- ディーラー整備士の仕事がきつい
- 就職して間もないけど、もう辞めたい
- 給料安い・先輩怖い・パワハラひどい
ディーラーに就職したのはいいものの、給料は安い、仕事はきつい、上司や先輩が怖いなど、この会社で本当にいいのだろうかと考える、若い整備士も多いですね。
私も整備士として地方ディーラーで働いていましたが、特に若いころはきつかったです。今では、その時の知識やスキルを活かして自動車業界の別の職種で働いています。
この記事では、私がディーラーを辞めてから思うことを中心に、若いディーラー整備士の方に向けてアドバイスします。
辞めることはいつでも可能です。 ディーラー整備士を続けるメリット・デメリットをあらためて確認し、将来への考え方、転職か継続か、ディーラーの本質をとらえて、後悔しないように冷静に考えたいですね。
この記事を3分読んでからまた考えましょう。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
ディーラー整備士を辞めるべきか

- 整備士自体を辞めたいと思うなら、今すぐ辞めるべき
- 整備士を続けるのであれば、割り切って5年以上働くのも有り
若い整備士さんから「きつい・辞めたい」と相談された時には、いつもこのようにアドバイスさせてもらってます。
整備士という職業自体をやめるのであれば、今すぐ辞めて転職すべき
ディーラーで整備士として働きながら、自動車以外のスキルを磨くことは難しく、精神的にもだんだん疲弊していきます。
若いあなたにはどんな可能性もまだまだ残っています。給与面でも、若い整備士であれば別の仕事であっさり超える可能性があります。早く次のステップに行き、そこで自分の別のスキルを磨くことをおすすめします。
個人的には残念に思いますが、実際に辞めたいと思う整備士さんは多く、これは整備業界が改善していかなければならない問題です。
整備士の転職理由
- 1位:賃金の条件がよくなかった
- 2位:労働時間の条件がよくなかった
- 3位:休日・休暇の条件がよくなかった
- 4位:自動車整備業を続けていくことに対して魅力・安定性を感じなかった
- 5位:賞与がなかった・少なかった
いくつか当てはまる整備士さんも多いですよね。整備士の転職方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
>>>自動車整備士が転職するメリットとデメリット/経験者の解説とおすすめ転職サイト
整備ミスをしたのをきっかけに辞めたい
もし、「整備ミス」が原因で、整備士が向いていないと感じている場合は、一度立ち止まってしっかり考えた方が良いと思います。これは私の経験から言えることです。
過去にツイッターで、このような投稿をした所、整備士さんからたくさんの共感を得ました。

※私のツイッターをさかのぼれば、今もこの投稿を見ることができます
若い頃はミスをすると辞めようと思うものです。弱気になっているだけかもしれません。後悔する可能性あります。
もしそうであれば、この記事をぜひ読んでください。これはそんなあなたのために書いた記事で、価値のある内容かもしれません。
ミスをしたタイミングで辞めると後悔します。辞めるかどうかは整備ミスとは関係ないところで考えましょう。
>>>整備ミスを繰り返す整備士は向いていない訳じゃない【断言】
整備士を続けるのであれば、割り切って5年以上働くのも有り

ディーラーで働くことは整備士としてたくさんのメリットがあり、その後の整備士人生が大きく変わる可能性があります。
教育体制のしっかりしたディーラーで5年以上働けば、必ず将来の糧になります。ディーラー整備士のメリットをもう一度考えてましょう。
ディーラー整備士のメリット

高い整備技術が習得できる
なぜディーラーの整備士は高い整備技術が身につくかというと、次のように明確な理由があります。
- 自社の車に対する徹底的な修理
- 自動車メーカーの技術研修を受けられる
- 信憑性の高い自動車メーカーの高度な技術情報が手に入る
- 有能な先輩整備士が多い
この中でも特に自動車メーカーの技術研修が受けられることには、とても大きな価値があります。これは自分の経験からわかることです。
「ディーラーでは整備士の教育」に対して、相当の時間とお金をかけています。大抵の民間整備工場が社員教育に掛ける時間やお金と比べ、比較にならないと思います。
自動車メーカーは、ディーラー整備士の一人ひとりが高い技術力を持つことが、自社メーカーのブランド力になり、それが車販に繋がると確信しているからですね。
多くのディーラーでは、初めの頃は社内で行う新人研修から始まり、毎年どんどんステップアップできるカリキュラムが導入されています。他では得られない知識や技術が身に付いていきます。
自動車メーカーが実施する研修は、民間の整備工場ではなかなか受けることができません。そのため民間の整備工場の整備士よりもディーラーの整備士は高い整備技術が習得できるのです。
ディーラーは整備技術を習得するには、これ以上ない良い企業です。
チェック
私は10年以上整備士としてディーラーに在籍していましたが、特に整備技術の習得に関しては今でもとても感謝しており、今の自分があるのは100%ディーラーでの整備経験や教育体制があったからだと思っています。
5年以上の経験が必要な理由
例えば、ディーラー整備士を次のように分けたとします。
- 経験が3年以下
- 経験が5年以上
この差は大きいです。
ディーラーではうまく進めば5年程度で研修を終えるのが一般的です。そのくらいで一人前のような感じですね。
仮に、経験が3年以下の整備士さんが、民間整備工場で働こうとした場合のイメージは次のようになります。
- ディーラーにいた経験がほとんど評価されない
- できない仕事だらけ
- 同年代の整備士から技術やスピードで劣る可能性大
厳しいですが、これが現実かもしれません。整備士は基本、実力社会ですから。
逆に5年以上の経験が有る整備士さんなら、再就職してもあまり心配いらないと思います。基本がしっかりしている整備士は、どこにいっても大丈夫です。また、独立しようとした場合も、そのくらいの期間のディーラー経験はとても役にたちます。
ディーラー整備士のデメリット

