この記事では、1・2・3級及び特殊整備士の学科試験(筆記試験)の受験方法や必要書類、試験手数料について整備士ねっとチームがわかりやすく解説します。
自動車整備士の試験
各自動車整備士の資格を取得するためには「学科試験」と「実技試験」に合格しなければなりません。
しかし、実技試験は学科試験に合格しなければ受験する事ができないため、まずはこの記事で、学科試験(筆記試験)の受験方法を確認しましょう。実技試験については実技試験の実施状況や合格率をご覧下さい。
試験日
- 第1回→10月(1週目付近の日曜日)
- 第2回→ 3月(4週目付近の日曜日)
自動車整備士の学科試験は、例年、3月と10月の年2回行われており、年度別に10月の試験を「第1回」3月の試験を「第2回」と定義しています。
ただし、全ての種目が2回とも実施されているわけではなく、需要(受験者数)により、一級整備士試験などは、1回だけしか実施されない種目もあるので注意が必要です。
令和5年度についての実施種目は次のとおりとなっています。近年は例年同じ日程です。
第1回(10月)のみ実施 | 第2回(3月)のみ実施 | 両方とも実施 |
---|---|---|
二級二輪自動車 | 一級小型(筆記・口述) 二級自動車シャシ 三級二輪自動車 自動車電気装置 | 二級ガソリン自動車 二級ジーゼル自動車 三級自動車ガソリンエンジン 三級自動車ジーゼルエンジン 三級自動車シャシ 自動車車体 |
なお、受験時間が3パターンあり、同時に受験可能な種目があります。例えば、3級ガソリンと3級ジーゼルと3級シャシは、同日の中で試験時間がズレているため、3種目とも受験することが可能です。
詳しくは整備振興会にお問い合わせください。
試験の日程等は年度別に計画・実施されますので、その年度により変わる可能性があります。実際に受験される場合には、必ず各都道府県の整備振興会や運輸局・支局で最新情報を確認してください。
試験会場
学科試験(筆記試験)の会場は、各都道府県に数箇所設定されており、各都道府県の整備振興会のHPで確認できます。
また、本人の希望する会場での受験が可能なため、県境に住む方など、利便性の関係で隣の都道府県で受験することも可能です。
受験申請受付期間
- 3月の試験→1月申請
- 10月の試験→8月申請
受験するためには、受験申請書や必要書類を準備して決められた期間に整備振興会に提出しなければなりません。
申請期間は全国的に統一されており、おおむね試験日の2ヶ月前の1週間です。
この期間を過ぎると、絶対に試験を受けることができません。
令和5年度については次のとおりです。例年同時期です。
第1回(10月) | 第2回(3月) | |
申請受付期間 | 7月31日(月)~8月4日(金) | 1月22日(月)~26日(金) |
試験日 | 10月1日(日) | 3月24日(日) |
必要書類等
申請時には次のものが必要です。
- 申請書
- 写真
- 受験資格を証明する書面
- 郵便ハガキ数枚
- 印鑑
- 手数料
詳しく説明します。
1.申請書
申請書は各都道府県の整備振興会で無料配布
また、振興会の各地域にある事務所でも手に入れることが可能な場合があるので、最寄の振興会に問い合わせてください。
申請書は種目によって異なりますので、受けたい種目の申請書をもらうようにしてください。(3級自動車ガソリン・エンジン整備士を受験したい場合は、3級自動車ガソリン・エンジン整備士専用の用紙がある。複数受験する場合はそれぞれの用紙をもらう。)
なお、申請用紙の書き方は振興会に直接行けば教えてくれますので、その他の書類等を準備して、申請書はその場で職員に聞きながら記入することができます。その場合は、記入間違え時の訂正が必要になる場合がありますので、印鑑を持参してください。
2.写真
受験時に本人を確認するための証明写真が、種目毎に1枚必要です。写真の条件は次のとおりです。
- 最近6ヶ月以内のもの
- 上半身(胸から上)で脱帽したもの
- 大きさは縦 4.5 cm、横 3.5 cm
- 規程以外の写真、ポラロイド、スナップ写真不可
サイズはパスポート同様です。スマホなどで撮影したものでも可能ですが、普通の紙でなく、写真用紙に印刷したものを用意してください。
3.受験資格を証明する書面
受験資格を証明する書面には次のようなものがあり、いずれか、または複数の証明書が必要です。
- 自動車整備実務経験証明書
- 整備士合格証書
- 高校、大学、専門学校卒業証書
- 整備士養成施設修了証書
整備士の試験を受けるためには、それぞれ受験資格が必要です。(例えば3級整備士の試験を受けるためには整備士として1年以上の実務経験が必要)
その資格があるかどうかについて、それを証明するための書面を提出しなければなりません。
これらの全ての書類が必要なわけではなく、それぞれの状況に応じて必要になってくるものが変わりますので、詳しく説明します。
1.自動車整備実務経験証明書
整備士として働いていた事を証明する書類
