- 車検の時に交換をすすめられる部品って本当に交換が必要なのか
- 部品の交換を断ることは可能なのか
整備工場から提示される車検の見積もりに対して、このような疑問を持ちながらも、実際にはディーラーや整備工場の言われるがままに整備をしている人が少なくありません。
しかし、車検にかかる費用は高額です。少しでも費用を抑えたいと思う人は多いのではないでしょうか。
この記事では、車検時の部品交換について、「断れる・断れない」だけでなく、車検時に必要な整備や料金の目安について元ディーラー整備士の管理人が解説します。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
車検時の部品交換を断れるか
車検時の部品交換は断れます
大前提として、あなたの車をどうするかはあなたが決めるものです。
車検整備とは、あなたが自分の車の車検整備を整備業者に依頼するもので、依頼された整備業者は、あなたに代わって車検整備をするものです。整備業者からすすめられた部品交換は断れます。
ただし、修理・交換しなければ車検に通らない部品や、明らかに修理・交換したほうが良い部品などがありますので、後述する内容を確認して判断してください。
整備工場の説明をよく聞くことが大事
部品交換をするかどうかは、実際にあなたの車を見て判断した整備工場の担当者の説明を聞くことが最も重要です。不明なことがあれば、あなたから積極的に聞いてください。
- なぜその部品の交換が必要なのか
- 修理はできないのか
- 必ず交換が必要なのか、おすすめなのか
- 安く済ませたい場合、他の方法があるか
整備工場側も、あなたがどのくらい説明を求めているかがわからないことが多く、「そこまで詳しい説明はいらないから直してくれ」と言われないように、長々と説明するのを躊躇する場合があります。なので、悪意が無くても説明不足になる場合がよくあります。
説明を詳しく聞きたい場合は、あなたから納得がいくまで聞くことが大事です。
交換を断れない部品
交換しなければ車検に通らない部品
車検とは、公道を走る自動車に対して、国の安全基準や環境基準に適合しているかを検査することです。車検に通らなければ、その後公道で使用することができません。
「交換しなければ車検に通らない部品」であれば、実質的に交換を断れない部品になります。
しかしその場合でも、他の選択肢がある可能性がありますので、整備工場の担当者に聞いてみるといいです。良い整備工場ほど、あなたに多くの選択肢を出してくれるはずです。
- 修理で対応できないか
- もっと安い部品はないか(社外品・中古品・リビルト品)
交換を断れないの部品・場合の例
- タイヤの溝の深さが基準より下回っている場合
- ブレーキ系統が故障している場合
- ブレーキパッド、タイヤなどの重要な消耗品が基準に満たない場合
- 排気ガスに関わる装置が故障している場合
- エンジンなどのチェックランプが点灯する原因になっている部品
車検時の部品交換で、実質的に断れない部品は、上記の「車検に通らない部品のみ」です。
本当に最低限で車検をしたいのであれば、車検に通るか通らないかの基準だけで判断できますが、このまま後述する「断らない方が良い部品」と「断っても良い部品」を一読することをおすすめします。
交換を断らない方が良い部品
自動車メーカーが指定する定期交換部品
自動車メーカーはあなたの車に対して「○年に一度は〇〇を交換して下さい」と指定している部品があり、それを「定期交換部品」と言います。
この定期交換部品は、やはり自動車メーカーの言うとおりに交換した方が良いです。
定期交換部品を交換しなくても車検に通らないという事はないですが、交換しないと、早期故障につながる可能性や、メーカー保証がきかなくなる可能性があります。
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定期交換部品の例
- エンジンオイル(&フィルター)
- ブレーキフルード
- ギヤオイル(ATF、CVTF、デフオイル等)
- 冷却水(クーラント)
- スパークプラグ
- ベルト類
※定期交換部品の種類や、交換時期はメーカーや車種によって異なり、車検の時には整備工場側が調べて提案しています。新しい自動車ほど定期交換部品が少なくなっている傾向にあります。
交換を断っても良い部品
車検には関係のない、整備工場がおすすめする部品
おすすめの整備や部品交換はもちろん断ることが可能です。
迷う場合は、なぜ交換したほうが良いのかを担当者にしっかりと聞きましょう。具体的には次のようなものがあります。
- 車の寿命を伸ばす整備
- 壊れそうな部品の交換
- 快適装備の整備
車検整備は車検に通ればいいというものではありません。車検に通る通らないに関係なくとも、整備工場にはそれぞれの整備をすすめる理由があります。
