トヨタの車のサブスク「KINTO」は、任意保険が月額料金に含まれるなど、保険について、他のカーリースとは大きく違うところがあります。
KINTOの保険を知ることは、自分に合っているのか、安いのか、高いのか、損しないのか、失敗しないのかを検討する上で、最も重要なことと言っても過言ではありません。
この記事では、KINTOの保険の特徴や仕組み、実際に事故が起こった場合にどうなるかなど、KINTOの保険の詳細について、自動車整備のプロでもある、整備士ねっとチームが解説します。
KINTOの仕組みや申込み方法詳細はこちら
>>>トヨタのサブスク「KINTO」/仕組みや特徴、よくある疑問を整備士ねっとが総まとめ
KINTOの任意保険4つの特徴
- 任意保険が定額料金に含まれている
- 今までの任意保険の等級が関係ない
- 誰が運転しても保険適用
- 車両保険が付く(5万円負担)
KINTOの保険には、他のカーリースと違った大きな特徴が複数あります。しっかり確認しましょう。
1.任意保険が月額料金に含まれている
KINTOでは任意保険料が月額料金に含まれます
任意保険が月額料金に含まれているということは、保険会社をえらんだり、保証内容を決めたりすることはないということで、KINTOの加入者は全て同一の保険に入り、同様の補償内容となります。また、一年ごとの面倒な保険継続の手続きもありません。
任意保険が含まれない一般的なカーリースでは「頭金不要、毎月定額料金」というサービスの場合でも、任意保険は個別に自動車保険会社と契約して、別途支払う必要があります。
任意保険の料金は、自動車の維持費の中でも大きな負担になることが多く、特に若い世代の任意保険料は非常に高額で、人によっては年間数十万円の負担になっている場合があります。
一般的なカーリースでは、この高額な任意保険の料金を別に支払いながら、カーリースの月額料金を支払って維持していくことになります。つまり、他のカーリースでは「実際はその月額料金では車に乗れない」ということです。
KINTOでは任意保険が月額料金に含まれているので、月額料金は実際の維持費にかなり近くなります。トヨタがKINTOサービスを「車のサブスク」と名売っているのはこのことからです。
もちろんその分、KINTOの月額料金は一見して高いですが、任意保険料の要素を考えて、他のカーリースとで比較・検討することが必要です。
一般的なカーリースでは、車検時に支払う「自賠責保険」が含まれることが多いですが、「任意保険」も月額料金に含まれるのは、KINTO最大の特徴と言えるかもしれません。
2.今までの任意保険の等級や年齢が関係ない
- これまで加入していた任意保険の等級が引き継がれない
- 年齢、等級に関係なく、誰が契約者であっても料金は同じ
KINTOでは、初めて保険の契約をする20歳の若者でも、無事故を続けて20等級まで進んだ人でも、月額料金は同じです。過去の事故歴も関係なく料金は同じです。
さらに、そもそもKINTOの保険には「等級」という概念がありません。
契約期間中に、事故を一度も起こしてない人も、事故を5回起こした人でも、月額料金は一定で変わることはありません。
KINTOは、東京海上日動とKINTOユーザー全員が契約しているという仕組みで「等級なし」を実現しています。
つまり、損する人と得する人がいます。
「等級の低い人・近年保険事故歴がある人・若い人」は得となり、「等級の高い人・保険事故歴のない人・35歳以上割引が適用される人」は損となるのがKINTOです。
KINTOを利用するかどうかの最大のポイントは、「現在のあなたの等級や保険事故歴・年齢」ということになります。
トヨタの公式webサイトにもこのようにFAQが掲載されています。
引用ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
- KINTOを利用する際、現在の保険の等級は引継ぎできますか?
