- 一生使える工具セットが欲しい
- プロの整備士おすすめの工具セットが知りたい
- 工具セット購入で失敗したくない
車の整備やDIYをするようになって、工具に触れる機会が増えてくると、このようなことを思うのは自然の流れです。
工具によって仕事は楽しくなります。そして工具は愛着が湧くものです。
この記事では、元ディーラーの一級整備士が、一生使える工具セットや、車載工具向け、DIY向けのおすすめ工具セットを紹介します。
- 一生使える整備士おすすめ工具セット
- 失敗しない工具セットの選び方
工具のことなら自動車整備士
自動車整備士がすすめする工具セットは、自動車はもちろん、家電製品の修理や、DIY、園芸、趣味、日曜大工など様々な用途に使用できます。
なぜなら、自動車はとても複雑な機械のかたまりであり、それを整備する工具は多種多彩で、様々なモノや状況に対応できるからです。
新人整備士さんや、自動車整備で使用する本格的な工具セットを検討している人は、こちらの記事も参考にしてください。
最もおすすめ・KTC工具セット
KTC(京都機械工具)とは
KTCは機械工具専門のメーカーで、自動車整備士であれば知らない人はいない国産老舗工具メーカーです。
KTCの工具は抜群の信頼性を誇り、整備士の専門学校や各社ディーラーでは基本的な工具とされ、触ったことがない自動車整備士はまずいません。
トヨタ自動車をはじめとする国産自動車メーカーと、とても深い関係にあり、自動車メーカーに特注の工具(整備業界ではSST(特殊工具)と言います)を数多く送り出していることでも有名です。
また、種類も豊富で自動車用工具ならどんなものでも手に入ります。
間違いなく日本を代表する工具メーカーです。
公式サイト>>>KTC
ただしKTCの工具は決して安くありません。
趣味や、DIYのために買う工具としては、高いと感じる人が多いと思いますが、品質は確かです。
良いものを、大事に長く使いたい人には最もおすすめの工具ですね。一生使えます。
KTCのチェストタイプ
9.5sq.工具セット(チェストタイプ)[66点] SK3650EZ
- 9.5sq.:自動車整備やDIYでちょうどよい工具サイズの規格
- チェストタイプ:持ち運びに不向きな箱型
こちらは、要するにプロが使用しているような一生使える工具セットです。
セット内容、数量ともに最もおすすめで、一般向けなら当然文句なしですが、プロの整備士が最初にかう工具セットとしても最適です。
ただし、重くて大きい工具セットなのでそのまま持ち運ぶのには適さず、自宅ガレージの机の上などに置いて、必要な工具を取り出しながら使います。
プロでなくても妥協しない人に向いています。
KTCの両開きタイプ
9.5sq.工具セット(両開きメタルケースタイプ)[56点] SK3561WZ
- 9.5sq.:自動車整備やDIYでちょうどよい工具サイズの規格
- 両開き:箱の上部が両方に開く
- メタルケース:金属ケース
こちらもプロが使用しているような工具セットです。
チェストタイプより持ち運びしやすいよう、両開きケースにし、工具の数量を押さえてた工具セットがこれです。
チェストタイプより持ち運びしやすいよう、両開きケースにし、工具の数量を押さえてた工具セットがこれです。
整備士の専門学生が使うのがこのあたりです。
KTCの片開き家庭向けタイプ
9.5sq.工具セット 家庭向け(片開きメタルケースタイプ)[43点] SK3434S
- 9.5sq.:自動車整備やDIYでちょうどよい工具サイズの規格
- 片開き:箱の上部が片方にだけ開く
- メタルケース:金属ケース
KTCが家庭向けとして販売しているのがこちらの工具セットです。
セット内容を確認すると、なるほど自動車整備にしか使わないような工具よりも、家庭で使用する頻度が高いものが優先的に入っていて、よく考えられた工具セットです。工具は43点に抑えられていて軽量で持ち運びに便利です。
価格、セット内容などを考慮すると、やはり家庭用ではベストチョイスかもしれません。
KTCの車載工具向けタイプ
9.5sq.工具セット(片開きプラハードケースタイプ)[40点] SK34010PS
- 9.5sq.:自動車整備やDIYでちょうどよい工具サイズの規格
- 片開き:箱の上部が片方にだけ開く
KTCの中では、ずばりこのあたりが車載工具向けです。
これが車載工具ならほんとに素晴らしい。
KTCのツールセットを持っていたら、あなたはもう整備士の仲間入りかもしません。私が家庭用として工具セットを買うなら、間違いなくKTCの工具セットを選びます。
コスパに優れた工具セット
シグネットの工具セット
シグネットというカナダの工具メーカーの工具セット。
私も何度も使用したことがあります。デザインも悪くないので、KTCほどの効果な工具セットがいらない人にはちょうどいいかもしれません。それでも、DIYではもったいないほどの、プロの自動車整備士が普通に仕事で使えるものです。
そして価格は、KTCより圧倒的に安い。
アストロプロダクツの工具セット
アストロプロダクツは自動車整備用工具で価格破壊を起こしているブランドです。
プロの自動車整備士でも、”案外使える”という人が多く、私もアストロの工具をたくさん買いました。
正直、一生使えるかは未知数ですが、それでも100円ショップで売っているものよりは、はるかに良い物です。
このセットは83点もの工具が入って、低価格です。
DIY向きの工具セット
電気工事系に強い日本の工具メーカーHOZANの工具セットです。
HOZANは品質の良い日本のメーカーです。私はこのメーカーの電工ペンチを長く愛用していて、とても大好きです。
車載工具として車の中に一つ置いておくのにもちょうどいいですが、このセットは中身を見ていただければわかるとおり、コマとラチェットが入っていません。なので自動車整備には向きません。
DIYのための工具セットが欲しいのであれば、家庭用としては十分の工具セットです。自動車整備もしたいのであればやっぱりKTCですね。
失敗する工具セット
安い工具セットを買って失敗することは整備士でも多々あります。
基本的に安い工具は使えない
あたりまえですが、使えなければ買う意味がありません。「使えないものは、いくら安くても買うな」です。でも、意外とあります。多い失敗です。
- 規格が合わない工具セット
- 全体的に大きな工具セット
- 重要なものが入っていない工具セット
- 精度が著しく低い工具セット
1.規格が合わない工具セット

日本車の部品のボルトは全てmm(ミリメートル)の規格でできていますので、基本的にインチなどの単位でできた工具は合わないので、使用できません。
自動車用の部品でなくても、日本で使用されているボルトやナットは全てミリの規格です。使用できないというのは、締めたり緩めたりできないということです。
工具には規格があります。間違えて購入しないでください。
実際にあった話
先日行ったコストコで、5万円くらいのツールボックス(タイヤ付きキャディ型)が売られているのを見ました。こういう場所で工具を買うプロの整備士はいませんので、一般の人をターゲットに陳列していると思われます。
「一般の人に向けて5万円の工具はちょっと高いな」と思いながらも、気になってよく見ていると、かなりたくさんの工具が入っているようです。おそらく100点以上の工具が入っており、外国製です。
「これでものが良ければ、高くないかな・・・」と思いながらさらに物色すると、なんと、すべてインチ規格の工具でした。”inch.”
