スタッドレスタイヤは決して安くないので、中古のスタッドレスタイヤを検討する人も多いです。中古スタッドレスタイヤは、価新品に比べて格が圧倒的に安く、良いものが見つかればとてもお得です。また、ホイールセットを選ぶことで、さらにお得になります。
しかし、しっかりとした性能のある中古スタッドレスタイヤを、お得に購入することは非常に難しく、失敗する人も多いので注意が必要です。
この記事では、積雪地のディーラーで、長年スタッドレスタイヤを取り扱っていた整備士が、中古スタッドレスタイヤの特徴を良いも悪いも解説します。中古スタッドレスタイヤのことが全てわかります。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
中古スタッドレスタイヤの品質
中古スタッドレスタイヤの品質や性能は全体的に信頼できない
冬季の氷結路や積雪路を安全に走行するためには、スタッドレスタイヤの性能は非常に重要です。性能次第ではドライバーの技術に関わりなく、安全に、安心して走行でき、もしくは事故に直結することもあります。
そして、ゴム部品であるスタッドレスタイヤは、新品時に最大の性能を発揮し、走行や時間が経つに連れて性能が劣化します。
一度使用した中古のスタッドレスタイヤの性能は、新品のスタッドレスタイヤに比べて、性能が低いことは言うまでもなく、品質のポイントは「どのくらい性能が劣化しているのか」程度の問題になってきます。
中古スタッドレスタイヤを購入する場合は、注意しなければならないことがたくさんありますので、確認してください。
中古スタッドレスタイヤを選ぶ6つのポイント
- 製造年
- 溝の深さ
- ひび割れ
- メーカー・銘柄
- 変色・変形
- 信頼できる販売元
ネット通販で購入する場合は、自分で確認することが難しいので、売られているタイヤの詳細な情報を確認して、上記を確かめてください。
1.製造年
スタッドレスタイヤの製造年が古いタイヤは性能が低い
保管状態によって大きく変わりますが、スタッドレスタイヤは製造から時間が経てば経つほど性能が落ちていきます。例え、全く使わずに保管しておいたとしても、タイヤの素材であるゴムは劣化し、固くなり、特に氷上性能が低くなり、スリップしやすくなります。
積雪地に住むドライバーは、「3~5年」の使用で新品に交換する人が多いと言われているので、5年以上前に製造した中古のタイヤは選ばない方が良いでしょう。
タイヤ製造年の確認方法
販売元に確認しましょう。また、タイヤの製造年及び、製造時期は、タイヤに刻印されているため目視で誰でも確認できます。
目視での確認方法は、こちらのwebサイトで確認してください。
2.溝の深さ
溝が少ないスタッドレスタイヤは性能が低い
スタッドレスタイヤの溝は、深さが増すほど、雪や水の排水効果が向上します。タイヤの溝はタイヤと路面の接触面積を確保し、積雪・降水時のグリップ力を向上させ、安全な走行が可能になります。
新品時のスタッドレスタイヤは、約10 mm程度の溝の深さがありますが、走行することによって溝が減っていきます。
中古のスタッドレスタイヤを選ぶときは、なるべく10 mmに近いものを選び、5 mm以下のものは選ばないようにしましょう。
3.ひび割れ

ひび割れのあるタイヤは性能が低く、故障の危険性が高い
タイヤはゴム製品なので、保管方法などにより劣化し、ゴム成分が固くなりひび割れが起こることがあります。特に直射日光や乾燥により劣化が激しくなります。
ひび割れのあるスタッドレスタイヤは、グリップ性能が悪くなるばかりでなく、最悪の場合、走行中にバースト(破裂)する危険性があります。
ひび割れのある中古スタッドレスタイヤは選ばないように注意しましょう。
4.メーカー・銘柄
メーカー・銘柄によって性能が違う
スタッドレスタイヤは、製造メーカーや銘柄によって、新品時の性能が違い、価格も大きく違います。特にブリジストンのスタッドレスタイヤは性能に対する評価が高く、価格が最も高額なタイヤです。
逆に海外製のスタッドレスタイヤは、新品時にブリジストンの半値で購入できるような、性能が低いと思われる製品も存在します。
また、ブリジストンやダンロップなどのスタッドレスタイヤには、高性能モデルと廉価版(安い)モデルがあります。(銘柄という)
中古のスタッドレスタイヤを購入する場合は、なるべく、メーカー・銘柄の良いタイヤを選びましょう。
5.変色・変形
変色・変形のあるスタッドレスタイヤは選ばない
スタッドレスタイヤの保管方法やタイヤに何らかの外的要因が加わり、変色・変化が起きる場合があります。
変色・変形のあるスタッドレスタイヤは、タイヤの本来の性能を発揮できない可能性が高く、最悪の場合、走行中にバースト(破裂)する危険性があります。
変色・変形のあるスタッドレスタイヤは選ばないように注意しましょう。
6.信頼できる販売元から購入する
盗品・出どころ不明・悪質詐欺事業者も存在する
自動車のタイヤは盗難が多いパーツであり、盗品が市場に出回ることがあります。このようなタイヤを購入し、後でトラブルに発展しないように注意しなければなりません。
