整備士の合格率や難易度を徹底解説【1級整備士】/筆記試験が難しい理由

1級整備士合格率 整備士になる

「1級整備士の筆記試験はとても難しい」と、よく話題になります。実際に過去の合格率も悪く、取得している人もそれほど多くいないのが現状です。

この記事では、自動車整備士最高峰の資格である一級小型自動車整備士試験(筆記試験)の合格率と難易度について、合格率のデータからは見えてこないものも含めて、詳しく説明します。

一級整備士取得を目指す人は必見です。

この記事を書いている私は、一級整備士の資格を持つ元ディーラー整備士です。合格したのはもう10年以上前ですが、毎年問題を確認してします。

この記事の内容
  • 一級整備士学科試験、近年の合格率
  • 受験者による合格率の違い→学生の合格率が高い
  • 合格率が低い理由→必然です

チェック

一級小型自動車整備士の試験は、学科試験と実技試験があり、学科試験の中には筆記試験と口述試験があります。

この記事はその中の最初の関門である筆記試験についての説明記事です。

実技試験については実技試験の実施状況や合格率ご覧ください。

近年の合格率

それでは早速、日本自動車整備振興会連合会(日整連)が公表した、平成22年から30年まで(過去10年間)の1級小型自動車整備士試験(筆記)の合格率を紹介します。

合格率の平均は 31.4 %

試験年月受験者数合格者数合格率
H30年3月3,563人823人23.1%
H29年3月3,318人744人22.4%
H28年3月3,376人1,274人37.7%
H27年3月3,216人1,016人31.6%
H26年3月3,448人1,489人43.2%
H25年3月3,470人1,362人39.3%
H24年3月3,685人1,261人34.2%
H23年6月65人22人33.8%
H23年3月3,296人752人22.8%
H22年3月3,561人931人26.1%
  平均31.4%
 

2級や3級の学科試験に比べて、圧倒的に合格率が低いです。

補足

その年によって合格率にバラツキがありますが、これは純粋にその年の問題の難易度によるものです。出題者が合格率をうまくコントロールできていないとも言えます。

受験者の種別による合格率の違い

日本自動車整備振興会が公開している合格率のデータには見えてこないものがあります。

それは受験者の種別による合格率の違いです。

専門学校等の一級課程卒業した人の合格率と、一度社会人となって働きながら受験する人の合格率が大きく違うため、分けて考える必要があります。

ここで言う受験者の種別は次の3つに分けることができます。

  1. 専門学校等で一級整備士課程を卒業した人
  2. 働きながら各都道府県の自動車整備振興会の講習を受けた人
  3. どこの講習所にも通わず、自分で勉強した人

日本自動車整備振興会のデータは、この3つの受験者全ての人の合格率ですので、それぞれを分けて説明します。

専門学校等で1級整備士課程を卒業した人の合格率

実は、1級の筆記試験を受ける受験者の70%くらいの受験者が、専門学校や大学の1級整備士課程を卒業した人です。

専門学校卒業の人の近年の合格率は40~60%

専門学校等の一級整備士課程では、二級整備士に合格した後、さらに2年間就学することで一級取得を目指します。2年間学校で集中して勉強しますので、それ以外の人よりも当然合格率が高くなります。

例えば30年度の一級の全体の合格率は23.1%ですので、専門学校等卒業者は合格率を大きく引き上げていることになります。

この40~60%の合格率については他の受験者と比べると高いことは間違いないですが、別な言い方をすると、専門学校等に2年間就学しても4~6割の人が合格できないとも言えます。

専門学校等に就学したとしても、この筆記試験に合格できなければ一級整備士となることはできず、それに掛けた時間とお金は泡と消えてしまいます。

他業種の国家試験と比べても、専門学校等に進学し、目的となる資格が取得できない人が4~6割もいる資格はそれほど多くは無いと思いので、それだけ取得の難易度が高い資格であると言えます。

