- 自動車整備士の残業の理由が知りたい
- トヨタなどディーラー整備士の一般的な残業時間が知りたい
このような疑問を持つ方の為に、元ディーラーで働いていた管理人が解説します。
近年、自動車整備士の労働環境は大きく改善されていて、自動車整備士の残業時間は、以前よりもかなり減っています。
- 自動車整備士の労働時間、残業時間
- 自動車整備士が、なぜ残業しているのか
- 残業の多い工場、少ない工場
- 自動車整備士の1日の流れ
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
自動車整備士の残業時間

全体的に見ると、自動車整備士は他の肉体労働の業種に比べて残業が多い職業と言えます。
整備士の残業が多い理由
その日に必ず完了しなければならない仕事が多いから
整備工場ではその多くの仕事を、1日、1日、その日のうちに完成させていきます。「明日、朝から車を使う」というお客さんの要望に答えるためです。
そもそも、「今日中に終わります」など、納期を約束して仕事を請け負いますので、なにかトラブルがあったからといって、その約束を破るわけにいかず、そういう場合は基本的に「完成するまで」仕事は終わらないということになります。
その結果、昔から自動車整備工場は残業が多い傾向にあります。
しかし、整備工場の形態・種類・人材不足・仕事のコントロール能力などによって、全く残業が無い工場もあれば、毎日のように残業する工場もあり、ひとくくりにできません。残念ながら、整備工場には残業が多い工場と少ない工場がはっきりと分かれてしまいます。
自動車整備士の労働時間(定時)

自動車整備工場で働く整備士の労働時間は、8時間労働が多いです。
整備工場の地方にもよりますが、下記の時間帯が多いです。
- 8:30~17:30
- 9:00~18:00
- 9:30~18:30
都会の整備工場、ディーラー、指定工場になればなるほど、全体の時間帯が遅くなる傾向があります。
お客さんに農家さん等が多い地方部では、出勤が早い傾向にあり、都市部になるにつれて遅い傾向があります。また、認証工場では、国の検査場の時間の関係で出勤時間が早い傾向があり、指定工場では国の検査場が関係ないので遅い傾向があります。
近年導入されつつある、ショートタイム雇用やパートタイム雇用は、ディラーにおいてはほとんど無いと言っていいでしょう。
全体的に見ても自動車整備工場の出勤時間は、他の業種から比べると比較的遅いので、都会では朝の通勤ラッシュからずれていることも多く、その点は良い点です。
整備工場の人材不足による残業時間の違い
整備士不足の工場→残業多い
現在、自動車整備業界は人材不足が顕著になってきており、日整連の調査では、約50%の整備事業者が「人材が不足している」と答えています。

整備士が不足している整備工場では、整備士一人に対しての仕事量(入庫量)が多いため、残業が多くなります。また、規模の大きな整備工場ほど人材不足が顕著になっているというデータがあります。当たり前と言えば当たり前です。
整備工場の形態・種類による残業時間の違い
小型車ディーラー → 残業多い
自動車整備工場といっても、自動車ディーラー、大型車メイン、スタンドなど様々な形態(種類)があり、その形態(種類)によって、残業の多い・少ないが変わります。
これまで、「整備工場は残業が多い」「人材不足の工場は残業が多い」と表現してきましたが、特に残業が多い整備工場の多くは、トヨタ、ホンダなどの名前がつく小型自動車ディーラーです。
それ以外の整備工場は、それほど他の業種と変わらないところが多いです。全くないところもあります。
よく言われる「整備士は休みが少ない」「整備士は残業が多い」というのは、ディーラーがそういうイメージを作ったと言っても過言では有りません。次にディーラーが残業が多い理由について説明します。
※残業の有無は、もちろんその会社によって全く違いますが、一般的なイメージとしてとらえてください
整備工場の違いについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
小型自動車ディーラーの残業が多い理由
- 人材不足の工場が非常に多い
- 近年リコール作業が増えてきている
- ディーラーでしかできない仕事が増えてきている
- メンテナンスパック等による入庫量の増加
小型自動車ディーラーとは、トヨタ、日産、ホンダ、ダイハツなど、自動車制作メーカーの名前が付く整備工場のことですが、ディーラーの残業が多い理由は、上記のようなものがあります。
また、自動車整備工場の中で最も多く「一般のお客さん(法人でないお客さん)」を相手にしているのがディーラーです。
特に一般のお客様に対してはCS(顧客満足度)を追求しているため、時間の制限との両立が難しく昼休みも取れない、昼ごはんも食べない状態で仕事をしている人もいるくらいです。私が働いていたのも小型車ディーラーです。はっきり言って、毎日が残業でした。
同じように、近くにあったディーラーも毎日が残業でしたし、ディーラーでは悲しい事に普通です。平均の退社時間は8時くらいででしたが、最大では深夜1時くらいまで働いたことがあります。
しかし、近年はディーラーの働き方改革もあり、残業時間が極端に減っているディーラーが増えていますので、あまり参考にならないかもしれません。
ディーラー以外の整備工場の残業
それほど多くない
整備工場によって違うとしか言いようがありませんが、全体的にはディーラーより圧倒的に少ない場合が多いです。
例えば、スタンド併設工場では、営業時間以外に整備をしている様子を見たことが無いですし、バスやトラックをメインで扱う工場でも、それほど残業が多くないようです。
ディーラー以外で残業が多い工場は、そのほとんどの場合「極端な人材不足」が原因になっていると思います。
残業中の仕事内容

- 新車の整備(ナビ・ドラレコをつけたり、タイヤの交換をしたりする新車の納車に関わる整備)
- 販売した中古車の整備
- 難解故障診断整備
- 極端に状態が悪いなどで、何日も借りている車の整備
上記は、私がディーラー時代の主な残業中の仕事内容です。
残業中は、日中に完了できなかった仕事をするのは当然ですが、納期にある程度余裕がある仕事をします。
日中は、今日中に完了しなければならない仕事をする。それが終わった夕方から、納期が今日でない仕事をするというイメージです。
残業の多い時期

2〜3月が圧倒的に残業が多い
2〜3月は自動車業界では繁忙期で、1年の売上の3分の1をこの2ヶ月で売り上げる会社もあるくらい、極端に忙しくなります。理由は、車両販売の多さと、車検の多さです。
ディーラーもその他の整備工場でも、この2〜3月のために十分な人数を雇用している訳ではないため、残業ありきで考えています。
繁忙期のために余裕を持って整備士を雇用するのでなく、2〜3月は残業で乗り切るという会社の考えです。そのため、その月の残業は当たり前です。
整備士の1日
ディーラー整備士の1日をこちらの記事で紹介しています。
朝の出勤から退社まで、自動車整備士どんなふうに過ごしているのかが具体的にわかります。私が経験した実際の話ですので、参考になると思います。
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まとめ
世間では、自動車整備士は残業が多いというイメージがあり、これから目指す人は心配になる人も多いと思います。実際には、残業が多い整備工場のほとんどが小型車ディーラーです。
それでも、近年の働き方改革の広まりや、自動車整備業界の待遇改善などの気運が高まり、徐々に良い方向に変わってきています。この記事の内容はあくまでも「一般的な傾向」という意味でとらえてください。
以上、自動車整備士の残業時間についての解説でした。