修理に出した車が直っていない
実は、自動車整備業界では、このような話が多くあります。
- 直ってない時はどうすればいいの?
- 整備料金は支払うべき?
この記事では、修理に出した車が直っていいない場合の対処法などについて、元ディーラー整備士の管理人が解説します。
きっとうまく解決できます。
この記事は、「こうした方がいいよ」という整備士からのアドバイスと思って読み進めてください。個別の案件を、さらに法律的な観点から知りたい人は専門家に相談してください。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
直ってない場合は直ちに連絡する
まずは依頼した整備工場にすぐ相談してください。
修理しても直っていないときはどうするべきかの答えは上記一択です。
なぜなら、整備事工場側で、直っていないことに気付いていないケースがほとんどだからです。当然ですが気付いていなければ対応できません。腹立たしいと思っても冷静に相談するのが円満解決に繋がります。
修理から時間が経っていたとしても、必ず伝えてください。そして整備工場側からの提案を待ちましょう。
揉めるケース
別の整備工場に持っていくと揉める
直っていないことに気付いた時、依頼者が修理した整備工場とは別の整備工場に依頼してしまうケースがあります。
経験上、この場合に揉める可能性が高くなります。
そちらからの修理代の請求もくるので、依頼者も余計に腹立たしくなりますし、整備工場側でもできることが限られてくるので、できれば元々修理依頼をした整備工場に相談することをおすすめします。
整備工場側からの提案を受ける
直っていないことを、訴えると、整備工場側から、おそらく次のような提案があります。
- 「もう一度点検・修理させてください」
- 「料金については完全に修理した後に考えさせてください」
整備工場側からすると、もう一度車を見ないと何も判断できないため、このような返答になることが多いと思います。
このような提案が合った場合は素直に受けることをおすすめします。
車が直っていない理由
依頼者が「直っていない」と感じた場合、次のようなケースがあります。整備工場に責任がない場合もありますので、冷静に対応してください。
- 診断ミスで見当違いな部品交換や修理をした
- 診断は合っているが、整備ミスなどにより正しく整備されなかった
- 整備後にすぐに同じところがまた壊れた
- 最初から「依頼者が直したい箇所」と、「整備工場が依頼された整備」の認識が違っていた
信じられないものもあるかもしれませんが、私は全て経験ありますし、おそらく世の中の全ての整備士が経験していると思います。
このように、直っていないとお客様が感じた場合でも、実際にはいろんな原因があるため、「もう一度点検させてください」「支払いについては後で考えさせてください」と整備工場は返答します。
このような提案があった場合、素直にその通りにすることをおすすめします。
再度点検の結果、整備工場側の責任だったら?
あらためて点検・修理に出して、診断ミスや整備ミスなど、その結果が整備工場側の責任だった場合、料金について、次のようなの相談・提案があると思います。
- 「追加の料金は頂きません」
- 「もともとの料金と相殺して、一部を払い戻します(追加でいただきます)」
誠意のある対応と、このような提案であれば、納得できる人も多いのではないでしょうか。
再整備は必ずしも無料ではない
自動車整備は、飲食業やアパレル業のように、何らかの商品を提供して料金を得る単純なサービスではありません。ときには修理の方法を間違える場合もあります。このことはある程度理解しなければなりません。
例えば、「1万円のエンジン洗浄で直る可能性が高い」と言われた場合でも、実際には直らず、「40万円のエンジン交換が必要」だったケースにおいて、間違えたからといって、40万円の費用を整備工場が負担することはできないことは理解できると思います。
原因が整備工場側の責任とは言い切れないものだったら
- その整備をしても、直らない可能性があることを初めから説明していた
- すぐ壊れる可能性があることを初めから説明していた
- 依頼した整備内容が食い違っていた
このような場合は、完全に整備工場側の責任とは言い切れません。このような場合は、整備工場側の対応は次のようになることが多いです。
- 初めからその点は修理していません
- 初めからそういう契約なので、責任は取れません
- 今回は説明不足だったので再修理の費用は頂きません
このあたりの対応は、整備工場にもよりますし、依頼者との信頼関係によっても大きく異なると思います。しっかりと説明を聞き、対応に納得できなければ、ここで初めて第三者に相談すべきです。
依頼者も整備工場側も「車を直したい」ことは同じ
依頼者は直っていないことや、直っていないのに料金を請求されたことに腹立たしく思います。整備工場側でも、こちらだけの責任でない場合は、理不尽に依頼者から責められるので、対応が難しくなります。
しかし、元をたどれば双方が「車を直したい」のは同じです。トラブル解決のポイントはここにあります。
まず、車を直してもらうこと
ここが一番のポイントです。
そもそも、車がちゃんと直っていれば何の問題も無かった訳ですので、とりあえず直してもらうことが先決です。
「もう頼みたくない」と思うかもしれません。しかしそれは、結果的にはかえってストレスがたまり、余計な出費にもつながる可能性が高いですので、よく考えましょう。
車が直ったのであれば、依頼者も整備工場も、いつまでもトラブルを抱えていたくなくなるので、解決に向かうのではないでしょうか。
直っていないのに支払い義務はある?
支払い義務がある可能性が高いです
整備工場が車を点検し、見積もりを提示して、依頼者が納得して作業していれば、契約として成立する可能性が高いです。つまり、直っていなくても支払い義務がある可能性が高いです。
例えば ”家を建て、建った後にイメージと違った場合に、支払い義務はなくなるか”と言えばそうではないですよね。これに似ています。
あとは減額交渉などで折り合いをつけるのが一般的です。
個人的な意見ですが、もし、こういったケースで支払い義務が全く無くなるとなれば、整備工場の経営はうまくやっていけないとも思います。納得できない場合は専門家に相談してください。非常に難しい問題だと思います。
全国に、自動車整備に関する無料相談窓口があります。消費者庁よりも、自動車整備のトラブルに特化していますので、最初にここに相談することをおすすめします。
>>>整備相談窓口一覧
車の修理で「直ってない」ってよくあるの?
残念ながら、自動車整備業界では結構よくあるトラブルです。しかし、高い技術のある整備工場にはあまりそういったトラブルはありません
高い技術とは下記のような総合的な能力です。
- 高い接客技術
- 高い問診技術
- 高い整備技術
高い技術で、しっかりお客様の話を聞き、ていねいに説明し、確実に修理し、しっかり修理後の確認をし、ていねいに修理後の説明をしていれば、こういったトラブルを確実に防げるからです。
こういったトラブルに合わないためにも、信頼できる整備工場とお付き合いすることは非常に大事なことです。
以上、自動車の修理を依頼したのに直っていない場合の対応でした。最後までありがとうございました。