車検は、自動車ユーザーにとって、大きな出費を伴う重要なイベントです。費用を抑えて、安心・納得して車検を受けるには、事前に見積もりを取ることがとても重要で、「相見積もり」も非常に有効です。
- ディーラーや整備工場で、車検見積もりは無料でできるか
- 車検の見積もりだけするのは常識はずれか、気まずいか
- 車検の見積もりにかかる時間はどのくらいか
- 車検の見積もりはいつから(いつ頃)にすれば良いか
この記事では、車検の見積もりに関する疑問について、元ディーラー整備士の管理人が徹底解説します。
見積もりに関する不安を取り除いて、大手を振って車検の見積もりに行きましょう。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。twitterでたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっているのでチェックしていただけるとうれしいです。(seibisi_net)
車検見積もりは無料

- ディーラーでも、どこの整備工場でも、車検の見積もりは大抵無料
- 輸入車ディーラーは注意
私は長く自動車整備業界にいますが、車検の見積もりが有料というディーラーや整備工場は聞いたことがありません。もちろん私が働いていた国産車ディーラーでも、車検の見積もりでお金をもらったとこは一度もありません。
但し、輸入車ディーラーについては、無料でない可能性もありますので注意してください。
もし、不安であれば「車検の見積もりは無料ですか?」と直接ディーラー聞いてください。何も恥ずかしいことはありません。スタッフも慣れています。そして、ほとんどのディーラーが「無料です」と即答するはずです。
車検見積もりはなぜ無料か
車検をして欲しいから
車検は自動車整備の仕事の中で、もっとも儲かる仕事です。
このことはディーラーでも、他の整備工場でも同じで、「整備工場は車検で成り立っている」と言っても過言では無いくらい重要な仕事です。実際に多くの整備工場では売上の大部分が車検に関わるものです。
ディーラーでも、車検の仕事が入るなら、ちょっとくらいの労は惜しみませんし、ビジネス的にも車検の無料見積もりをしないことは、通常考えにくいです。
車検は、ディーラーにとっても喉から手が出るほど欲しい仕事で、その車検に直接結びつく「見積もり」は、無料であることが整備業界では常識です。
見積りだけして、車検を断ることは可能か
断れます。なんの問題もありません。
見積り金額に納得できなければ、もちろん断ることはできますし、そこで値引き交渉などをしても良いかもしれません。恥ずかしくもないです。気まずくもありません。スタッフも慣れています。
前述の通り、整備工場は車検が欲しいので、断ろうとすると、ディーラーや整備工場側から、値引きの提案や何らかの交渉があるかもしれません。条件が合えば依頼するのもいいですし、他の整備工場で相見積もりをするのもいいです。
いずれにせよ、車検の値引き交渉など、費用を抑えることを考えても、車検の見積もりはするべきです。
車検見積もり→金額交渉→依頼する、または依頼しない
これが、車検をお得に済ませる方法です。
詳しくはこちらの記事で書きました。ディーラーの車検を考える人は一度お読みください。有益です。
>>>ディーラー車検を安くする方法/そもそも値引きは可能なのか
車検の見積もりは概算料金
- 車検の見積もりは、概算なので確定ではない
- 実際は高くなる可能性があるリスト
概算見積もりは、必ずしもそのとおりにはならない、だいたいの見積もりであることを指します。どこの整備工場でも同じです。このことは、必ず覚えていてください。
では、なぜ正確な見積もりを出さないかと言うと、実際に車を分解しないとわからないからです。
実際に車を分解するようなことになれば、それは車検をすることと同じなので、時間も手間もかかり、そこまで無料で実施する整備工場は皆無です。
一般的に、車検見積もりでは、整備士が車を目視点検し、予測や経験から、だいたいの金額を割り出すことを言います。車の装置を実際に分解するまではしません。
