整備士になる

自動車整備士のやりがい・魅力・メリットを元ディーラーの一級整備士が解説

自動車整備士の魅力

自動車整備士という職業について、若者を中心にインターネット上ではかなり否定的な意見が飛び交っています。

特に給与や待遇の悪さについては、「本当にそんなに低い給与なの?」と目を疑う内容の記事やツイートも見受けられます。

もちろん、長年自動車整備士をしていた私にも、共感できることもありますし、整備業界の悪いところもたくさんあります。

しかし、自動車整備士の仕事には魅力や、やりがいもたくさんあります。

今回の記事は、私が実際に整備士として働いていた経験から、そんな自動車整備士の魅力を存分にご紹介します。こんな時だからこそ、自分も自動車整備士のやりがいや魅力を改めて考えてみます。

チェック

以前、この記事はてなブログで取り上げられ、話題になりました。主に同業の整備士さんから記事の内容についての批判でしたが、今もあえて掲載を続けています。

自動車整備士のやりがい

整備士
  • 直接感謝される
  • 整備後の達成感

自動車整備士のやりがいと言われて、おそらく多くの人が答えるのがこの2つです。

直接感謝される

お客様に直接感謝されることは、自動車整備士最大のやりがい

自動車整備士は、お客様から「ありがとう」と直接言われることが非常に多い職業です。

例えば、生産工場などで働く人や、農業、漁業を営む人などは、お客様から直接感謝される機会はそれほど多くないかもしれません。

自動車整備士は、車の事故や故障などのトラブルで、かなり緊迫した状況や困り果てたお客様の対応をする機会がとても多い職業です。

そのような状況でうまく対応することができれば、自然とお客様から感謝され、心からの「ありがとう」をもらうことができます。

長年整備士をしていた自分の経験から、やはりこれが一番の”やりがい”だと思います。

多くの事故やトラブルに直面する整備士の仕事は、人の命や安全を守るために、とても重要でやりがいのある仕事です。

大きなやりがいを感じた経験

真夏の炎天下、チャイルドシートに赤ちゃんを乗せたまま鍵を閉じ込めてしまい、ドアを開けられなくなっていた母親からの救援依頼がきました。
私はすぐに現場に行きましたが、赤ちゃんは車内で泣きわめき、母親はパニックになり、室内の温度はどんどん上がっていきます。
JAFが来るまでも待てず、私はひたすら一生懸命鍵開け作業を試み、なんとか鍵を開けることができました。
母親は赤ちゃんを病院に連れて行った後に、私の会社に来て、ていねいにお礼を言って帰られました。
私は心から良かったと思うと同時に、あらためて整備士のやりがいを考えさせられました。

整備後の達成感

自動車整備の仕事は、毎日のように達成感を感じることができる仕事です

特に、難解だった故障の原因を突き止めたり、エンジンの載せおろしなどの時間や手間のかかる整備の完了後には誰しも大きな達成感を得ることができます。

自分にも、大きな達成感を得られた忘れられない整備がいくつもあり、いまでも鮮明に状況を思い出せるほどの、良い思い出になった整備経験があります。整備士であれば、おそらく皆さんにあるのではないでしょうか。

また、自動車整備士の毎日の仕事は、単調ではありません。

整備する車は、車種や年式、走行距離などが違い、それぞれの車のいろんな部品を整備することになります。毎日の仕事に一つとして同じ整備・修理はなく、一定の新鮮さがあります。

自動車整備士は、次から次へといろんな車の整備をしていき、一つ一つ解決させ、その都度自分もスキルアップしていく仕事であり、毎日、大小の達成感を得ることができる仕事です。

自動車整備士の魅力・メリット

自動車整備士は魅力やメリットが多い職業です。代表的なものを説明します。

  • 仕事に困らない
  • 田舎や実家の近くにも必ずある
  • 働きながら資格が取れる
  • 車に掛かる経費を節約できる

仕事に困らない

現在、自動車整備士は引く手あまたの売り手市場

理由は整備士は全体的に人材不足だからです。

現状、整備士の資格や経験があれば、就職できないということはなさそうです。

「整備士の仕事はどこにでもある」これは、自動車整備士の大きな魅力ですね。

チェック:整備士人材不足の原因

  • 少子化や若者のクルマ離れ
  • 整備士を目指す若者の激減
  • 高齢化、団塊の世代の引退

この問題は年々深刻化しており、最近では外国人整備士の受入も進んで来ています。

【自動車整備士の平均年齢】

      出典:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

【整備要員の不足状況】

出典:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

上のグラフを見ると約5割の整備事業者が不足であると答え、さらに1割の事業者が、既に不足で支障をきたしていると応えています。

整備事業者はとにかく人が欲しいです

ハローワークの検索システムで、「自動車整備士」で検索すると、東京都の場合271件の求人、神奈川県で309件、大阪府で344件、愛知県で474件ヒットしました。(平成29年10月)

