- 車の修理に出したら、1ヶ月も返って来ない
- 長い修理期間中に全く連絡がないのは普通なの?
- そもそも車の修理はどのくらいかかるの?
この記事では、元ディーラーの一級整備士が、車の修理期間や整備工場の対応について詳しく説明します。
こんな事を悩むあなたが、修理を依頼した修理工場は、残念ながらあまり良い工場ではないかもしれません。
途中連絡がこない場合の対応

連絡が来なくて経過が気になる場合は、こちらから連絡するべき
遠慮なくすぐに整備工場へ連絡し、不明な点を聞いてください。
- こちらから連絡(催促)がないと、「途中連絡しなくて良い」と思われる可能性がある
- 連絡(催促)しないと、余計に修理期間がかかってしまう可能性がある
長い修理期間の中で、整備工場側から途中連絡が無いことは、普通では有りません。
こちらから連絡したとしても、感じが悪くなることもありませんし、「連絡せずにすみませんでした」と謝られる可能性の方が高いです。
「長い・短い」というのは、個人の感覚の問題でもあります。
整備工場側では、「一週間ほど経ったら途中連絡しよう」と思っていたとしても、お客さんからしたら、「一週間も連絡が来なかった」となる場合もあります。
このようなトラブルは、私を含め整備士なら誰でも経験があります。
整備工場の仕事は、一ヶ月間に渡って作業が必要な仕事も少なくないため、従業員の中には「このような仕事は一ヶ月以上かかって当たり前で、お客さんだって当然わかっているだろ」と思い込んでしまう人もいます。
どちらにしても、あなたが「遅い」「なかなか返ってこない」「連絡が無い」と感じているならば、あなたから連絡してみてください。
「途中経過を教えてもらえますか?」
これでいいでしょう。
あなたは何も悪くありませんし、それほど感じが悪くなることもないでしょう。
また、あなたから連絡があることで、「早く修理しなければ」という心理的な力が働くため、必要以上に修理期間が長くならなくなる可能性があります。
私の感覚からすると、一週間以上途中連絡しないのは、明らかに整備工場が悪いと思います。実際私が整備士だった頃は、そうならないように注意していました。
見積もり、途中連絡は整備工場の義務

整備工場が自動車を修理する場合、普通は(理想は)このような流れになります。
- お客様から修理依頼
- 点検・診断
- 概算見積書の作成
- お客様に説明・提案
- 修理作業
- 修理内容・方法に変更があれば見積書の再提示
- 修理完了
- お客様からお金をもらう
この流れは、最もお客様が満足するサービスを提供するためであり、すなわち自分たち整備工場のためです。トラブルを無くし、しっかりと整備工場を経営するためには絶対に必要なことです。
この流れを徹底している工場は、あなたにとって信頼できる良い整備工場と言えるでしょう。
他の業界の仕事の流れから考えても、こんなことは当たり前とも言えます。
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見積もりは修理期間も含まれる
事前の見積もりは金額だけでなく修理期間についても説明をするのが普通です。
もし、最初から修理にかかる期間を聞いていなかった場合は、やはり遠慮なく連絡して聞きましょう。
あなたと整備工場の感覚の違いが解消される可能性があります。
途中で整備内容・方法が変わる場合もある
整備作業を実施していると、最初の見積もりのとおりにできない場合や、最初の点検時に把握できなかった不具合が見つかることがあります。
これはしょうがないことです。
こんな時は、改めて見積書を作り直し、途中経過や今後の修理にかかる日数を説明・相談することとなります。
通常、整備工場はこのような流れで仕事をしていることを覚えておき、このような対応をとってくれなかった場合には、連絡して説明を求める必要があります。
補足:見積書や修理期間を掲示してくれない整備工場
全ての整備工場が上述の流れで仕事をしているかというと、現実はそうではなく、特に「見積書の提示」に関して、実施してくれない工場があります。
見積書や修理期間を提示しない整備工場を信頼するのは危険だと言わざるをえません
整備工場がお客様に対して、見積もり金額の提示や修理にかかる日数を提示をするのは絶対です。
整備工場とあなたの信頼関係があれば、口頭の見積もりでも良いかもしれませんが、後で「言った・言わない」のトラブルに発展しかねないため、できれば書類でもらった方が良いです。
これは、整備工場側から見ても同じことが言えます。
また、口頭では言えるけど、見積書は出せないという事は普通あり得ません。あるとすれば、整備工場が、単純に見積書の作成を面倒に思っているだけだと思います。
特に、比較的規模の小さい整備工場や田舎の整備工場、年配の人の整備工場では、特に悪気がなくても、上述した流れで仕事をしていないケースが多く、現代社会ではトラブルが起きやすくなっています。
修理期間が長くなる修理内容