-
現在の自動車保険(任意保険)の等級の引継ぎはできかねますが、KINTO専用の自動車保険(任意保険)がサービスに含まれており、車両保険や特約(弁護士費用、ロードサービス等)も付帯した充実の補償内容となっております。またご自身の自動車保険(任意保険)は、「中断制度」※もご利用ください。
中断期間、制度はご加入の保険会社により異なります。詳細につきましては現在ご加入の保険会社にご照会ください。
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これには驚かれる人が大半だと思います。
>>>【KINTO】公式ページ
3.誰が運転しても補償される
KINTOの任意保険は、誰が運転していたとしても補償されます
家族、親戚、友達、誰が運転して、事故を起こしてしまっても、保険が適用されるので安心で、利便性も増します。
- 友人との旅行などドライブ途中で運転者を交代する
- 普段は運転しない帰省中の家族がちょっとした移動に使う
このようなシーンでも全て補償の対象になるので、保険のことを気にすることなく好きなように車を使うことができます。
通常の保険での運転者の限定
通常、任意保険には、運転者限定特約というものがあり、運転する人を限定することで割引となる仕組みがあります。
下記は運転者限定特約の一例で、乗る人を限定しない場合は割引がなく保険料は高額になります。
運転者 | 割引 |
---|---|
「家族限定」本人のみに限定 | 割引大(安い) |
「家族限定」本人と配偶者に限定 | 割引中(安い) |
「家族限定」同居の親族・別居の子供(未婚)に限定 | 割引少 |
乗る人を限定しない | 割引なし(高い) |
さらに、年齢条件を設定することでも保険料が変化します。
下記は年齢条件の一例で、年齢を問わず補償する場合は、割引がなく保険料は高額になります。
運転者 | 割引 |
---|---|
35歳以上に限定 | 割引大(安い) |
26歳以上に限定 | 割引中(安い) |
21歳以上に限定 | 割引少 |
年齢を限定しない | 割引なし(高い) |
さらに、メインで運転する人の免許証の色(グリーン・ブルー・ゴールド)によって料金が変わります。
KINTOでは、乗る人を限定せず、乗る人の年齢も、限定しません。唯一の条件は「契約者が認めた人」です。これは限定なしと同じことです。
KINTOは通常の自動車保険の場合には、最も高額な保険料となる条件で契約されていることになり、とても利便性が高く安心できると言えます。
4.車両保険が付帯(5万円負担)
KINTOの保険には車両保険が付いています
車両保険とは、自分の車の修理費などを補償するもので、自動車保険に付帯するものの中では高額な補償です。
車両保険に加入している場合、自分でどこかに車をぶつけてしまった場合にも、補償されますので、とても安心できる保険です。
ただし、KINTOでは5万円の免責が付きます。
例えば、自分で自宅の車庫にぶつけてしまい、30万円の修理費用がかかる場合、そのうちの5万円は自己負担となります。自己負担の上限額は5万円なので、修理費が100万円かかったとしても、最大で5万円の自己負担となります。
以下に、KINTOの車両保険で保証対象になる例をKINTO公式webサイトから引用します。
車両保険の補償対象となる主な事故例
- ガードレール・電柱・自転車に衝突
- 当て逃げ
- 車庫入れに失敗
- 墜落・転覆
- お車同士の衝突
- 二輪自動車・原動機付自転車との衝突
- 火災・爆発
- 盗難
- いたずら・落書・窓ガラス破損
- 飛来中・落下中の他物との衝突
- 台風・竜巻等の強風・雹(ひょう)・雪・洪水
※地震もしくは噴火またはこれらによる津波による損害は、車両保険では補償されません
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KINTOの任意保険の補償内容
- 対人・対物賠償無制限
- 人身傷害補償保険1名につき5,000万円まで
- 車両保険(免責金額5万円)
- 弁護士費用特約
- ロードアシスト
- レンタカー等諸費用アシスト
- 事故現場アシスト
KINTOの保険の補償内容は、一般的な自動車保険のフルカバータイプです。
