自動車を所有する人は、毎年5月頃に自動車税を納付しなければなりません。自動車税の納付は、自動車の所有者(または使用者)の義務です。しかし、さまざまな事情で期限内の納付が難しく悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、自動車税を滞納するとどうなるのか、どのくらいまで滞納できるのか、猶予される場合があるのかなどについて整備士ねっとチームが解説します。
自動車税はいつまで滞納できるのか
滞納すると7月頃から延滞金の発生があり、その後催告書などが送られてきます。
自動車税は、毎年5月上旬に納税通知書が入った封書が、車の所有者(または使用者)の住所に送付されます。納付期限は5月31日で、それまでに全額を納付しなければなりません。
6月に納付してしまうなど、1ヶ月程度遅れる分には、督促状は届きますが、それほど大きな影響はありません。納付期限を過ぎ、7月、8月となると延滞金が発生してきます。
自動車税の納付が遅れた場合の流れ
- 督促状が届く
- 延滞金の発生が始まる
- 催告書が届く
- 差し押さえ予告書が届く
- 差し押さえが実行される
滞納を含めた自動車税の取り扱いは、自治体(都道府県)によって若干の取り扱いの違いがあるものの、概ねこのような流れになるようです。
1.督促状が届く
自動車税の納付期限(多くの場合5月31日)を過ぎても自動車税を支払わなかった場合は、自動車の所有者(場合によっては使用者)の住所に督促状(トクソクジョウ)が送られます。
督促状とは、支払いの「催促」のような意味合いのもので、滞納を続けると、期間を置いて何度か送られてくる可能性があります。
なお、所有者及び住所は車検証で確認することができます。
2.延滞金の発生が始まる
延滞金の発生は納付期限の翌日(多くの場合6月1日)から始まりますが、「1,000円円を超えるまで支払わなくて良い」という運用がされているので、実際には9月頃から延滞金の支払い義務が生じてきます。
なお、延滞金は最大で8.9%となっています。
3.催告書が届く
何度かの督促状を無視して自動車税を払わないままでいると、次に催告書が送られます。催告書は、「催促」の意味合いがある督促状よりも重い意味があり、「警告」のような意味になります。
催告書は何度も送られてくる可能性が高く、内容には「新たな納付期限」と「差し押さえに関する警告」が記載されているようです。
4.差し押さえ予告書が届く
何度かの催告書を無視して、自動車税を払わないままでいると、差し押さえ予告書が送られます。予告書は「これを無視したら本当に差し押さえします」という意味があり、最後通告です。
内容には「新たな納付期限」と「差し押さえする旨」が記載されているようです。
5.差し押さえが実行される
差し押さえ予告通知書が届いた後も自動車税を納付しなかった場合は、差し押さえが実行されます。その場合「差し押さえ調書」というものが届き、いつどんなものが差し押さえられるのかが記載されています。
ここまでいってしまった場合には、まず自治体に相談する必要があるでしょう。
差し押さえとは
差し押さえは、借金や未払いの債務などによって、裁判所がある財産を強制的に没収する手続きのことを指します。
具体的には、債権者が裁判所に申し立てて、債務者の所有する不動産や自動車、預金口座などの財産を差し押さえることができます。差し押さえられた財産は、債務者が債務を履行するまで、仮差し押さえ状態になり、債務者が債務を履行すると、裁判所の決定に基づき、財産が解除されます。
自動車税を滞納した場合の罰則・ペナルティ
- 車検に合格しない
- 納税証明書が発行できない
- 延滞金の負担
- 財産の差し押さえ
1.車検に合格しない
自動車税が未納である場合、車検に合格しません。
車検を受ける際には、自動車税の納付状態が必ず確認され、未納では新しく車検証が更新されないシステムが構築されています。自動車税の未納・滞納は、例外なく車検に合格できません。
なお、車検時には、車検を受ける時期から遡って、最も最近の4月の支払い状況が確認されます。
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2.納税証明書を発行できない
自動車税を納付しなければ納税証明書を発行することができません。納税証明書が発行できない場合は、主に車の売却ができなくなります。
3.延滞金の負担
期限までに納付されない場合、日数に応じて延滞金が発生します。
延滞金は滞納すればするほど利率が上がり、最大で8.9%にもなる場合があります。
4.財産の差し押さえ
納付期限を大きく超えてしまっても納付しなかった場合、財産が差し押さえられます。この場合、差し押さえ通知書が届き、自動車や銀行口座の差し押さえが行われることとなります。
参考統計データ
国税庁によると、2021年度の自動車税の納付実績は、約5,571億円でした。一方、未納額は約302億円、未納件数は約120万件となっています。
なお、支払い方法が増え納付者の利便性が良くなったため納付率は年々上がっているというデータもあります。
自動車税の支払いが猶予される場合
国税の猶予制度は、一時に納税をすることにより事業の継続や生活が困難となるときや、災害で財産を損失した場合などの特定の事情があるときは、税務署に申請することで、最大1年間、納税が猶予される制度です