- 事故修理(鈑金・塗装修理)
- エンジン・ミッション等の分解・脱着
- 難解故障修理
- 輸入車・旧車・特殊車の修理
実際には、これらが複数絡み合って、さらに修理期間・日数が長くなる場合があります。
事故修理(鈑金・塗装修理)
最大で2・3ヶ月程度
事故修理作業は、次のような流れで行います。
- 見積もり
- 部品手配
- 鈑金(曲がった金属を修正)
- 塗装
さらに、お客様が保険を使って修理する場合、保険会社とのやり取りが生じるため、さらに時間を要します。
特に、車体の大部分が損傷するような大きな事故(横転・ぐっちゃり・エアバッグ展開・水没など)によって、鈑金・塗装修理をする場合は、その程度によって2・3ヶ月の修理期間が必要な場合があります。
自動車の修理作業のなかで最も時間が掛かると言っても良いのが、事故修理です。
エンジン・ミッション等の分解・脱着
最大で2周間〜1ヶ月程度
エンジンの分解・交換、ミッションの交換、ハイブリッド装置の交換などは、技術的にも難しく時間が掛かります。
また、後述する修理ともかさなる場合が多いです。
難解故障修理
- たまにしか症状が出ない
- レアな故障で故障箇所がわからない
- 新技術装置の故障でノウハウがない
このような修理を難解故障修理と言い、時間が掛かるケースがあります。
修理期間については「直るまで」なので、具体的に言えません。
また、その整備工場の技術力によって大きく変わります。
難解故障については、民間の整備工場で直すことが難しく、ディーラーに外注しているケースも多いです。
整備工場によって大きく変わる修理期間
「A整備工場では1ヶ月かかっても直せなかった故障が、B整備工場ではたったの1時間で直せた」というような話はどこにでもあります。
これを防ぐには、技術が高そうな整備工場に依頼するしかありません。
難解故障の場合、その車のメーカーディーラーに依頼することが最も早く直せる可能性が高いです。
それ以外では、事前にお客様がどこの整備工場に依頼すれば修理が早いかを知ることは難しいので、無駄に修理期間が長くなってしまうのはしょうがないことです。
輸入車・旧車・特殊車の修理

輸入車・旧車・特殊車の修理については時間がかかります
- 部品手配に時間がかかる・手配できない
- ノウハウがない
- 設備・工具がない
これについてはイメージしやすいと思います。
もちろんしょうがないことです。そういう車に乗る人の宿命です。
それらの修理に特化した整備工場に依頼することが重要です。
その他、修理期間がかかる要因
整備工場のキャパシティ(能力)が低い
実は、車の修理期間が長い理由として、最も可能性が高いのが、整備工場の能力の問題です。
整備工場はもちろん、あなたの車だけを整備しているわけではありません。そして、仕事に優先順位をつけながら順番に仕事をこなしています。
もともと時間がかかるであろう上記のような整備は、今日中に完成しなければいけない仕事と違い、優先順位を下げられ、手すきの時間にしようと思われることもあります。
つまり、依頼した整備工場が忙しくて手を付けてくれない場合に修理期間がかかってしまいます。
別の言い方をすると、整備工場のキャパシティが足りないとも言えます。
特に整備工場の繁忙期である1〜3月にそのようになることが多いです。実際私が働いていたディーラーでも多々ありました。
対策はやはり連絡(催促)すること。
特に、最初に提示された期間を過ぎている場合は強く言っても良いと思います。
まとめ
- 連絡が来ないと感じたら→すぐ連絡して大丈夫
- 遅すぎると感じたら→すぐ連絡して大丈夫
修理に時間がかかるものは次の通り。
- 事故修理(鈑金・塗装修理)
- エンジン・ミッション等の分解・脱着
- 難解故障修理
- 輸入車・旧車・特殊車の修理
実は、後回しにされていることがあるので、連絡することは大事です。
以上、修理の途中連絡がない場合の対応方法と、修理期間が長い理由でした。