とにかくしっかりと説明を求めて、不明な場合は聞くことと、信頼できる整備工場であるかが大事です。
1.車の寿命を伸ばす整備
- 下回りの洗車(泥・汚れ落とし)
- 下回りの塗装(パスター・防錆塗装)
これらは、車の寿命を伸ばすことに繋がる整備です。
長くその車に乗りたい場合は、断らないほうが良いのは間違いない整備です。特に、積雪地・山間部・海辺にお住まいのユーザーは効果が高いです。あとは財布と相談になると思います。
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2.壊れそうな部品の交換
一般的に、「壊れそうな部品」というのは車検には問題なくとおります。しかし、壊れそうになっている部品なら交換したほうが良いのは間違いないです。
理由は2つです。
- 事故や突然の故障に対するリスクをなくす
- 別の部品まで壊れるのを防ぐ
人間の体に例えると、小さな癌が見つかったのに、放置する人はいないと思います。それと似ています。2次的なトラブルや故障を回避するために、車検で壊れそうな部品が発見されたのなら、むしろラッキーだと思って、修理することをおすすめします。
また、壊れてからの修理は、レッカーや代車やタクシー代、など余計な出費がかかってしまうリスクが伴います。
3.快適装備等の整備
- スエアクリーンフィルタ交換
- 発煙筒(発炎筒)の有効期限切れ
- キーレスが効かない
- エアコンが効かない
- パワーウィンドウが動かない
上記のようなものは、車検には一切関係がないので、説明や見積もりを見て、あなたが直したいと思ったら直せば良いものです。
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車検時の交換部品の費用目安
以下は、車検時によく勧められる部品や整備費用の目安です。車種やメーカー、ディーラーや整備工場によって大きく違いますので参考程度にしてください。
なお、表の費用目安は、部品代と工賃を足した整備料金です。
整備内容 | 費用(円) |
---|---|
ブレーキフルード交換 | 3,000~ |
ATF(CVTF)交換 | 5,000~ |
ベルト交換 | 5,000~ |
冷却水交換 | 5,000~ |
スパークプラグ交換 | 3,000~ |
エアクリーンフィルタ | 2,500~ |
下回り洗浄 | 5,000~ |
下回り塗装 | 5,000~ |
ネット通販などで購入した部品で対応できないか
事前に依頼しておけば可能な整備工場が多い。車検の当日なら整備工場によっては可能だが、完成が遅れるなどのデメリットも多い。
交換しなければ車検に通らない部品の場合、ネット通販などで購入した部品を取り付けてもらうことができないかと思う人も多いはずです。
例としてタイヤなど、多くの通販サイトで一般的に売られているような車の部品は、ディーラーなどの整備工場で購入するよりかなり安く購入することができます。
いわゆる「部品の持ち込み」については、可能な整備工場とできない整備工場がありますが、いずれにしても、車検に出してしまった後に依頼すると、車検の完成が遅れたり、別日にもう一度車検する必要がでてきます。別日になる場合は、そこまで整備した分の料金もプラスされる可能性があります。
また、その場合の部品は自分で手配するのが鉄則です。
「ネットの安い部品で交換して」と整備工場に依頼することは難しく、対応してくれないと思ってください。
車検のトレンド・おすすめ車検
最近の車検のトレンドとなっているのが、楽天Car車検などのネットで車検予約するサービスです。
例として、楽天Car車検は、あなたと整備工場を繋ぐサービスで、楽天の名前がつく整備工場があるわけではなく、楽天を通して整備工場の車検予約・実施をするイメージで、楽天トラベルとシステムはとても似ています。
実際にあなたの車の整備(車検)を行うのは、サイト上であなたが選んだ整備工場です。サービスの良し悪しは、あなたが選んだ整備工場で大きく変わって来ることに注意が必要ですが、お金のやり取りなどはクレジットカードなどで、ネット上で完結します。そしてたくさんの楽天ポイントがつきます。
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詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>>楽天Car車検4つのデメリット/メリットの多い工場を選んで楽天ポイントを大量獲得しよう
まとめ
- 大前提:車検時の部品交換を断ることは可能
- 車検に通らない部品交換は実質断れない
- 自動車メーカーが指定する「定期交換部品」は交換したほうが良い
- その他は断る前に整備工場の話をよく聞くことが大事
以上、車検時に部品交換を断れるかについてでした。