国税庁
国税庁のHPにはこのように書かれています。さらに条件は次のとおりです。
- 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められる
- 納税について誠実な意思を有すると認められる
- 猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がない
上記のような状態で、一定の条件を満たす場合に限り自動車税の猶予が認められます。しかし、猶予期間中に利息が発生することや、猶予期間の終了後に一括で支払う必要があることに注意する必要があります。
なお、現在、コロナウィルス感染症の影響で納税が困難になってしまった場合に納税が猶予される特例が出ています。
該当する可能性がある場合は、自治体などに問い合わせを行いましょう。
自動車税を支払えない場合の対処法
- 分割払いが可能か問い合わせる
- 猶予制度を利用する
- クレジットカードで分割払いにする
- カードローンを利用する
自治体によっては、事情を説明し相談すると、分割払いが可能になることがあるようです。同時に猶予制度などが利用できるかについても相談できます。
また、現在はクレジットカードによる納税ができるようになりましたので、クレジットカードで分割払いを選択することで、分割納税が可能です。
さらに、比較的早く資金調達ができる消費者金融の借り入れで支払うことも選択肢の一つです。
自動車税6つの支払い方法
- 納税通知書(納付書)による現金納付
- クレジットカード
- インターネットバンキング
- 口座振替
- スマートフォン決済
- 電子マネー
自動車税の支払い方法は「1.納税通知書による現金納付」が、昔から実施されていた馴染みのある方法です。しかし現在は、自治体(都道府県)によって他にもいろんな支払い方法があり、自治体によって対応するものとしないものがあります。
また、支払い期限を過ぎた場合には、延滞金が発生することや、支払い方法が限定されることがあるので注意が必要です。詳しくは自治体に問い合わせましょう。
1.納付書による現金納付
納税通知書(納付書)に記載されている期限までに、金融機関やコンビニエンスストアで納付する方法で、最も一般的な方法です。なお、納税通知書(納付書)は、4月上旬に自動車の所有者、または使用者の住所に送付されます。
2.クレジットカード
パソコンやスマートフォンなどから専用サイトを利用して、クレジットカードで納付します。詳しい方法については自治体に問い合わせましょう。ただし、決済手数料が個人負担になっていることに注意が必要です。
3.インターネットバンキング
インターネットバンキングを利用すると、どこからでも手軽に支払いができます。ただし、あらかじめ機能の金融機関で利用申し込みをしておく必要があります。
4.口座振替
銀行預金の口座振替を利用する方法です。口座振替を利用すれば、毎年自動的に支払いが行われます。
5.スマートフォン決済
PayPay、d払い、LINE Payなどのスマートフォン決済アプリを利用する方法です。納税通知書(納付書)にバーコード等がついている場合はスマートフォン決済が利用できます。
6.電子マネー
納税通知書(納付書)をコンビニエンスストアなどに持参し、レジで電子マネーを使って納付する方法です。
いずれの方法も自治体によって細かく違うため、「1.納税通知書(納付書)による現金納付」以外の方法で納付をしたい場合には、事前に自治体に問い合わせるといいでしょう。
自動車税の軽減措置
自動車税の軽減措置には、障害者控除や環境性能に優れた自動車に対する減税があります。特に障害者控除については事前に申請しなければならないので注意が必要です。
1.障害者控除
身体障害者や知的障害者が障害者控除を受けることができます。控除額は障害の程度によって異なります。この措置は、障害者の交通機会の確保や自立支援の一環として設けられています。
2.環境性能の優れた自動車に対する減税
自動車取得税に対して、環境性能が優れた車両に対しては非課税や減税の措置があります。排気ガス基準や燃費性能など、一定の基準をクリアした自動車に適用されます。
自動車税の納付のポイントと注意点
自動車の納付をスムーズに行うためには、事前に自動車税の納付期限や支払い方法を把握することが重要です。納付期限や支払い方法を把握していれば、自分にあった方法で余裕をもって納付することが可能になります。
また、電子マネーなど支払い方法によっては、ポイント還元やマイルが貯まる場合があるため、上手に活用することができます。
不明な点がある場合は自治体の窓口や国税局に問い合わせましょう。
まとめ
自動車税は期限内に納めることが重要であり、期限を過ぎた場合は、すぐに納税手続きを行うことをおすすめします。納税期限は5月31日までとなっており、期限を過ぎると延滞金が発生します。
さらに未納が続いた場合、最悪の場合、強制執行措置が取られることもあるため、注意が必要です。
自動車税の滞納が原因で強制執行措置が取られた場合、差し押さえられる資産は自動車だけではなく、不動産や銀行口座なども含まれます。また、強制執行によって取り立てられた金額が、納税額よりも高額になる場合もあります。自動車税の納付は、事前に余裕を持って準備しましょう。