こんなことを誰かに聞いたり、そんな記事を見た事がある人も多いのかなと思います。
それが本当なら、乗っている人はとても気になりますよね。
この記事は、アイドリングストップ付き車のバッテリーについて一級整備士の解説です。
・アイドリングストップ車に乗る人が気をつけること
・アイドリングストップ付き自動車用バッテリーの特徴
・アイドリングストップ車に普通のバッテリーは使えるか
アイドリングストップ車に乗っている人が気をつけること
アイドリングストップ車はバッテリーの劣化が早い!?寿命が短い!?
これも世間でよく言われていることですが、ちょっとニュアンスが違います。
アイドリングストップ車は信号待ちでエンジンが停止します。
エンジンを止めるということは、動き出す時にまたエンジンを始動しなければなりません。
自動車はエンジンを始動するとき(クランキング時)に最もバッテリーの電気を多く使います。
なので、何度もエンジンを始動するアイドリングストップ車は、バッテリーへの負担が、そうでない自動車に比べ何倍も大きくなります。
しかし、バッテリーの寿命が短い、上がりやすいかと言うと必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、各自動車メーカーはその問題に対する様々な対策を施しているからです。
次にその対策を紹介します。
バッテリー上がり・早期劣化に対する対策
バッテリーの負担が大きいアイドリングストップ車には、自動車メーカーがいろんな対策をしていますね。
1.高性能バッテリーの搭載
アイドリング・ストップ車には専用バッテリーが搭載されています。
アイドリングストップ車に通常性能のバッテリーを搭載すると、度重なる始動(クランキング)に耐えきれず、すぐ上がってしまう等の不具合が起きます。
アイドリングストップ車には、普通の自動車のバッテリーよりも高性能なバッテリーを搭載することで、バッテリー上がりや早期劣化を防いでいます。
これはアイドリングストップ車用(IS用)バッテリーです。
でも、実は特殊なバッテリーではなく、構造などは普通のバッテリーとなんら変わりありません。
しかし、一般の人にわかりやすくするため、IS用バッテリーという規格を作り、アイドリングストップ車に性能の低いバッテリーを搭載されるのを防いでいるのだと思います。
専用バッテリーの値段
アイドリングストップ用バッテリーの値段は、同サイズの場合、一般的なバッテリーの1.2倍から2.0倍くらいの値段です。
需要が増えてきたため、最近は値段が下がってきているようです。軽自動車の場合、6000円~1.5万円ほどとなっています。
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2.充電量制御
難しそうな単語が出てきましたが、そんなに難しくありません。
「スマホを常に充電していると、電池が劣化する」と聞いたことがありませんか?
自動車のバッテリーも全く同じです。
現在の自動車は「あんまりお腹いっぱいにならないように」「あんまりお腹が空かないように」ある一定の充電量を保つようにシステムが作られています。
これを充電制御といい、アイドリングストップ車でなくとも、現在の自動車はこういった制御がされています。
アイドリングストップ車は、この、緻密な充電制御でバッテリーの早期劣化を防いでいます。(燃費も向上します)
3.劣化したらアイドリングストップしない機能
アイドリングストップ車は常にバッテリーの状態を監視しています。
「2.」で書いた充電制御システムも、バッテリーの状態を監視しているからなせる技です。
バッテリーから出て行った電気の量、バッテリーに充電された電気の量、今現在のバッテリの電圧、指導時(クランキング時)のバッテリーの電圧、それらを常にコンピュータが監視し、バッテリーが弱ってきたらアイドリングストップすることをやめます。
アイドリングストップをやめることで、それ以上バッテリーが劣化することを防ぎ、さらにメーター内のチェックランプを点灯させ、ドライバーに修理(バッテリー交換)をうながします。
このように、自動車メーカーはいろんな対策していますが、もちろんこれだけではありません。
アイドリングストップ車に普通のバッテリーは使えるのか
・搭載は可能
・早期劣化の可能性大
・バッテリーが上がりやすくなる
・車が壊れたりはしない
・チェックランプが点灯する可能性有り
現在は、普通のバッテリーと値段がそんなに変わらないので、専用以外を取り付けるメリットがありません。
応急対応時以外では、確実にIS専用バッテリーを使用するようにしましょう。
まとめ
自動車メーカーは様々な使用環境を想定して、自動車を作っています。
きっとあなたが思う以上に、激しい使われかたをした場合も想定しています。
何も心配ありません。普通に乗ってください。
ただし、運転や維持管理の方法によっては、燃費やバッテリーの寿命に影響が出ることはあります。
しかしこれは、アイドリングストップ車でなくても、全く同じことです。
アイドリング・ストップ機能を停止したい
「そもそもアイドリングストップなんてしなくていい」
「とても運転しにくいし、わずらわしい」
などと思う人も多いです。
機能を停止したい場合は「OFF」スイッチを押してください。
オフスイッチを押せば機能を停止します。
しかし、一度エンジンを切ってしまえば、スイッチはまた元に戻ってアイドリングストップしてしまいます。
このようなスイッチを私は「イッテコイスイッチ」などと呼んでいます。
毎回毎回押さなければならないので、わずらわしく感じる人も多いと思いますが、これは仕方のないことです。不便かもしれませんが、これは法令上も決められています。
また、エアコンのフロントガラスから風を出す(デフロスタ)機能を使うことで、アイドリングストップを禁止します。これはあまり知られていません。
「アイドリングストップなんていらない」という人は、ぜひ機能を停止してください。私は常にOFFにしています。
以上、アイドリングストップ車のバッテリーについてでした。
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