・車のバッテリーは充電で復活しないのか?
・できれば新しいバッテリーを購入したくない
・健全性(SOH)とはなんだろう
バッテリートラブルを抱えている人なら誰もが思う疑問ですね。
この記事は、容量が低下したバッテリーを充電すると回復するかについて、元ディーラー整備士が検証し解説します。
3時間充電しても健全性0%!?
それでは、実際に検証してみます。
車両:平成18年式エクストレイル
症状:2日前の寒い朝にバッテリー上がり。
救助方法:他の車からブースターケーブルで始動した。
充電前の状態確認
まずは、充電前のバッテリーをバッテリーテスターで診断してみます。
上の写真がバッテリー診断結果のプリントです。
・充電量100%
・健全性0%
レスキューした後、しばらく走行したので、充電量は100%になっていますが、健全性は0%です。
このバッテリーは上がりやすい状態にあると言えます。
上がりやすい状態というのは、「2日間乗らないだけでも、上がってしまう」や、「少し寒い日になるとエンジンがかからない」などの症状が起きやすいということです。
バッテリーの健全性とは
健全性とはバッテリーの「健康状態」と考えるとわかりやすく、専門的にはSOH(State Of Health)と表されます。
スマートフォンを例に説明します。
スマートフォンは長く使うとバッテリーの持ちが悪くなりますね。それはバッテリーの健全性(健康状態)が悪いからです。スマートフォンをいくら充電しても、持ちがよくなることはありません。
スマートフォンも、車のバッテリーも、
充電すれば充電量は100%になりますが、健全性(健康状態)が良くなることはありません。
充電
さて、このバッテリーを充電するとどうなるか確認しましょう。
今回はバッテリーを車両から取り外さないで、充電します。充電する機械は整備工場には必ずあると思います。
バッテリーチャージャー準備完了。このバッテリーチャージャーはプロが使うものです。
このまま3時間ほど普通充電します。
充電後、再点検
それでは3時間の充電後バッテリーの状態をチェックしてみます。
(本来なら、もっと長い時間充電したほうが効果が出ると思いますが、今回は3時間だけ)
上の写真の左が充電前で、右が3時間充電後のバッテリーの診断結果です。
これには私も驚きました。充電前と何も変わっていません。
細かくデータを見ると、状態がわずかに良くなっていますが、これ以上充電しても、おそらくさほど変わらないでしょう。
ということで検証を終了します。
バッテリーが寿命の場合、充電しても復活しない
バッテリーを充電しても健全性は上がりません。
つまり、充電はあまり意味がありません。またすぐに上がってしまうでしょう。
このように健全性が低い場合は、あきらめてバッテリーを新しく交換をしましょう。
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点検時に健全性が高かった場合、充電すればその後も使用できる可能性があります。
例えば、新しいバッテリーをライトのつけっぱなしなどで、自ら上げてしまった場合などは、充電することで充電量を上げれば良くなります。
まとめ
・バッテリーが寿命で上がってしまった場合は、充電しても良くならない
・健全性が低い場合は新品に交換しよう
・新しいバッテリーを、ライトの消し忘れなどで上げてしまった場合は、充電すれば良くなる可能性がある
私ならバッテリーの充電はしない
個人的には、ほとんどの場合において、バッテリーの充電という選択肢は無いと思っています。
ユーザーにとっても、整備工場にとっても、交換がベストです。その理由は上記の検証が物語っています。
充電で対応するということは、ユーザーにとっても整備工場側にとっても、またどこかであがる不安が残り、実際にまた上がってしまえば、また同じことを繰り返さなければいけなくなります。
そうなった時にユーザーも整備工場側も必ず後悔するはずです。
絶対に避けたい後悔です。
バッテリーがあがった場合は思い切って交換することをおすすめします。これは私が10年間整備士として働いていた時の教訓です。
確かにバッテリーの値段は高いかもしれません。でも、充電だって、数千円くらいは請求されると思います。
バッテリーはインターネットで購入すると非常に安く済みますので、上がった時は思い切って新品を買いましょう。
以上、検証!自動車のバッテリーは充電で復活するかでした。
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