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一級整備士のメリットと年収解説/ニ級整備士との違いはどこにあるのか

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自動車整備士最高峰の資格である「一級小型自動車整備士」。しかし、メリットや二級整備士との違いが分かりにくいとの声も多く聞こえます。

この記事では、一級整備士のメリット、年収、二級整備士との違いについて、一級整備士の管理人が自らの経験やデータを基に解説します。

一級整備士を目指す若い現役整備士さん、学生さんはもちろん、整備業界について知りたい人は読む価値ありです。

この記事を書いた人:きりん

元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっています。(seibisi_net

目次

一級のメリットとニ級との違い

一級整備士の

  1. 制度的メリット
  2. 収入的メリット
  3. 技術的メリット
  4. 就活的メリット

一級整備士のメリットについて、主にニ級整備士と比べた時の違いについて、4つの観点から説明します。

1.制度的メリット

ほとんど無い

スクロールできます
無資格三級ニ級一級
(1)整備士
として働く
(2)工場に必要な
整備士の数として
数えられる
(3)特定整備の
整備主任者
になれる
(4)自動車検査員
になれる

(主任者選任
から1年後)

(主任者選任
から半年後)
(5)電子制御装置
整備の主任者
になれる

(講習・試験
必要)

(無条件)
(6)整備工場
の開業
各資格でできること・できないこと

表は整備士制度における、各資格ごとのできること・できないことをまとめた表です。

ご覧の通り、自動車整備業界の制度において、2級整備士にはたくさんメリットがありますが、2級に比べて1級整備士のメリットはほとんどありません。

整備業界では一般的に”二級整備士を持っていれば一人前”という風潮があり、制度上はそれが事実なのかもしれません。

2.収入的メリット

企業によるが、それほど好待遇ではない

技術職である自動車整備士の年収においては、資格手当初任給が大きく影響します。もちろん給与体系は企業によって大きく異なりますが、一級整備士とニ級整備士に大きな給与の差をつけない企業が一般的です。一級整備士に対して特に何の手当も出さない企業も少なくありません。

一級整備士の資格手当

0~1万円

ディーラーを含めて、私が知っている多くの企業は一級整備士手当 0円(無し)です。

二級整備士手当+1万円/月くらいの資格手当を付ける企業も知っていますが、そのような企業が少数派であることは間違いありません。

一級整備士の初任給

二級整備士より 5千円~2万円程度高いのが一般的

一級整備士を取得した(見込み)の学生が就職する場合の初任給は、二級整備士に比べて5千円~2万円くらい上乗せされるのが一般的です。

但しこの金額は、「一級整備士」によるものの増額ではなく、大卒扱い(一級整備士の専門学校の就学は4年)によるものが大きいようです。

そういう意味では、多くの企業で一級整備士の初任給は二級整備士と変わりません。

一級整備士の年収

  • 一級自動車整備士:年収420万円~(推定)
  • ニ級自動車整備士:年収380万円~(推定)

出展:平均年収.com

上記サイトでこのように書いてありました。企業によって大きく違うので、参考程度にしてください。

3.技術的メリット

知識も含めて、技術力が大きく上がります

特に現役整備士が一級整備士を取得する際には、自分の整備スキルを大幅に上げることができると思います。これは私自信の実体験でも、周りの一級整備士を客観的に見てもはっきりとしています。

ただし、学生で一級整備士過程を卒業することで得られる技術力については、懐疑的な意見も多く、メリットが少ないという意見が多いです。

学校でも技術力は上がりますが、教室で一級の勉強をしている時間と、早く働いて実務経験を積む時間を比べた時に、どちらが技術力が上がるかという問題です。

詳しくはページ下部「専門学校で一級を取得するデメリット」で後述します。

参考:一級の試験で求められる能力

  • あらゆる自動車制御装置の高い知識
  • 高い故障診断技術
  • 新技術(ハイブリッドや電気自動車など)に対する知識
  • 環境保全に対する知識
  • 安全管理に対する知識

4.就活的メリット

就活でのメリット絶大

一級整備士の資格は就職時・再就職時、他業種に就職する場合にも、大きな武器になり、有利に働きます。

自動車整備士最高峰の国家資格を持っていることは、自分のスキルとして就職時に大きくアピールできます。整備業界のみならず、社会的にも十分認められる資格です。

希望する企業への就職に繋がることや、整備士として再就職する場合にも、条件面などでも優位に働き、大きなメリットになることは間違いありません。

専門学校で一級を取得するデメリット

  1. 学費がかかる
  2. 本当の技術力はつかない

現役整備士が一級整備士の資格を取ることに大きなデメリットはありません。多少のお金や時間をかけて講習に通うこともありますが、全て自分に返ってくることですね。

しかし、専門学校に通って1級の資格を取ろうと思うと、決して小さくないデメリットが出てきます。

1.学費がかかる

4年間の専門学校にかかる学費は高額

二級整備士の資格は2年の就学で取得できるのに対し、一級はさらに2年間就学する必要があります。特に、通えない地域の学生は学費以外にもいろいろな生活費がかかります。トータルでは二級就学のおよそ倍額ですね。

学費が掛かっている分を、就職した後の給与で簡単に回収できれば良いのですが、上述のメリットで書いた通り、給与面では一級整備士と二級整備士に大きな差は生まれない現状があります。

2.本当の技術力は身につかない

専門学校は早く資格を取るための場所

早く資格を取りたいなら学校で取るのがベストですが、早く技術を身に付けたいならすぐにでも世に出て働くことが一番です。2級整備士の学校でも言えることですが、残念ながら学校では何年通っても本当の技術力は身に付きません。

本当の技術とは、現場において、お客さんと話し、さまざまな車両について実際に整備して得るものです。

専門学校に通わなくても、一級整備士の資格は働きながら取得できます。その場合の技術力は学校で取得した人の技術力を圧倒します。

専門学校で一級を取得する場合、「早い資格取得」という観点ではメリットとなり、「早い技術力の習得」という観点ではデメリットとなり得ます。

これから一級整備士を目指す人にとって、専門学校の一級過程に就学するかどうかは、将来のゴール(目標)をどこに置くかが重要です。

  • 優良企業・希望する企業に就職したい
  • 整備士として技術を磨き、家業を継いだり、独立を目指したい
  • 日本一の技術ある整備士になりたい

一級整備士の今後

一級整備士を増やす制度改革をすすめている

一級整備士制度の運用は平成の時代から始まりましたが、整備士の全体数に対して、取得者がまだまだ少なく、業界全体でもうまく活用できていない現状があります。

活用できていない理由には「制度上のメリットが少ない」ことが原因の一つになっていることが大きいため、国では一級整備士になんらかのインセンティブ(有利な事・特権)を設けようと考えています。

「一級にインセンティブを付けて、取得者を増やし、世間一般の認知度を上げる」これが国が描いている理想像です。

現在は大きなメリットがない一級整備士ですが、将来的には制度上大きな意味をなしてくる可能性が高いかもしれません。

まとめ

現在のところ一級整備士には制度、収入面での大きなメリットはありません。ただし、対外的に技術が高い事を証明する材料としては役に立つ存在になっています。

このような状況から「一級整備士を取る意味が無い」「自己満足の資格」といった論調があることは事実です。

一級整備士を目指す学生の人は特にこのことをよく考えて、専門学校に進むかどうかを考えるべきです。

ただし、一級整備士は将来の制度に何らかの形でインセンティブが設けられる可能性が高いため、取得すること自体は前向きに考えた方がよいでしょう。

以上、一級整備士のメリットと年収解説/2級整備士との違いでした。

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