- 仕事の割に給与が安い
- ブラック体質
- 強いプレッシャーやパワハラ
- 休日が少ない
いずれかに当てはまるディーラーが多いと思います。私の場合は、休日の少なさと、土日出勤が一番の転職理由でした。
仕事の割に給与が安い

整備士の給与は安い
このことは、いろんなデータで明らかになっています。
給与の安さだけで言うと、ディーラーよりも民間の整備工場は更に平均給与が低いですので、ディーラー整備士のデメリットというより、自動車整備士全体のデメリットかもしれません。
しかし、ディーラーの場合、土日・祝日が全て仕事だったり、帰宅時間が遅かったり、整備と関係のない仕事をさせられたりと「仕事の割に安い」と感じる人もいます。少なくとも私はそう思っていました。
さらに、ディーラーによっては、給与天引きで会社が提携する生命保険に加入させられたり、何かの積み立て金が多かったり、欲しくないものを物を無理やり購入させられたりするところもあり、手取りが極端に少ない人もいるようです。
整備士の給料
民間の整備工場の整備士に比べると、 ディーラー整備士の方が給与が高い傾向にあります。また、 賞与(ボーナス)についても、他の民間整備工場より良い可能性が高いです。
もし、民間の整備工場に転職を希望する場合は、給与が下がる可能性が高いことを考えておくべきかもしれません。
私のディーラー整備士10年目の実際の給与を、こちらの記事で説明しています。参考にしてください。あなたの給与と比べてどうでしょうか。
>>>自動車整備士の給料・年収の実態【元ディーラーの一級整備士が給与明細を告白】
ブラック体質
- 拘束時間が長い
- サービス残業
- サービス出勤
残念ながら、こういった声は今でも聞こえてきます。
- ディーラーの営業時間は9時半からで、定時も9時半からなのに、毎朝8時に出勤していて、その分の手当てをもらっていない
- 定時は18時までなのに、毎日19時からしか残業時間として認められない
特にこれ、ディーラーあるあるなんです。要するに毎日がサービス残業になっています。「拘束時間が長い」と言えます。
本来、このような働き方は労働基準違反になるところが多いと思います。このあたりの話はネットの書き込み等でも良く見られますね。
休日に関しても、年間を通して休みが少ないところも多く、お店の営業日全て出勤してしまうと、労働基準の違反になるディーラーが多いです。
なので「必ず一ヶ月に一度は個別で休みを取ること」などの社内規定を設けているディーラーが多いですね。しかしそれがしっかり守られていないディーラーも中にはあるようです。
また、マネージャーなどの管理職になると残業代が出ないばかりか、休日の日に出勤して仕事をすることが普通になっているディーラーもあります。そのため「マネージャーなんかになりたくない(出世したくない)」と話す若い整備士がたくさんいますね。
特に管理職の人で、「過労やうつが原因による死亡」が多い事も、業界では知られています。
強いプレッシャーやパワハラ

ディーラーで働く限り、一生ノルマと戦い、プレッシャーを受け続けます
ディーラーは厳しい営業ノルマがあることも多いですね。ノルマが達成できない人は厳しい叱責を受け、評価にも大きな影響を及ぼします。
一般の整備士は常にマネージャーからのプレッシャーがあり、マネージャーは店長や本部の部課長などからプレッシャーがあります。
その中で、いわれの無い叱責や大勢の人の前での叱責、人権侵害ともとれる何らかの強要など、今ではパワハラと呼ばれるようなことが、残念ながらまだまだたくさんあるのがディーラーと言われています。
全ての従業員が常にノルマなどの大きなプレッシャーの中で、心に余裕がなく働いていることで、普段は温厚な人でも、性格が変わりパワハラする側に変わってしまう事もあります。
このパワハラ体質は以前よりも良くはなっていると思いますが、残念ながら他の企業に比べるとまだまだ多く残っているのがディーラーと言えそうです。
ディーラーの休日
今ではほとんど全てのディーラーが土日や祝日の営業をしています。
特に家庭を持つエンジニアにとっては土日や祝日に休めないというのは大きなデメリットであり、これが原因で転職を考える人も多いです。私が辞めた大きな理由はこれです。
ディーラー整備士の将来
整備士を経て、サービスフロントになり、サービスマネージャーになり、店長になる。
多くのディーラーで、整備士の出世街道はこんな感じです。
しかし、多くの人が途中で営業職や本部の事務職に配置換えがあったりする事はあまりにも有名です。もちろん、マネージャー、店長まで出世できる人はほんの一握りです。
給与に関しては出世すれば改善されていく傾向がありますが、上記のようなデメリットを踏まえると、どちらが良いのは考えものですね。自分だったらそこは目指しません。
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まとめ
- 整備士自体を辞めるなら、今すぐ辞めるべき
- 整備士を続けるならば、5年以上はディーラーにいるべき
決して一時的な感情に流されず、冷静に客観的意見を参考にしながら良く考えてください。
人生を決める大事な場面です。
この記事が、読んだ人の参考になれば幸いです。以上、ディーラー整備士が辞める前にチェックしたい事でした。