- パスタ吹付 5,000 円
- 下廻りシャシブラック塗装 10,000 円
車検の見積りなどで、このような内容が書いてある場合があります。一般の方にはあまり馴染みのない用語で、何の事かわからない人も多いと思います。でも、実は車検ではけっこう重要な項目です。
この記事は、「パスター」や「シャシブラック」がどういうものなのか、また、作業を依頼した方が良いのかについて、元ディーラー整備士が解説します。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
パスタ吹付け、シャシブラック塗装とは
パスタやシャシブラックとは車の下側(裏側)のサビ止め塗装のことです。
「パスタ」も「シャシブラック」も呼び名が会社や部品などで違うだけで、同じ、下廻りを黒く塗る塗装のことで、アンダーコーティングのことです。
スプレー缶などを噴射して塗装するので、「吹付け」や「塗装」という表現が使われます。
パスタ、シャシブラックの目的

一般の人は、車の下側を見ることはほとんどないのでわからないと思いますが、車の下側というのは思いのほかサビが発生していることがあります。
サビは金属を腐食させ、ひび割れ、剥離、破壊へとつながります。
自動車においても下廻りの金属部分のサビというのは、時に車の決定的なダメージとなります。それが原因で車検に通らなくなったりすることも多く、買い替えのきっかけになります。
・海辺で駐車、使用されている車両
海辺の車は潮風の塩分で、車全体のサビが極端に進行します
・積雪地で使用されている車両
積雪地での使用は、冬季間の道路にまかれる融雪剤の影響でサビが極端に進行します
このような車に対してサビを防いだり進行を防ぎ、車を長持ちさせる事がパスタやシャシブラックの目的です。
効果は明らか

効果について、おそらくほとんどの自動車整備士が「やらないよりやったほうがいい」と答えるでしょう。
下回りのコーティングは、そのまま車の寿命に直結します。
公園の遊具を定期的に塗装していることを考えるとわかりやすいです。美観を保つためと、腐食を防いでいるためですよね。

シャシブラックは車検に必要?
車検に必ず必要なものではありません。整備工場側からの「提案」です。
あなたが必要無いと感じれば、「要りません」と断ってください。車検の合否には関係ありません。
シャシブラック塗装はあくまで車の寿命を延ばすためのメンテナンスであり、任意です。
では、なぜ車検の時にすすめられるのかというと、車検はシャシブラック塗装する絶好のチャンスだからです。
なぜチャンスなのかというと
- 車検の時は、作業前にエンジンルームや車の下廻りを洗うから
- リフトアップさせるから(下から塗装しやすい)
下廻り部分に泥やほこりが付着した状態で、その上から塗装しても、泥やほこりと共に塗装は剥がれてしまい効果が無くなってしまいます。塗装する場合は汚れを落としてからが基本ですね。
つまり、下廻りの汚れを落とす車検の時が、パスター塗装の絶好のチャンスで、車検以外でシャシブラックを施工する機会がありません。
料金が安くないので、見積もりの金額を確認し、財布と相談してください。
また、車検のときに必ずシャシブラックをする人の割合は、積雪する地方で20〜50%程度でしょうか(私個人の感覚)。
パスタ、シャシブラックの種類
パスタ、シャシブラックには水性と油性があります。
それぞれ、特徴がありますので、気になる人はスタッフにどちらの種類か聞いてみてください。
水性パスタと油性パスタの特徴
種類 | 特徴 |
---|---|
水性パスタ | ・油性パスタより効果が薄い ・人体への悪影響がない ・環境に優しい ・扱いやすい |
油性パスタ | ・水性パスタより効果が高い(耐久性) ・匂いがきつい |
どうせ塗装するなら効果の高い油性が良いですが、油性を施工してくれる整備工場は年々減っています。
従業員の健康被害を無くしたいためが大きな理由ですね。
パスタ、シャシブラックの料金

料金の一例
車種 | 料金 |
---|---|
軽・小型車 | 4,000~10,000 円 |
ワンボックス・UV | 8,000~15,000 円 |
小型トラック | 10,000~20,000 円 |
料金は自動車のサイズ、整備工場や塗料の部品代によって大きく異なります。
パスタ塗装は実施すべきか
実施するに越したことはない
デメリットは全くないので財布と相談して決めてください。
特に長くその車に乗りたい場合や、海辺や積雪地で使用している場合は、実施することを強くおすすめします。ちなみに私は毎回塗装しています。
塩害ガード・防錆コーティング
現在は、パスタよりも防サビ効果の大きい「塩害ガード」や「防錆コーティング」と呼ばれる塗料の塗装がトレンドになっています。
「塩害ガード」や「防錆コーティング」は、主に車検時や新車時に塗装するもので、パスタやシャシブラックより高い防錆効果がある商品としてディーラーをはじめたくさんの整備工場で販売・施工されています。
「新車_アンダーコート」
で、検索すると山程出てきます。
車検の時に塗装しても、パスタよりも効果が高いものです。興味のある人は、車検する際に整備工場に問い合わせてください。
但し、塩害ガードや防錆コーティングなどのアンダーコートの料金は、パスタ塗装よりも料金が高いです。
自分で塗装可能か
やってやれないことはない
実際に自分で下回りの塗装をする人がいますが、あまりおすすめしません。(特に安全面を考えて)
プロじゃない人が施工する場合の注意点は以下のとおりです。結構大変です。
- 黒い金属部分にしか塗装しないこと
- 車の下に潜る場合は、絶対にリジッドラック(工具)を使用し、安全に十分注意すること
- 衣類や顔など全身が黒く汚れます。
- 車の下の(舗装)路面が黒く汚れます。
- 水で濡れている状態で塗装してもすぐに落ちます
- ドロや汚れを落としてからでないと効果がありません。
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まとめ
- パスター、シャシブラックとは、車が錆びないように、下回りに塗装を施すことです
- 車検時に実施するかは任意です
- 特に積雪地や海辺に住む人は、施工をおすすめします
- パスタよりも効果が高い「塩害ガード」などもおすすめです
以上、パスタ、シャシブラック塗装の意味についてでした。