
突然タントのエコアイドルランプがオレンジ色に点滅し始めたんだ。
一体何が起きたのかな?きりんさん。

アイドリングストップ機能付きのダイハツ車には、よくあるトラブルだね。この記事で原因を詳しく解説するよ。

さすが1級整備士!頼りにしてるよ。
この記事の内容
ある寒い日の朝に、同僚からダイハツ・タントの修理を頼まれました。
そこで、今回はその時の点検結果や状況などを記事にします。
一般の方にも整備士の方にも参考になれば幸いです。
エコアイドルランプ点滅の症状
点検する前に、状況を詳しく聞いたところ次の事がわかりました。
・エンジンを始動すると、メーター内の「eco IDLE 」と書いたランプがオレンジ色に点滅することがある
・最近頻度が増している
・ランプ点滅中アイドリングストップはしないが、それ以外の不具合は感じない
・2年前に新車で購入したダイハツ・タント(H26年式)
・事故・修復歴、改造等なし
この記事にたどり着いたみなさんも、似たような状況の人がいるのではないでしょうか。
それではさっそく点検していきましょう。
車に乗り込んでエンジンを始動してみると、相談者が言っていた通り、
メーター内のにある「eco IDLE OFF」というランプが、オレンジ色に点滅しています(写真)。
(比較的新しい車両は、「eco IDLE OFF」の文字ではなく、下の絵のようなランプが点滅しますが、全く同じ意味です)
点灯ではなく点滅です。
まず第一に、このような場合はすみやかに整備工場で点検してもらうべきです。
この記事を読んだ後に、ぜひ整備工場に修理依頼をしてください。
自分では不具合が無いと思っていても「いつのまにか燃費が悪くなっていた」などとならないように、必ず点検してもらいましょう。
何よりインジケータがカチカチ点滅したまま走り続けるのは気分が悪いですよね。
あえてインジケータを点滅させることで、確実な整備をうながすことが自動車メーカーのねらいでもあります。
そして、ダイハツ車の場合、エコアイドルランプ点滅で、アイドリングストップの機能を停止します。
修理を行わなければ、ずっとアイドリングストップすることはなく、燃費に大きく影響します。
特殊なコンピュータが無いと点検できない!?
写真は「スキャンツール」とよばれる自動車整備専用のコンピュータで故障診断したときの写真です。
ここからはこのスキャンツールを使用して点検していきます。
スキャンツールとは
現在は、どんなに腕の良い整備士でも、このスキャンツールが無ければ、自動車の不具合を正確に診断することはできません。
特に、なんらかのチェックランプが点灯・点滅した際には必ず必要なもので、当然海外の整備士も使用しています。
もちろん、1級整備士の私も、スキャンツールが無ければこのような故障に対してなすすべがありません。
現在はディーラーでも小さな整備工場でも、こういったスキャンツール(コンピュータ)を使用して自動車の故障診断を行っています。
さて、コンピュータ診断の結果、バッテリーに不具合がある(弱い)可能性が高いことがわかりました。
(正確にいうと、自動車のコンピュータがバッテリーが弱いと判断している)
本当に弱いかどうかバッテリーテスターで点検してみます(写真)。
写真の白いプリント用紙がバッテリーのテスト結果です。
充電量や健全性という項目が低い値になっています。
バッテリーの容量が少なくなった為に起きた不具合であることがわかったところで診断終了です。
原因はバッテリー。でもなぜ!?
問診や診断結果から今回の不具合を説明します。
1.冬になりバッテリー容量が低下しました
2.自動車(タント)は、バッテリーが弱くなっていると判断しました
3.自動車(タント)は、アイドリングストップを実施しないことにしました
(アイドリングストップ後のクランキング(エンジン始動)が、さらにバッテリーに負担をかけると判断したため)
4.自動車(タント)は、メータ内の「eco IDLE OFF インジケータ」を点滅させることで、ドライバーに修理(バッテリー交換)をうながしました
これが、一連のストーリーです。
つまり、診断結果はバッテリーの劣化でした。
バッテリーを交換すれば間違いなく直ります。
(実際に相談者はバッテリーを新しいものに交換し、それ以降不具合はでていません)
「新車で買ってから2年しか経っていないので、保証で直せるんじゃないの?」と、思う方がいるかもしれませんが、残念ながらバッテリーの容量低下は保証の対象になりません。1年以内でも対象になりません。
ここは少々高価なアイドリングストップ専用のバッテリーを購入するしかなさそうです・・・。
バッテリーの値段を確認
参考
バッテリーの寿命は、お客さんの使用環境によって大きく変わります。
整備士は、よくお客さんから「バッテリーは何年くらい使えるか」などと聞かれることがありますが、「環境によって違います」としか言いようがありません。
ここは理解して欲しいところです。
もし、あなたの車にも似たような不具合が出ていて「納得いかない!」と思う方は、ページ下の「さらに解説」に、私個人の感想を書きましたのでご覧ください。
最後に大事なことですが、これはしっかりと診断した結果「バッテリーの劣化」と判断されました。
「エコアイドルランプが点滅したらバッテリーの劣化ですよ」ということではありませんので勘違いしないようにお願いします。
一番大事なのは、ちゃんとした整備工場で診断してもらうことです。
まずは整備工場に行く準備をしましょう。
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さらに解説
今回は、新車で購入してからたった2年での「バッテリー劣化」となりました。
相談者の話をよく聞きましたが、毎日通勤で5km以上の距離を運転しており、それほどバッテリーにとって厳しい条件ではないように思いました。
もし、この先も全く同じ環境で使用すれば、10年乗り続けるのにバッテリーが5個必要です。
さらに、バッテリーはアイドリングストップ専用なので、通常のタイプのバッテリーより高価です。
「アイドリングストップ機構付きの車だから、バッテリーの寿命が短いのはしょうがない」とディーラーさんあたりで言われそうですが、私が診断して感じるのは、「バッテリーの劣化が早いのではなくて、コンピュータがバッテリーの劣化判断する条件(しきい値)が厳しすぎるのでは」ということです。
つまり、バッテリーはまだ交換が必要なほど弱くなってないのに、限界の判定をしているのではないかということです。
最後の写真のバッテリーテスター結果もプリント用紙をよく見てください。
実は、バッテリーテスターは容量が低下しているとしながらも、結果は良好と判断しています。
私が使用している写真のバッテリーテスターは実は辛口(ちょっとだけ弱いバッテリーをダメと判断する)として有名なテスターですが、それよりもダイハツの条件が厳しいことになります。(つまり、ダイハツはすぐバッテリーが弱いと判断するという意味)
さらに、このようにバッテリー劣化を判断した場合、車はメーターのインジケータを点滅させます。
ランプが点灯するくらいであれば、「見て見ぬふりをしてもうしばらく乗ろうかな」などと思うのですが、点滅はわずらわしいこと、この上ないです。
メーカーはアイドリングストップ車の共通の心配事である「走行中のバッテリ上がり」が起きてしまうことを恐れるがあまり、「念のため・・・念のため・・・」と言いながら、バッテリーの劣化判定をだいぶ厳しい値にしてしまったのではないか・・・。
というのがわたしの今回の診断における率直な感想です。
しかし、こんな話をディーラーさんや整備工場にしても不毛ですのであしからず・・・。
あくまでも個人的な見解です。

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。みなさんのご参考になれば幸いです。
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