整備士の資格は受験する種目によって、1年や3年などの実務経験が必要です。
そのため、「この人は、私の会社で1年以上整備士として間違いなく働いています(いました)よ」といった、事業者(経営者、又は管理責任者など)側からの証明をしてもらわなければいけません。
例えば、「10年以上前に整備工場で3年間働いていた」ような場合に、それを事業者に証明してもらうことができれば問題ありませんが、今現在働いていない場所から証明をもらうのは難しい場合がありますので注意が必要です。
また、働いている工場が認証工場(国から認められた工場)で無い場合は、さらに審査が厳しくなりますので、その場合は整備振興会の指示を受けてください。別の資料が必要となる場合があります。
この証明書の様式は、各振興会によって違う場合がありますので、各振興会の様式をもらってください。また、HPから様式をダウンロードできる場合があります。
自動車整備専門学校等を卒業して2年以内の人であれば、実務経験が免除されますのでこの証明書は必要ありません。代わりに、後述する3.高校、専門学校、大学の修了証(卒業証書)が必要です。
2.整備士合格証書
- 2級を受験する場合は3級の合格証書
- 1級を受験する場合は2級の合格証書
2級、または1級を受験する場合には、それより下級の資格を持っていなければなりません。
それを証明するものとして、3級や2級の合格証書が必要です。合格証書は掲示するか、コピーを提出する事になります。
3級の試験を受ける場合は必要ありません。
合格証書を紛失した場合
もし整備士の合格証書を紛失してしまった場合は、次の二つの選択肢から対処してください。
整備士手帳は、合格証書の代わりとなる唯一のものですので、これがあれば掲示してください。整備士手帳は合格証書の代わりになります。
しかし整備士手帳は、作成が任意であるため、そもそも作成していない人もたくさんいます。また、地域によっては、ここ30年くらいはあまり作成する人がいなかった「過去のもの」となっているようです。
厳密に言うと、合格証書の再交付は受けられませんが、その代わりとなる「合格した証明」を、発行することができます。この「合格した証明」を合格証書の代わりに提出してくだい。
ただし、合格証明をもらうためには、申請後、数週間(支局によって変わる)かかってしまうため、試験の申請期間中に紛失に気付いてしまった場合には、間に合わなくなってしまう可能性があります。必ず早めに確認して、無ければ余裕を持って合格証明の申請を行って下さい。申請は直接国(陸運支局)にする方法と、整備振興会に依頼する方法があります。
3.高校、大学、専門学校修了証書(卒業証書)
- 専門学校等を卒場して実技の免除を受ける人は必要
- 実務経験の短縮規定を使う人は必要
「上記1.」の場合で、専門学校を卒業してすぐの3月の試験を受ける場合は、1月の申請時にはまだ修了証書(卒業証書)が無い状態になりますので、その場合は学校が作成する「修了見込み書」という書類で対応します。
「上記2.」の場合は確実に修了証書(卒業証書)が必要です。
受験資格である実務経験は、卒業した学校によって短縮になる場合や免除になる場合があります。
この短縮規定措置を受けたい場合には、卒業証書を持参してください。これも掲示またはコピーの提出となります。
実務経験の短縮規定についてはこちらの記事を御覧ください。
4.整備士養成施設修了証書
振興会の講習を修了して、実技の免除を受ける人は必要
自動車整備振興会等の二種養成施設を卒業している場合は、「自動車養成施設修了証書」を持参してください。
受験資格を証明する書面については、受験者によっては複雑になってしまうため、必ず受験する都道府県の整備振興会で確認してください。
4.郵便ハガキ数枚
受験者(自分)に届くように、自分の宛名を書いたハガキが必要な場合があります(各振興会によって)。
これは受験の通知や合格・不合格の通知をするためのもので、2枚~4枚必要な場合があります。事前に整備振興会に確認してください。
5.印鑑
現在は申請者のところに印鑑を押す必要はなくなっていますが、記入間違いによる訂正時に必要となります。
また、整備振興会によっては必要な場合もあるようです。念のため持参したほうが良さそうです。(シャチハタ不可)
6.受験手数料
手数料は次のとおりです。申請時に現金で納めます。
一級小型 | 一級小型以外 |
9,200 円 | 7,200 円 |
近年急激に手数料が値上がりしています。必ず振興会にお問い合わせください。おそらく新型コロナ対策の影響だと思われます
まとめ
- 詳細は各都道府県の自動車整備振興会に問い合わせることが
- 重要試験日は例年10月と3月の2回
- 一級小型など、一部の種目は年1回だけ
- 申請期間はおよそ2ヶ月前
- 申請時には次のようなものが必要
- 申請書
- 写真
- 受験資格を証明する書面
- 郵便ハガキ数枚
- 印鑑
- 手数料
以上、自動車整備士の資格試験の受験方法と必要書類でした。