実際の車検では、整備士の予測以上に状態が悪く、修理が必要になり、費用が多くかかることもありますので、「車検見積もりは概算である」ということを前提に見積り額を見なければなりません。
見積もりの金額を実際の料金に近づけるためには、車を持ち込んで見てもらうことが絶対です。詳しくは後述します。
Webサイトや広告に掲載される車検
Webサイトや広告に掲載されている車検の料金は最低料金です
Webサイトやチラシ、新聞広告などに記載された車検料金を信じて予約をして、実際に依頼したら「チラシの金額よりかなり高かった・詐欺じゃないか」といったトラブルが多くあります。
これらの媒体に掲載されている料金は最低金額であって、あなたの車の状態(修理・整備が必要な箇所)によっては、掲載された表示金額より高くなって当然だという認識を保つ必要があります。結局は見積もりが必要なのです。
整備業者からみると、「車も見ないで正確な見積もりが出せる訳がない」というのもあたり前の話で、広告などには「最低金額」を載せるしかないという事情もあります。車検の見積もりは「実際に車をみてもらう」ことが、トラブルを避けるために必要です。
また、一度車検に出してしまえば、作業中にキャンセルすることは難しくなることからも、やはり事前に車を持ち込んで見てもらって、より実際の請求額に近い見積もりを出してもらうことがとても大事です。
また一部業者に、車検の見積もりは安く提示して、実際の車検では故意的に高くするということを、悪意があって行う整備業者がいます。
この悪徳業者を見抜くためには、「極端に安い業者を疑う」「口コミや評判を検索する」などが有効です。
必ず車を持ち込んで見積もりを

車を持ち込まない車検見積もりは、信頼できない
車は一台一台状態が違います。実際に車を見てもらうことで、実際かかる料金に近づきます。どの整備工場でも言えるのですが、車を全く見ないでの見積もりほど当てにならないものはありません。
整備工場側から見ても、車も見ないで見積もりすることは難しく、極端に言うと適当に金額を提示することになります。
車を見せていない見積もりの場合、実際に車検をしたら全く違う金額になる可能性が高くなるので、多少面倒でも必ず車を見てもらって見積もりをしてください。車を持ち込んでの見積もりは、車検で失敗しないための最大のコツです。
車検見積もりにかかる時間
30分程度
どこの整備工場でもこのくらいの時間で見積もりは終了します。(予約などしていて、すぐに取り掛かった場合)
整備工場側も、お金にならないかもしれない車検の見積もりに、それほどの時間をかけたくないという心理が働きます。
一般的に、車検の見積もりの作業は、次のように行われます
- 車の外観、エンジンルーム、車の下などを目視で点検
- 見積書を作成
ディーラーなど規模の大きいところでは、1.を整備士が行い、2.を別のフロントスタッフが行いますので、しっかり見たとしても30分程度で終わるのが普通です。
その後、見積もり内容・料金の説明、交渉する時間等が必要ですので、トータルで1時間程度みておくと良いでしょう。
なお、見積もりの結果、修理必要な箇所や、必要となるかもしれない箇所、車検は通るけど整備したほうが良い箇所など、良い整備工場ほど様々な可能性や提案をします。
車検見積もりでも予約が必要
特にディーラーなどでは予約が必要な場合があります。また、予約することで、待ち時間が少なくなる可能性が高いです。
いつ頃からすればいいか(車検見積もりの時期)
- 費用次第で代替えを検討する場合→半年前
- 車検をどこで受けるか迷っている場合→2か月前
2023年5月現在、多くの自動車メーカーで新車の受注や納車が滞っています。車種によって、注文しても、納車まで6ヶ月待ちになる場合や、受注すら出来ない車種もあります。新車を待っている間に車検が切れてしまうと、乗る車が無くなってしまいます。
この状況を踏まえると、代替えをするには、最低でも車検が切れる半年前には決めなければならないので、車検の見積もりも半年前に行う必要があります。
ただし、あまりに早い概算見積もりは、実際にかかる費用と大きく離れる可能性が高くなるので、代替えせずに車検を受ける場合には、近くなったらもう一度見積もりをしてもらうのが良いかもしれません。
