えばドラレコ取り付けなら、比較的作業は簡単だ。

休みの日に近くの場所で2時間程度でドラレコ取り付け、報酬5000円。

それほど悪くないかもしれない。

なにせ自動車整備士は薄給だ。

私もギャンブルに負けた日にバッテリー交換などの依頼があれば、仕事を請ける可能性は否定できない。

このあたり、現役自動車整備士のみなさんはどう思うだろうか。

 

事業として経営が成り立つか

 

経営が成り立つかどうかは「ほっとけ」と言われそうだが、少し考えてみたい。

経営があやしい会社と付き合うのはみなさんもゴメンだろう。

 

わずかな出資金でちまちまやるには、かなり難しいのではないかというのが私の考えだ。

ユーザーにとって有利な価格設定であることや、整備士に対する報酬、サービスの内容が限定的なことなどを考えると、小規模なビジネスではそう楽に儲けることはできないだろうと思う。

信頼できる保証制度などを作るのにも多額の資金がいるだろう。

しかし、少なくともこれまでの整備業界の常識から大きく離れているため、私の考えられる範囲を超えていて「よくわからない」というのが本音だ。

 

そして、Seibii(セイビー)は、ちまちまやる気は無いらしい。

経営者は今どきの優秀な若い企業家のようだ。

インターネットによって幅広く顧客を集め、リピーターを作れれば、大きく事業を展開できる可能性があるかも知れないとも思う。

インターネットビジネスの破壊力は計り知れないことはもはや周知の事実だ。

現にアメリカやイギリスでは、このような出張自動車整備サービスが既にある。

実に面白いので、興味のある人は覗いてみるといい。

Yourmechanic(アメリカ) ( https://www.yourmechanic.com/ )
Wrench(アメリカ)( https://wrench.com/
ClickMechanics(イギリス) https://www.clickmechanic.com/

 

最後に

 

出張自動車整備Seibii(セイビー)は、少しずつ事業を広げている。

一般ユーザーにとって、自宅で自動車整備をしてくれるサービスはメリットととらえる人も多く、一定の需要があるだろう。

今後、大きく成長するサービスなのかもしれない。

 

そして、整備業界からは次のような反発もあるだろう。

・国の認証を持たない整備事業を大きく展開することに対する整備業界の反発

・整備士の育成に繋がらない整備事業を大きく展開することに対する整備業界の反発

・引き抜きや副業あっせんに対する他の整備事業者からの反発

 

しかし、最も重要なのは、一般自動車ユーザーからそのサービスの価値を認められることと、そこで働く整備士からも価値を認められることではないだろうか。

もし、多くの自動車整備士がその価値を認めるのであれば、出張自動車整備業は整備業界に大きく認められることになるだろう。

 

出張自動車整備Seibii(セイビー)の今後に注目したい。

 

転職整備士.net

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