中古のスタッドレスタイヤを購入する場合は、信頼できる業者から購入することが重要です。
中古スタッドレスタイヤは買うべきか
- 良いものなら買うべき
- 実際には良いものを探すのがとても難しい
良い中古スタッドレスタイヤとは
- 自分の車にピッタリ合って、
- しっかりとしたスタッドレス性能があり、
- 長く使えそうで、
- 価格が安いタイヤです
こんな良い中古スタッドレスタイヤを探すことができれば、買うべきです。場合によっては新品タイヤの5分の1以下で購入できることもあります。
問題は、探せるかどうかと、良いものかどうかを判断できるかどうかで、ここが重要なポイントになります。
中古スタッドレスタイヤの購入方法
- 取り扱い店舗で購入
- インターネット通販で購入
中古スタッドレスタイヤを購入する方法は上記2つです。
1.取り扱い店舗で購入
- 実際に商品を見ることができる
- スタッフに相談できる
- 中古タイヤの取り扱い店舗は少ない
- 中古スタッドレスタイヤの取り扱い店舗はさらに少ない
- 自分の車種に合うタイヤが販売されている店舗はさらに少ない
店舗で中古タイヤを購入する場合は、上記のような特徴があります。
店舗のスタッフのアドバイスを受けながら、実際のタイヤを見ながら間違えずに購入できるという大きなメリットがありますが、とにかく取り扱い店舗が少なく、合うタイヤを店舗でみつけることは、非常に困難と言えます。
通常の中古サマータイヤでも探すのが難しく、中古スタッドレスタイヤとなるとさらに探すことが難しくなります。
店舗で品質の良い中古スタッドレスタイヤやホイールセットを見つけることができればとてもラッキーですが、現実的には下記のインターネット通販で購入する方法を考えたほうが良いかもしれません。
なお、中古タイヤが多く販売されている店舗には、アップガレージなどがあります。
2.インターネット通販で購入
- 店舗より探しやすい
- 実際にタイヤをみることができない
- サイズなど間違えて購入するリスクが高い
- 送料がかかる
インターネット通販で中古タイヤを購入する場合は上記のような特徴があります。
インターネット通販は、店舗で適合する中古タイヤやホイールを探すよりも圧倒的に探しやすいですが、写真や説明文などで自らが品質などを判断して購入しなければならないため、失敗するリスクが高まります。
しかし、中古スタッドレスタイヤを購入するにはこの方法が最も現実的です。
中古スタッドレスタイヤが購入できるサイト
中古スタッドレスタイヤが購入できるサイトや店舗を紹介します。
Amazonカータイヤ・ホイール専用ページアマゾンでは比較的多くの中古タイヤを扱っています。
【楽天市場】車 タイヤ・ホイールページ楽天市場も中古タイヤは豊富です。
アップガレージは国内に200店舗以上を構える自動車アフターパーツ専門店です。中古部品は店舗にある他、ネットでも購入が可能です。
太平タイヤは中古タイヤのネット販売店です。
取付方法や送料に注意
特にネットでタイヤを購入する場合は、取付方法を考えてから購入することが大事です。せっかく安く購入したタイヤも、取り付けに多くのお金がかかってしまうと、せっかくの苦労がむくわれません。コツや注意点はこちらの記事で説明しています。
>>>タイヤのネット購入で失敗しないコツと方法【プロの整備士が伝授します】
中古スタッドレスタイヤの価格相場
ホイールサイズ | 料金目安 |
---|---|
12インチ13インチ | 5,000円~ |
14インチ | 8,000円~ |
15インチ | 10,000円~ |
16インチ | 15,000円~ |
17インチ18インチ | 20,000円~ |
上記の表は、ネット検索で確認できた中古スタッドレスタイヤで、最低限の性能をクリアしてそうなものの価格相場です。特に軽自動車に使用するような12~15インチのタイヤは非常に安価です。
ホイール付き(セット)の場合は価格が上がりますが、12.13.14.15インチの小さなホイールは、ホイールが付いても、付かなくても価格がそれほど変わりません。また、ホイール付きの中古スタッドレスタイヤのほうが数多く市場に出回っています。
当然、明らかに質の高そうなものは値段がかなり上がります。かなりお得なものと、そうでないものがあり、また、何度も言いますが、お得かどうかの判断も難しいです。
中古スタッドレスタイヤの価格は、有って、無いようなものなので、参考程度にしてください。
また、ネット購入の場合は、送料が別途必要になることが多いで必ず確認してください。
中古スタッドレスタイヤ2つのメリット
- 値段が極端に安い
- ホイールセットでさらにお得
1.値段が極端に安い
中古のスタッドレスタイヤの値段は、新品に比べてかなり格安です
店頭に並ぶ中古タイヤは、販売・買い取り業者がユーザーから買い取ったタイヤ、自動車販売店の車の買い取りや下取りによって出てくるタイヤ、出どころ不明なものも多くあります。
いずれにしても、手放す方からすれば全く必要なくなったタイヤであるため、その取引はタダ同然のものも多く、販売する方からすると原価がかなり安いので、安く販売することができます。
