令和4年8月16日、国土交通省よりスキャンツール補助事業の概要が公表されました。申請希望者は補助事業公式ホームページをよく確認してください。なお、概要は下記のとおりです。(公式ページが探しにくいので下記リンクをクリックしてください)
1.公募期間
令和4年9月1日(木)10:00 ~ 9月9日(金)16:00
2.補助事業の概要
整備事業者のスキャンツールの新規購入に際し、費用の1/3が補助されます(上限15万円)。
3.補助の対象となるスキャンツール
補助事業ホームページで補助対象機器一覧に公表されているスキャンツール(主にインターネットに接続可能なスキャンツール)。
4.注意事項
- 補助申請の合計額が予算額(1.4億円)を超過する場合は、公開抽選により、交付が決定されます。(今年度は早いもの勝ちではない)
- 交付決定前に購入したスキャンツールは補助の対象となりません。
- 当事業の自動車整備振興会、部品販売会社等による代理申請は認められていません。申請者は事業の全てにおいて責任を持ち、申請書及び報告書作成等の業務を実施する必要がありますのでご注意願います。
5.お問い合わせ先
申請書等の提出及び全ての問い合わせについては、補助執行団体であるパシフィックコンサルタンツ株式会社が行います。詳しくはホームページを御覧ください。
>>>パシフィックコンサルタンツ株式会社・補助事業ホームページ
※一見してスキャンツール補助金のページに見えないですが、間違いなくこのリンク先が当補助事業のサイトです。
現在、自動車整備業界は特定整備制度の創設や、令和6年度以降のOBD検査の導入などの流れから、新しいスキャンツール(外部故障診断機)の購入を検討される事業者が多くなっています。
そして、国は平成25年(2013年)以降、自動車整備事業者が使用するスキャンツール(外部故障診断機)の導入経費に対して補助をしています。
しかし、補助金は年間を通して公募している訳ではないので「いつ公募しているのか」「いくら位補助してくれるのか」など、多少わかりにくい事業でもあります。
この記事では、例年実施されるスキャンツールの導入補助金の概要について、整備士ねっとチームが簡単に解説します。
スキャンツールの購入を検討される方は必見です。
この記事は「今年の補助金がどうなる」という内容のものではなく、「これまではこうだった」という内容のものです。今年や将来この補助金がどうなるかは全くわかりません。
令和4年(2022年)のスキャンツール補助金の実施状況
実施されるかわかりません。但し、例年実施されています。
例年のことですが、スキャンツール補助金の公募は年間のスケジュールで決まっている事ではなく、前年度予算の補正予算という形で突然発表されます。
いつも公募の直前まで、今年もあるのか無いのかがわかりません。
但し、平成25年以降は毎年補助金が出ているので、「今年(令和4年)も出るだろうな」と、私は思っています。
いつからいつまで公募されるのか
7月頃から公募されることが多いです。
年度 | 公募期間 | 予算額達成 |
---|---|---|
令和3年 | 10月4日~11月30日 | 1日 |
令和2年 | 7月27日〜8月11日 | 16日 |
令和元年2次公募 | 11月6日~11月29日(約1ヶ月) | ー |
令和元年1次公募 | 7月24日~10月31日(約3ヶ月) | ー |
平成31年 | 7月24日〜9月11日(約1.5ヶ月) | ー |
平成30年 | 7月24日~ 9月10日(約1.5ヶ月) |
公募期間の終了時期については、公募期間の終了、又は予算額に達した時点で終了となります。
令和2年の公募のときは、公募開始からわずか16日間で予算額に達して終了し、令和3年にはたった1日で終了しています。
逆に、令和元年では一度目の公募で予算額に達しなかったため、11月にもう一度公募しています。(二次公募)
スキャンツール補助金は、公募開始から早い者勝ちで終了となります。
予算額と補助される工場の数
令和3年の実績
予算額 | 1.6 億円 |
申請件数 | 約2,200 件 |
予算額については、これまでは毎回このくらいの額です。
令和3年は、この予算額や件数をわずか1日で消化したことになりますので、補助を受けたい希望者に対して大幅に予算が少なかったと言えます。
令和3年の補助金の人気ぶりを考えると、令和4年に同じ予算額だとしたら、やはり1日を待たず公募終了となる可能性が高いです。それだけ、補助を受けられる可能性が低くなるということですね。
補助の内容
整備事業者が対象となるスキャンツールの新規購入時、費用の1/3を補助(最大15万円)
45万までのスキャンツールに関しては、1/3 の金額を、45万円以上のスキャンツールには一律15万円が指定口座への振り込みによって補助されます。
対象となるスキャンツールは、webサイトの「補助対象機器一覧」で確認できます。令和3年から、インターネットとつながることができるスキャンツールに限定されています。
対象は新規購入
補助は「スキャンツールの新規購入に対して」です。既に買ったスキャンツールは補助の対象になりません。
補助金の公募が開始された後に購入したものしか対象にならないので注意が必要です。
