整備士の資格は全て学科試験と実技試験の両方に合格しなければなりません。
しかし、実技試験が免除になる制度があるため、なかなか実技試験を受験する人がおらず、周りにも経験の有る人がなかなかいないのが現状です。
この記事では、実技試験とは何か、実技免除とは何か、整備士資格制度の内容や、メリットやデメリットについて、あらためて実技試験の価値について整備士ねっとチームが解説します。
- 自動車整備士の資格の実技試験の内容
- 実技試験を受験するメリット・デメリット
整備士資格の取得方法

整備士資格の取得方法のおさらいです。
整備士の資格を取るためには、学科試験と実技試験に合格しなければなりません。これは1級、2級、3級、特殊の全ての試験で同じです。また、実技試験は学科試験合格後でなければ受験する事ができません。
さらに、学科試験に合格しても2年間で効力を失います。
まとめると、こうなります。
学科試験に合格 → 2年以内に実技試験に合格 → 資格取得
上記の資格取得方法がが基本となりますが、実技試験に限っては、免除される制度がありますので、次にご紹介します。
実技試験の免除制度
実技試験免除とは、その名のとおり、学科試験にのみ合格すれば、実技試験に合格しなくとも資格が取得できる制度です。
実技試験が免除となる条件
- 高等学校、専門学校、大学等の自動車整備士課程を修了して2年以内の者
- 自動車整備振興会等の講習を修了して2年以内の者
上記、いずれかが当てはまれば、実技試験が免除になります。
例えば、高等学校の自動車科などを修了(卒業)すると、3級の実技試験が免除になります。専門学校の2級課程を修了(卒業)すると、2級の実技試験が免除となります。
同様に整備振興会の1級課程、2級課程などを講習を修了すると、それぞれの級の実技試験が免除となります。
しかしその効力は、いずれも修了して2年間となっており、修了して2年間の内に学科試験に合格できなければ、効力を失います。
専門学校等に一定期間就学し、せっかく実技試験免除となる資格を得ても、学科試験に合格できず、2年を経過してしまうことは、本当にもったいなく残念なことですが、現実にそういう人も多数存在します。特に1級小型自動車整備士の学科試験については、1年に一度しか実施していないため、2年間の効力があるといっても、チャンスは2回しかないことになり、専門学校等の1級整備士課程を修了した人で、結局1級の資格を取る事ができなかった人が一定数存在します。
多くの人が実技免除で取得
実技試験免除の制度は、全ての級において幅広く活用されており、整備資格を取得する人の9割以上がこの制度により、実技試験を免除され、実技試験を受験せずに資格を取得しています。
理由は、実技試験は難しい試験であり、合格率は低いことが挙げられます。学科試験に合格さえすれば、確実に資格が取得できる「実技免除」の手段を取る人が多のは当然かも知れません。
そのような状況から、現在、実技試験を受験する人が少なく、実技試験自体も大都市などの限られた会場で、少人数で実施されている状況にあります。
実技試験の実施状況や合格率については次の記事をご覧下さい。

受験者数が少ないと言っても、実技試験を受験して資格を取得する方法には、デメリットだけではなく、メリットも多数あるため、選択肢の一つとして考えてみる必要があります。
実技試験を受けるメリット
1.時間が節約できる
働きながら資格取得を目指し、さらに実技試験の免除を受ける場合には、自動車整備振興会の講習に通うしかありません。
実際にこの方法で資格を取得する人は数多くいますが、2級3級であればおおよそ半年間、週に1回くらいのペースで講習を受講しなければなりません。(1級はもっと長い)
講習に行っている時は当然働くことができませんので、「仕事が忙しくて講習に通えない人」や、「講習に通うことを社長さんが許してくれない」ケースも出てきます。
しかし、実技試験を受験する方法においては、試験の日のたった1日で全てが終わります。
この時間の節約は大きなメリットです。
2.お金が節約できる

最もお金をかけずに資格を取得する方法が、実技試験を受験する方法です。
専門学校に通うには、相当なお金がかかります。整備振興会の講習はそれほど高額ではありませんが、やはり講習代がかかります。
実技試験を受験する方法であれば、試験手数料12,000円のみです。
但し、受験会場が10都市に限定されているため、会場までの移動手段や、宿泊必要な場合の宿泊代などはかかってしまいます。
実技試験を受けるデメリット
1.不合格のリスクが高い
実技試験は合格率が低く難易度も高いため、不合格になるリスクがあります。前述した通り、実技試験の合格率は高くありません。
これが最大のデメリットであり、そのリスクを回避したいため、ほとんどの人が実技免除を選択しています。
お金や時間がかかっても、確実に資格が取得できる実技免除を選ぶ人が多いということです。
もし、学科試験合格後、2年以内に実技試験に合格できなければ、もう一度学科試験からやり直しとなりますので、結局時間がかかるのではないかと言う人もいます。
2.試験会場が遠い場合、受験が大変
実技試験は大きな都市でしか実施されません。
そのため、人によってはかなり遠いところまで行って受験しなければならず、場合によっては前日に宿泊しなければならないかもしれません。
極端にいうと、沖縄の人が東京で実技試験をするのはそうとうハードルが高いですよね。(実際に2級シャシの実技試験は例年東京でしか実施されていません)
まとめ
実技試験を受けて資格取得を目指す方法のメリット・デメリットは次のとおり
- メリット→お金と時間がかからない
- デメリット→合格率が低い、試験会場が遠い場合受験が大変
以上、自動車整備士資格、実技試験のメリット・デメリットについての説明でした。
その他、実技試験の合格率や内容についてはこちらの記事をご覧ください。