専門学校等を卒業していない人の合格率

  • 働きながら各都道府県の自動車整備振興会の講習を受けた人
  • どこの講習所にも通わず、自分で勉強した人
    の合格率は10%以下です。

つまり、もうすでに社会人となっている整備士の人にとって、一級の合格率は10%以下であるということです。

一級全体の合格率は31%ですが、専門学校生が大きく合格率を引き上げているということになりまます。

このことはあまり世間に認識されていないようです。

なぜそれほど合格率が低いのか

一級整備士の合格率が低い理由には、次のようなものがあります。

  • 合格率を低く設定している
  • 合格ラインが高い
  • 出題範囲が広い
  • 必ず新しい問題が数多く出題される

合格率を低く設定している

一級筆記試験の合格率が低い最大の要因は、そもそも出題者(国)が、合格率が低くなるように設定しているからです。

整備士最高峰の資格である一級小型自動車整備士の筆記試験の合格率を、二級や三級などの資格よりとは分けて考えているのです。

その設定された合格率とは、おそらく30~40%程度ではないかと思います。

毎年の問題を合格率がそのあたりにくるようにコントロールしているのです。

合格ラインが高い

一級筆記試験の出題数は50問です。そのうち40問に正解しなければなりません。

合格ラインは80%です。

その他の整備士の資格は全て70%ですので、一級は単純に合格ラインが高く設定されています。

出題範囲が広い

整備士の試験には公式の教科書があり、試験問題はその教科書の中から出題されると決まっています。

教科書の内容を全て網羅するように勉強すれば、必ず合格できます。そのことは一級でも同じです。

しかし、一級の教科書の数は他の種目よりも多く、さらにページ数もかなり多い分厚いものになっているため、出題範囲が広く全てを網羅する事がなかなかできないという難しさがあります。

また、技術的な知識ではない「地球環境に関する問題」などの出題があることも、ネックとなっているのかもしれません。

これまで地球環境や工場の管理に対する勉強をしたことが無い人が多いからです。

ちなみに、一級の教科書の種類は次の5冊です。

  • ガソリンエンジン
  • シャシ
  • 新技術
  • 環境保全・安全管理
  • 法令

必ず新しい問題が数多く出題される

一級の試験は、合格率をある程度低くしたいという出題者側の考えがある為、二級や三級の他の種目に比べて、過去に出題のない新しい問題が数多く出題されます。

過去に出題のない新しい問題が多くなると、合格率が下がります。少ないと上がります。

当たり前ですが、新しい問題は過去問を完璧に暗記しても解くことができません。

新しい問題は教科書の内容を本当の意味で理解していなければ解けないのです。

これが毎日勉強している学生でも4~6割の人が合格できない最大の理由です。

これまで30%程度だった合格率が、突然90%になってしまうようなことは絶対あってはいけませんので、毎回新しい問題を数多く出題し、合格率をある一定のところににコントロールしているのです。

また、一級は教科書の範囲が広いためどこからでも新しい問題を出題できるので、出題する側からすると新しい問題が作り易いとも言えます。

これらのことから、一級筆記試験の合格率が低い理由は必然なのです。

これから試験の難易度が変わる!?

今後「一級の問題の難易度が下げられる」と私は思っています。

理由の一つは「自動車整備専門学校等の団体からの圧力がある」からです。

今現在、専門学校等の1級課程に進学しても、確実に一級の資格が取得できるとは全くいえない状況です。そのことから、一級課程に進学することを躊躇する人(親御さんも含めて)がいることは間違いありません。

一級の難易度が下がれば、合格率が上がり、一級課程に進学する生徒も増えるため、専門学校側からすると願ったりかなったりです。専門学校にとって、一級の難易度や合格率というのは死活問題なのです。

さて、そのような圧力を受けて、資格を与える側の国はどのように考えているのでしょうか。

実は、国は一級整備士制度について、見直しや新たな取組みを図ることを検討しているはずです。

制度を見直す理由

  • 一級整備士があまり増えてない(受験者も増えてない)
  • 世間に認知されていない
  • そもそも一級整備士に優位性がないので、必要だと思う人が多くない

特に「一級整備士資格を取る価値・意味が無いと言う現役の整備士が多いです。

このようなことから、将来一級整備士の立場や役割を見直す時が来て、それにともない一級筆記試験の難易度が下げられるというのは、全く無い話ではないのかもしれません。

しかし今のところ何も決まっていません。あくまでも個人的な予測です。

まとめ

  • 1級筆記試験の近年の全体の合格率は31%
  • 1級課程を卒業した学生の合格率は40~60%
  • 社会人の合格率は10%以下
  • 合格率が低いのは、そもそも国がそう設定しているから
  • 今後難易度が下げられる可能性がある

以上、一級整備士の合格率や難易度についてでした。

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