なお、新規購入とは、初めて買う場合という意味ではなく、新たに買う場合です。2台目でも構いません。
補助を受ける場合の義務(仕事)
購入後、実績報告をしなければならない
残念ながら、申請すれば何もせずに補助を受けられるわけではなく、購入後、購入したスキャンツールを使用して実績報告をしなければ補助されません。
具体的には、
整備工場に入庫する複数の一般車両に対しスキャンツールを使用して、DTC(故障コード)の有無や内容を調査・まとめ・報告すること
報告した実績報告が認められれば、補助額が振り込まれます。
補助金交付までの流れ(スケジュール)
- 申請
- 交付決定
- 購入
- 実績報告
- 補助金請求
- 補助金支払い
補助金の交付まではこのような流れになります。
大事な事は、交付決定の前にスキャンツールを購入してはいけないことです。
7月に申請したとして、順調にスケジュールがすすむと、2月か3月に指定口座に振り込まれます。
スキャンツール補助金のポイント
例年のスキャンツール補助金には、次のような注意点や使いにくい点などのポイントがあります。事前によく考えてから申請しましょう。
- 準備の難しさ
- 申請から請求まで全て自分で
- PCを使う
- 実績報告が面倒
- 1/3 という補助額
1.準備の難しさ
早い者勝ちの申請に間に合うか
令和3年では、公募開始日に即日公募が終了しています。補助を受けたい場合には、なるべく早く申請しなければなりません。
具体的に必要となる申請の準備は次のとおり
- 購入したいスキャンツールを決める(対象リストに載っているもの)
- 2社以上の部品商などから見積もりを取る
- 申請書類の作成・送付
そもそも、補助金が始まったことを早く知らなければ、「知った時には既に終わっていた」となりかねないので、情報のチェックはとても大事です。実際に「受けたかったけど終わっていた」という人がとても多いです。
2.申請から請求まで全て自分で
部品商等による代理申請が認められていない
申請や請求のやりとりは、全て申請者が責任をもって実施しなければならないことになっていますので、部品商等の診断機の購入先に申請を任せることはできません。
補助を受ける事業者が補助の内容を全て把握し、申請を行わなければならないので、忙しい事業者は特に面倒に感じるかもしれません。もちろん、部品商やスキャンツールメーカーは、いろんなアドバイスをしてくれる場合が多いので、相談する価値はあります。
3.PCを使う
- 書類は全てwebからダウンロード
- 提出書類はPC入力リスト
交付規定・公募要領・提出書類(様式)は全て、webサイトからのダウンロードです。書き方の見本なども全てwebサイトでの公開です。
また、記入についてもPCで入力しデータにする必要があり、申請先とのやりとりはメールです。PCが無い、PCが極端に苦手な人は、申請が苦痛に感じるかもしれません。
但し、電話での問い合わせにも応じているので、わからないことは電話で聞くことができます。
4.実績報告が面倒
例えば、オイル交換で入庫する車両にスキャンツールを繋ぎ、チェックし、結果をエクセルに入力します。これを複数台実施して、エクセルデータを事務局にメールで送付します。
これが面倒だと感じる人が多く、申請したものを取り下げてしまう事業者がいるようです。
取り下げるくらいなら、最初から申請しなかった方が良いので、事前に実施報告の方法を確認してください。
G-SCANなど、実績報告が簡単にできるソフトを最初から搭載しているスキャンツールがあるので、スキャンツールメーカーに実績報告の実施方法を確認すると、意外に簡単にデータ出力できる場合があります。
5. 1/3 という補助額
補助額と補助金申請にかかる労力を天秤にかける
例えば、購入したい故障診断機が9万円であれば、3万円の補助を受けることができます。しかし、上記のような手間や面倒を考えて、3万円もらうためにやる仕事かどうかを天秤に掛ける必要があります。
私なら、その金額の(比較的安価な)スキャンツールの購入に、補助金の申請する気にはならないと思います。
スキャンツール補助金を採択するには、ある程度の手間がかかりますし、結局お金が振り込まれるのが、翌年の3月です。
スキャンツール補助金をもらう順序
- 7月頃まで購入するスキャンツールを決め、公募開始の発表を待つ。
- 公募開始と同時に部品商2社から見積もりをもらう。
- 申請に必要な書類を作成し、すぐに事務局へ送付。
- 交付決定通知を待つ。
急いで準備しなければならないのはここまでです。交付決定がされた後は、ゆっくりできます。
やはり重要なのは、開始されたことを早く知ることです。
まとめ
はじめに述べたとおり、この記事の内容は令和3年(2021年)以前に実施されたスキャンツール補助事業のおおよその内容です。
今後、あるのか、ないのか、あっても同じ内容とも限りませんので、公募が開始されたら、公募要領等をよく読み、まずは申請するかしないかを決めてから行動しましょう。
なお、例年の当補助金の執行団体はパシフィックコンサルタンツ㈱であり、webサイトでは昨年の事業内容が公開されていますので、詳しく知りたい人はそちらのサイトを御覧ください。
>>>スキャンツール補助金
以上、例年のスキャンツール補助金の概要でした。