また、スタッドレスタイヤは3~5年程度で新品に交換するユーザーが多いため、1年売れ残ると大幅に価値が下がるので、安くしても早く売りたいという力が働きます。
以下、ブリジストンの17インチのスタッドレスタイヤの一例です。
- 店頭相場:4本で14万円程度
- 中古 :4本で3万5千円程度
これほど安いこともめずらしくありません。
2.ホイール付きスタッドレスタイヤでさらにお得

中古のタイヤはホイールセット売られていることが多いです。理由はホイールごと要らなくなって手放す人が多いからです。
スタッドレスタイヤの他に、ホイールも必要な場合、別途ホイールの費用もかかってしまいます。ホイールとタイヤの両方が欲しい人は、ホイール付きの中古スタッドレスタイヤを購入することで、かなり安く購入することができます。
また、ホイールセットで購入することで、タイヤの組み付けに関わる手間やコストが発生しないので、中古スタッドレスタイヤのメリットを最大に生かせるのは、ホイール付きで購入した場合です。
中古スタッドレスタイヤ2つのデメリット
- 性能・質に不安
- 市場が小さくあまり売っていない
1.性能、品質に不安

中古スタッドレスタイヤの性能は新品に比べて劣ることは言うまでもありません。
その中でも、新品に限りなく近いものもあれば、逆に、もう寿命が近づいているようなタイヤも売られています。また、スタッドレスタイヤの性能は普通タイヤ(サマータイヤ)に比べて、性能の要素が多く、溝の深さや年式だけで判断しにくい部分があります。
中古スタッドレスタイヤを購入する場合には、そのタイヤの価値を判断することが最も重要です。どんなに安くとも、ピッタリ合うとしても、スタッドレスタイヤとしての性能が低ければ意味が無いからです。
雪道での安全のためにスタッドレスタイヤを購入するわけで、安全性が保たれないスタッドレスタイヤは、誰もが必要無いはずです。本末転倒です。
そして中古スタッドレスタイヤの性能的な価値は、一般の人が判断するのは少し難しいです。私達プロの整備士でも写真や説明だけでは、判断できないかもしれません。そうなると、お店の人の説明などで判断することになり、そこに失敗のリスクが生まれます。
一方で、「1シーズン履ければいい」「代替えが近い」等の場合は、ある程度リスクを許容できるかもしれません。いずれも、良いタイヤを選んだほうが良いことには変わりありません。
スタッドレスタイヤの寿命や性能について詳しく知りたい場合はこちらの記事に書いています。中古タイヤを購入する場合は一度目を通すことをおすすめします。
価格は本当に適正?
中古スタッドレスタイヤの価格が適正なのかどうかの判断は非常に難しいです。
一つの指標として、購入しようとしている新品タイヤの価格を把握しておくことは重要です。
スタッドレスタイヤはメーカーや銘柄(ブランド)によって、性能や新品時の価格が違うので、同じサイズでも、元々高いタイヤと、安いタイヤがあります。「安いと思って買ったら、元々新品でも安いタイヤだった」とならないために必要です。
2.あまり売っていない
中古のスタッドレスタイヤ市場はそれほど大きくないので、どこで販売しているのか、そこに自分の車に合うサイズのタイヤがあるのかを探すのが難しいです。ネット上では自分の車に合うタイヤがどこにも売ってないこともあるかもしれません。
まずは楽天やAmazonの中古スタッドレスタイヤを検索してみてください。その他の販売店についてはページ下部でいくつか紹介します。
新品タイヤを格安で購入する方法
新品のスタッドレスタイヤをネットで安く購入するほうが安心
もし、新品のスタッドレスタイヤやホイールが格安で買えるのであれば、それに越したことはありません。中古のスタッドレスタイヤの購入は様々なリスクが伴います。
但し、ネット販売には落とし穴が多く、失敗する人も多いです。あらためて、新品のスタッドレスタイヤを検討するのであれば、こちらの記事からご確認ください。
>>>タイヤのネット購入で失敗しないコツと方法【プロの整備士が伝授します】
まとめ
中古スタッドレスタイヤは、価格が圧倒的に安く、良いものが見つかればとてもお得です。但し、実際には探すのが難しいことと、一定の失敗するリスクが伴います。
例えば性能の低い中古タイヤを使用して、一度事故を起こしてしまえば様々な損害が出てしまい、タイヤの値段どころでは無くなることが多いです。また、中古のスタッドレスタイヤを購入する人は世の中にそう多くはありません。
一方で、一定の性能が保たれる新品スタッドレスタイヤはリスクが少なく、安全性が保たれます。そのため、新品タイヤを購入する人が圧倒的に多い現状があります。
ここまで読んで不安に感じた人は、最初から中古スタッドレスタイヤの選択肢を捨てても良いかもしれません。もし、私の友人だったならば、なかなか勧めづらいのは確かです。そんな場合は、新品を安く購入することを検討してみてはどうでしょうか。
以上、中古スタッドレスタイヤのメリット・デメリット解説でした。