代替えを検討していない場合には、2ヶ月前をおすすめします。他の整備工場で相見積もりをとったり、車検予約できる日や自分の予定などと併せて、落ち着いて選択・判断できる時期です。
車検見積もり5つのメリット
- 相見積もりで費用を抑えられる
- 値引きや金額交渉ができる
- 費用などを事前に把握できて安心
- 代替えの検討材料になる
- 事前の部品発注でスムーズに車検ができる
事前に車検の見積もりをすることは、車検を依頼するユーザー側はもちろんのこと、依頼されたディーラーや整備工場側にとってもメリットはとても大きいです。見積もりをすることでお互いに気持ちのよい関係性が保てます。
事前に車を持ち込む手間と時間がかかってしまうというデメリットはあるものの、見積もりには、そのデメリットを大きく凌駕する5つのメリットがあります。
1.相見積もりで費用を抑えられる
複数の整備業者に、見積もりを取ることで(相見積もり)料金の比較検討ができます。コスパの良いところや、雰囲気、サービスのよいところを選ぶことができます。
2.値引きや金額交渉ができる
車検で値引き交渉をするためには、事前の見積もりが重要です。
車検実施後の値引き交渉は、成功しないことが多いばかりか、嫌がられます。
詳しくはこちらの記事に書きました。
>>>ディーラー車検を安くする方法/そもそも値引きは可能なのか
3.費用などを事前に把握できて安心
車検にかかる費用を事前に把握できれば、準備やローンなどの金策をすることができます。
特に古い車は、予想以上に費用がかかる場合があるため、見積もりは非常に重要です。
また、費用だけでなく、車検にかかる日数・時間なども把握できるため、予定が組みやすく「車を使う予定の日に使えない」などのトラブルを防ぐことができます。
4.代替えの検討材料になる
車検の費用を把握することで、「新車や中古車を購入したほうが良いのか」の検討材料になります。
また、同時に査定をすればより多くの検討材料が手に入ります。
5.事前の部品発注でスムーズに車検ができる
事前に見積もりをすることで、整備工場は部品の発注を事前にすることができるので、準備ができた状態で車検ができます。そのため車検にかかる日数や時間を大幅に減らすことができます。
車検では修理箇所によって部品が必要です。しかし、整備工場の在庫部品には限りがあり、在庫がない部品は手配することになります。
自動車の部品の中には、手配に1日、3日、1週間かかる部品もあり、交換しないと車検に合格しない部品の場合、そのまま完成時間が遅れることが頻繁にあります。特に古い車は注意が必要です。
また、部品の事前発注は整備工場側の負担も大きく削減するため、整備工場側の大きなメリットでもあります。
車検を受ける業者7つの選択肢
- ディーラー
- 民間整備工場
- 車検専門チェーン店
- カー用品店
- ガソリンスタンド
- ユーザー車検(代行)
- ネット予約型(楽天Car車検など)
車の車検をする場合、ディーラー以外にも、町の整備工場、ガソリンスタンド、カー用品店など、さまざまな選択肢があります。
その中で、自分にあった修理工場を探すことは案外難しく、特に車の知識がそれほどない方や、女性の方はいろいろと悩むことも多いのではないでしょうか。
こちらの記事であなたに合った車検を選びましょう
>>>車検はどこに出すのがいいのか/ディーラー以外も考える2023保存版
楽天Car車検
最も安い車検として話題になっているのが楽天car車検です。おすすめできる革新的なサービスです。
ただし、デメリットもあるため、利用する場合は確認しましょう。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
>>>楽天Car車検4つのデメリット/メリットの多い工場を選んで楽天ポイントを大量獲得しよう
まとめ
- ディーラーでも、どこの整備工場でも、車検の見積もりは大抵無料です
- 見積もりだけの利用でも無料で、断ることも簡単にできます
- 見積もりには多くのメリットがあるためとても大事
- 見積もりをする際には必ず車を持ち込むこと
車検は高額な出費を伴います。慎重に選びましょう。以上、ディーラーや整備工場の「車検見積もり」についての解説でした。