一般的には、これだけの保険内容である場合、年齢条件などによって、保険料が年間35万円を超える場合があります。(実際に通販型保険のシミュレーションを複数条件で実施した結果)
一般的にはKINTOの保険の保証内容に不足はなく、内容が充実していると言えます。
ただし、「他社運転特約」が付帯されていないことには注意が必要です。
他の車の運転中の事故は補償対象外
KINTOの保険は、契約車両を運転している時のみに対応しているため、家族や他の人の車を運転している時の事故の補償は受けられないことに注意が必要です。
一般的に自動車保険には、いわゆる「他車運転特約」が自動で付帯されています。
他車運転特約とは、自動車保険の被保険者(契約者)が、友人や知人などの第三者の車を借りて運転した際に交通事故を起こしてしまって法律上の賠償責任を負った際、当該交通事故を自分が契約している車の事故とみなして、契約者の契約内容に基づいて補償する特約です。
KINTOで契約車両以外の他の車を運転する際には、別途保険に加入する必要がありますので注意が必要です。(自賠責保険の補償範囲内は有効です)
>>>【KINTO】公式ページ
KINTOの保険に関するメリット・デメリット
「誰でも料金が同じ」がメリットにも、デメリットにもなる
KINTOの保険の特徴は「誰でも料金が同じ」という点にあるため、人によってメリットにもデメリットにもなります。簡単に言うと若い人にはメリットが大きいです。
得する人(メリット大きい人) | 保険の等級が低い人・年齢が若い人・近年保険事故歴がある人・免許証の色が「グリーン・ブルー」の人 |
損する可能性がある人(メリット小さい人) | 保険の等級が高い人・年齢が35歳以上の人・近年保険事故歴がない人・免許証の色が「ゴールド」の人 |
「得する人」の条件に当てはまれば当てはまるほど、KINTOは安いです。例えば、20歳以下の人が新車を購入して、年間35万円以上にもなる保険料を支払うことを考えると、誰でも料金が同じであるKINTOのメリットは大きくなります。
一方で、保険の等級が進んでいるベテランドライバーのメリットは小さくなるため、慎重な検討が必要です。
実際に、KINTOは若い人を中心に加入者が急増しています。
これまでの保険の等級はムダになる!?
中断制度を利用することでムダにはならない
自動車保険の中断制度とは、一定期間、自動車保険の契約を休止し、再開したときには等級を引き継ぐことができるという制度です。KINTOの公式サイトでも、中断制度を利用することをすすめています。
中断制度は、保険会社に中断期間を申請し、承認された場合、その期間中は保険契約が無効になり、保険料を支払わなくてもよくなります。
中断制度については、保険会社によって異なる規定があるため、ご契約の保険会社に問い合わせることが必要です。
KINTOで事故を起こした場合
KINTOで事故を起こした場合どうなるかについては、「全損事故」か「修理可能な事故(分損事故)」かで異なります。
- 全損事故とは
-
全損事故とは、保険の対象となる自動車が修理不可能な状態になること、あるいは修理はできるものの、修理費用が時価額を上回ることを指します。
全損事故の場合
- 強制中途解約
- 自己負担なし
- 30日間自己負担なしで代車が借りられる
全損事故となった場合、借りている車が無くなることになりますので、KINTOの契約は強制的に中途解約することになります。
一般的なカーリースでは、契約車両が全損した場合には、違約金などのペナルティがありますが、KINTOで全損事故を起こした場合には、自己負担はありません。
全てが契約前の状態にリセットされるので、また新たにKINTOで他の車を契約するか、KINTOをやめて購入するか選択することができます。KINTOでまた同じ車種(新車w)を選んで同じ月額料金で新しい車に乗り始めることも可能です。
また、突然車が無くなることになるので、一時的に代車が必要になることが多いですが、その場合でもKINTOは30日間は無料でレンタカーを借りることができます。
つまり、全損事故の場合は、契約者にとって経済的にマイナスになることはほとんど無く、怪我の治療などに専念することができます。
修理可能な事故(分損事故)の場合
- 修理して同じ車を乗る