このインチ工具はアメリカを中心とした輸入車で使われるタイプですので、この5万円の工具セットは、全て輸入車等の海外製品の工具セットということになります。特に輸入車を所有していない人にはなんの役にも立ちません。
しかしそのような注意書きも無いようなので、「間違えて買う人がいなければいいな」と思いながら通り過ぎました。
2.全体的に大きな工具セット

自動車用工具には、大型車整備用などに使用するために、強く頑丈にできた、大きめな工具と、割と小さな乗用車整備用などに使用するために、強度は弱くとも、使いやすいように小さく、小回りが効くようにできた小さめの工具があります。
一般の人のDIYや趣味で必要なのは、ほとんどの場合で後者の小さめの工具です。
大きめセットを購入すると、「大きすぎて緩めたい場所に工具が入って行かない」「重くて大きくてとても使いにくい」などの不具合がおきます。
さて、それを区別する方法は「工具の差し込み角」です。購入する前にその工具セットの「差し込み角」を必ずチェックしてください。ちょっと難しくなってきたと思うかもしれませんが、迷うことはありません。
選ぶ差し込み角は「3/8 インチ(8分の3インチ)または 9.5 mm」という表記があるものです。
記事の前の方で「インチは合わない」と記述しましたが、この差し込み角についてはこれを選んでください。ちなみにこの差し込み角は3種類ほどありあます。
大きい方から 1/2 3/8 1/4 です。
選ぶのは 3/8 です。
これが本当にベストがどうかは工具の用途によって違うので、絶対にこの差し込み角がいいとは言い切れませんが、自動車整備や家電、DIYをするのであれば、とりあえず3/8だと思います。
そして、自動車整備士が一番初めに購入する工具も、差し込み角が3/8の工具セットです。
ただし、主に農業や漁業で使用したい工具セットであれば、もしかしたら1/2のほうが合うかもしれません。詳しくは「工具 差し込み角」で検索してください。
3.重要なものが入ってない工具セット
何に使うのかわからないようなものが入っていて、逆に必要なものが入っていない工具セット
これは海外製の安い工具セットに多いです。
具体的には、プライヤー、ニッパー、ペンチなどの日常生活や簡単なDIYでも出番の多いこれらの工具が入ってないものです。なんというか、使う人や用途のことを全く考えないで、なんの知識も持たない営業マンが適当に詰め込んだ工具セットのように思います。このようなものをよく見かけるので注意してください。
4.精度が著しく低い工具セット
これも極端に安い海外製の工具や100円均一の工具に多いです。使うとガタガタしてうまく回せなかったり、刃物部分が全く切れなかったり、とんでもなく使いにくいものです。
意外と夜の中にはかなり出回っています。
一般的にドライバーや、つかむ系の工具は、安くてもある程度使えますが、刃物が付いている工具、コマ(ソケット)、メガネレンチ等の精度が重要な工具については、なるべく安いものは避けたほうが良いです。
全く工具として機能しないようなものが存在します。
そういった工具は使えないばかりか、怪我をしてしまうことがありますので、十分気をつけてください。使用してみなければわからないと思いますが、とりあえず安すぎる工具は買わないほうが良いでしょう。
安すぎる工具セットは買わない
みなさんもよくTVなどで日本の工具職人や刃物職人の仕事ぶりを見たことがあると思います。
工具メーカーは長年の経験やノウハウを駆使して、一つの工具を作り上げます。特に日本の職人や工具メーカーの技術はすばらしいものがあり、それだけ工具は奥の深いものです。
そういった優れた工具を一度使用すると、海外の(主にアジアの)メーカーが極端に安く製作している工具は、お粗末なものが多いことが私には良くわかります。日常生活にそれほど高価な工具は必要ありませんが、ちょっと考えれば、安いだけが決して良いことではないことがわかるのではないでしょうか。
まとめ
以上、一級整備士おすすめの工具セットと、失敗する工具セットについてでした。
工具は使っているうちに愛着が湧き、自分の手足となってくれます。この記事を参考に、あなたが一生付き合えるよい工具に出会えるといいですね。
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