もし求職するとすれば、たくさんある求人の中から、自分の条件にあった会社を探すことができるでしょう。

将来的にも整備士は、仕事が無い状態にはならないと予測されており、そういう意味で自動車整備士は仕事に困ることは無いと言えます。

※人材不足は、自動車整備士の待遇改善の動きも加速させています。

田舎や実家の近くにも必ずある

整備士

全国にある整備工場は約9万2000工場

コンビニは5万5000店ほどなので、コンビニよりも整備工場は多いことになります。

整備工場は全国どこにでもあります。

当然、地方にも相当数の整備工場がありますので(クルマ社会の地方の方がむしろたくさんあります)、みなさんの地元にも必ずあるはずです。

みなさんの自宅から近い職場を選んで就職すれば、朝晩の通勤ラッシュや満員電車を避け、実家暮らしができます。

通勤ラッシュや満員電車のストレスを感じることがなく生活でき、さらに自分の時間が増えることは幸せな事だと言えるのではないでしょうか。

また、様々な事情により、家から近い職場で仕事を探さなければならない人も多いはずです。

「実家の近くの職場を探せる」

これは、とても大きな整備士の魅力の一つです。

メモ

全国の整備資格を持った整備士の数は約34万人と言われ、資格を持たない整備要員を含めると、40万人と言われます。小学校の教員は41万人で、中学校教員は25万人です。整備士の人数がいかに多いかがわかるでしょう。どこにいっても、整備士の仕事が無いということは無さそうですね。

関連記事>>>【自動車整備士の転職先】異業種のおすすめは製造業など5種類

働きながら資格が取れる

整備士の資格は働きながら取ることができ、常にスキルアップできます

整備業界では、全国の整備振興会で講習を受けて整備士の資格が取れる制度があります。

その制度を利用すれば、専門学校等に通う費用も抑えられ、働いて収入を得ながら、勉強することができます。

また、その費用を整備工場が負担するケースも少なくありません。会社が資格を取らせてくれるのです。

働きながら勉強を続け、3級、2級、1級整備士へとステップアップできるこの仕事はとても魅力的です。

>>>自動車整備士が転職するメリットとデメリット/経験者の解説

車に掛かる経費を節約できる

貯金箱

自分や家族の車を自ら整備できる自動車整備士は、なにかにつけて車に掛かる経費を抑えることができます。

車検やオイル交換などのメンテナンスに掛かる経費は、社員割引等が適用されます。自宅駐車場などで自分で作業し節約する人も多いです。

さらに、会社によっては中古車や新車でさえ安く買うことができます。

例えば、インターネットで購入したナビやETC、タイヤなど、全て自ら取り付けることができれば、作業工賃は0円です。

あなたや家族が、どれだけ車にお金が掛かっているかをぜひ考えてみてください。

これらの経費が削減できることを考えると、自動車整備士の仕事は給料だけでは見えてこない、とてもお得な職業と言えます。

その他の魅力

自動車整備士をしていると、自動車整備以外のいろんなスキルが身に付きます。

商売のノウハウ、保険のノウハウ、自動車に関する法律、さらには家庭の電気、ガス、水道、家電製品にいたるまで、いろんな技術や知識が身に付きます。

どれも生活に役立つもので、私もこの点は特に「整備士やってて良かったな」と思うところです。

ちなみに私は家のエアコンのフィルタを自分で掃除し、水道の水漏れを直し、お風呂場の換気扇を自分で交換します。工賃は0円です。

自慢ではありません。私だけではなく多くの整備士が自分の整備士として培ったスキルを、家庭で利用していると思います。

どれもこれも整備士の経験があってこそです。

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整備士はクソみたいな仕事じゃない

残念なことに、自動車整備士という仕事は、世間にあまりいい印象を持たれていないのかもしれません。

近年の「自動車整備士の給料が安すぎる」事件でもネット上にひどい書き込みがたくさんあります。

整備士本人が書いた書き込みも多いと思く、それは素直にとても残念に思います。彼らを攻める気は毛頭ありません。本当にかわいそうとしか思えません。

でも、それが整備士の全てではありません。もちろんホワイト企業だってたくさんあります。

全体的には給料が安いところが多いかもしれませんが、自動車整備士という職業は、ここに書いたようにやりがいや魅力も多い職業です。

この記事が、特に整備士を目指す若者にたいして、ポジティブな刺激になることを心から願います。

以上、自動車整備士のやりがい・魅力についての記事でした。

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