- 月額料金は変わらない
- 最大5万円の自己負担
- 30日間自己負担なしで代車が借りられる
修理可能な事故の場合は、上記のような対応となり、継続して同じ車を乗ることになります。
また、修理可能な事故(分損事故)の場合は、契約期間中に何度でも同じ対応になり、追加料金やペナルティはありません。月額料金は契約期間中ずっと同じです。
事故発生時の対応
KINTOの契約車両で事故を起こした場合は、KINTOの保険業務を請け負う、東京海上日動の「KINTO事故受付センター」に連絡します。その後はそちらの指示に従って対応してください。
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他のカーリースでの任意保険の取り扱い
一般的に、KINTO以外のカーリースの月額料金には自賠責保険料は含まれますが、任意保険料は含まれません。
一般的なカーリースの保険概要は次のとおりです。
- 自賠責保険は月額料金に含まれる
- 任意保険は、別途自分で契約して支払う
- 任意保険料は条件によって異なる
- 分損事故の場合は自らの保険で修理する
- 全損事故の場合は損害額をリース会社に支払う
- 保険事故があれば保険料が上がる
一般的なカーリース契約時の車の維持費は、「リース代月額料金」+「任意保険料」となります。
また、任意保険料は条件によって料金が大きく異なり、通常、若い人は保険料が高額になります。さらに保険事故があると、翌年以降の保険料が大きく上がることになります。
一方、KINTO契約時の車の維持費は「リース代月額料金」のみになります。
何度事故にあっても、月額料金は変わることがなく、車の維持費は「一定の月額料金」となります。このことが大きく違うことから、トヨタではKINTOを「車のサブスク」と名売っている大きな理由となっています。
- 自賠責保険とは
-
自賠責保険とは、公道を走るすべての車に加入が義務付けられている保険で、法律で定められています。日本では、自賠責保険に加入していなければ車を登録できず、車検にも通らない仕組みができています。
自賠責保険は、自動車事故によって他人に対して損害を与えた場合に、その損害を補償するための保険で、補償範囲は被害者1名について死亡・後遺障害3,000万円(常時介護の時は4,000万円)、傷害120万円と決められています。
KINTOの保険に関するよくある質問
- KINTOの保険に加入しなくてもよいですか?
-
いいえ。必ずKINTOの保険に加入しなければなりません。
- 保険の内容は変更できますか?
-
いいえ。KINTOの保険の内容は加入者全て一律です。
- KINTOの保険はどこで加入できますか?
-
KINTOの契約と同時に、自動的に加入することとなります。
- KINTOの保険は、どこまで補償されますか?
-
KINTOの補償内容は次のとおりです。
- 対人・対物賠償無制限
- 人身傷害補償保険1名につき5,000万円まで
- 車両保険(免責金額5万円)
- 弁護士費用特約
- ロードアシスト
- レンタカー等諸費用アシスト(代車)
- 事故現場アシスト
- KINTOの保険に加入すると、どれくらいの費用がかかりますか?
-
KINTOの任意保険料は月額費用に含まれるので、別途費用は発生しません。
- 事故を起こした際に月額料金は上がりますか?
-
月額料金は変わりません。ただし、1事故に付き最大5万円の自己負担が発生する場合があります。
- KINTOの保険は、自動車保険と何が違いますか?
-
通常の自動車保険とかわりませんが、他車運転特約が無いことには注意が必要です。
>>>【KINTO】公式ページ
まとめ
KINTOの保険には、他のカーリースと違った大きな特徴が複数あります。
- 任意保険が定額料金に含まれている
- 今までの任意保険の等級が関係ない
- 誰が運転しても保険適用
- 車両保険が付く(5万円負担)
- 代車が借りられる
いずれもKINTOを選ぶ場合にはとても重要な要素なので、しっかり確認して検討しましょう。
以上、KINTOの保険についての詳細解説でした。
KINTOの仕組みや申込み方法詳細はこちら
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