この記事では、自動車用タイヤのひび割れについて、経験や関係法などを用いて一級整備士の管理人が説明します。
この記事を書いた人:きりん
元ディーラーの一級整備士で整備士ねっと管理人です。自動車整備業界に長く携わり、現在は整備業界のコンサルなども行っています。X(旧twitter)でたくさんの整備士さんや業界の人と繋がっています。(seibisi_net)
タイヤのひび割れと使用限界(交換時期)

タイヤにひどいひび割れがある場合は交換時期です。ひび割れの程度は上記イメージを参考にしてください。
タイヤのひび割れは、タイヤ交換時期を示す重要なサインの1つです。 ひび割れがある場合はタイヤの性能が低下し、安全性が大きく低下するので、大きな事故等のトラブルが起こるリスクが高くなります。
タイヤにひどいひび割れがある場合は、早めにタイヤを交換することが重要です。
タイヤのひび割れと車検

タイヤにひび割れがある場合は、程度によっては車検に通りません
タイヤのひび割れに関する車検での基準(保安基準)は、道路運送車両の保安基準第9条関係で、次のとおりです。
・亀裂、コード層の露出等著しい破損のないものであること
「亀裂」は「ひび割れ」と同義です。この条文だけを読むと、「いちじるしい亀裂(ひび割れ)があれば不合格」と解釈できます。
この場合「いちじるしい亀裂(ひび割れ)」かどうかが重要になってきます。

管理人は元ディーラーの検査員をしており、実際にタイヤの亀裂(ひび割れ)が車検に通るかどうかを判断していましたので、その経験から判断させてもらうと上記写真の「レベル5の要注意」状態であれば不合格としていました。
しかし、車検に合格するかの判断は現場の検査官が判断するとことなり、検査官によって判断が異なる可能性があります。そして、基本的に検査官の判断は「絶対」です。気になる場合は、車検を受けようとする工場に事前に持ち込み、タイヤを実際に見てもらい「車検に通るかどうか」を事前に確認することをおすすめします。
なお、スタッドレスタイヤの場合でも同様の判断基準です。
車検の判断が整備工場によって異なる理由が詳しく知りたい場合は下記記事を参考にしてください。

タイヤのひび割れとは

タイヤのひび割れとは、タイヤの表面に微細なひびが入る現象のことです。
主に、タイヤの老化や熱や紫外線などの外部要因によって発生します。また、タイヤの寿命が近づくとひび割れが多くなります。
タイヤのひび割れが起こる6つの原因

- 経年劣化(寿命)
- 熱や紫外線などの外部要因
- 過大な負荷(悪路走行や過積載)
- タイヤの適度な空気圧の維持不足
- タイヤの偏摩耗
- タイヤワックス(つや出し)の使用
これらの原因により、タイヤの表面が弱くなり、ひび割れが発生します。適切なメンテナンスで防げることと、防げないことがあります。
タイヤのひび割れと安全性

- グリップ力の低下
- 破裂(バースト)のリスク
- 偏摩耗のリスク
1.グリップ力の低下
タイヤのひび割れは、カーブなどでグリップ力が低下し、スリップしてしまう可能性が高まります。
さらにひび割れが深刻になると、タイヤの表面が剥がれてしまうことがあり、走行不能になります。

2.破裂(バースト)のリスク
タイヤのひび割れが深刻になると、タイヤの強度が低下し、破裂するリスクが高くなります。
これを専門用語でバーストと呼びますが、バーストは走行中に起こり、車が制御不能になり重大な事故に直結します。
2021年度に日本自動車連盟(JAF)が実施したロードサービスのうち、タイヤに関するトラブルは2番目に多く、全体の約20%を占めました。そのうち、タイヤのひび割れ、釘・ネジなどを踏んだことによるタイヤのパンク・バースト件数は全国で8,754件あったとういうデータがあります。
決して甘く考えたり、放置してはいけないことがわかります。
3.偏摩耗のリスク

タイヤのひび割れがある場合、タイヤの表面の硬度が低下し、偏摩耗する場合があります。
偏摩耗が進むと、タイヤの寿命が短くなり、安全性が低下します。
タイヤの偏摩耗

タイヤが均等に減らず、部分的に減ってしまう現象
タイヤのひび割れ時の対応方法

- タイヤを交換する
- タイヤの空気圧を確認する
タイヤのひび割れを見つけた場合は、程度によって上記の対応をしてください。
1.タイヤを交換する
タイヤのひび割れが深くなっている場合は、早めにタイヤを交換することが重要です。
タイヤの寿命は、走行距離や使用環境などによって異なりますが、一般的には5年程度が目安とされています。

2.タイヤの空気圧を確認する

タイヤのひび割れが軽度の場合は、タイヤの空気圧を確認して調整することで、ひび割れの進行を遅らせることができます。
車種ごとに違う基準値に従ってこまめに調整することが重要です。
タイヤを交換する際の4つの注意点
- タイヤの種類を確認する
- タイヤのサイズを確認する
- ホイールの状態を確認する
- タイヤ交換作業
1.タイヤの種類を確認する
車種や用途によって、使用するタイヤの種類が異なります。交換する際には、車両メーカーやタイヤメーカーの指定する適切なタイヤを選択してください。
また、変更する場合は、関係法に則ったタイヤの規格を選ぶことが大切です。車両メーカーやタイヤメーカーの指定する適切なタイヤを選択すれば問題ありませんが、サイズの違うものを装着したい場合は、ディーラーやショップの専門家に相談することを強くおすすめします。
2.タイヤのサイズを確認する
タイヤにはサイズがあり、車種やグレードにより異なります。
タイヤのサイズについては、自動車メーカーが指定するタイヤを選びましょう。
3.ホイールの状態を確認する
タイヤを装着するホイールの状態を確認してください。
ホイールにへこみや変形がある場合は、修理やタイヤとホイールをセットで交換を行う必要があります。
4.タイヤ交換作業

タイヤ交換作業を行う際には、適切な道具や技術が必要です。
DIYでの作業には注意が必要であり、特にジャッキアップ中に車両が倒れる事故はあとを絶ちません。自分で行う場合は、十分に安全を確保した上で作業を行うようにしましょう。不安な場合はプロに任せましょう。
タイヤの選び方と注意点
- タイヤの種類
- サイズと性能
- 耐久性
- 燃費性能
- メンテナンス
タイヤは車両の安全性や乗り心地に直接影響するパーツであり、適切な選択とメンテナンスが必要です。 タイヤの選び方と注意点について詳しく説明します。
1.タイヤの種類
車に合ったタイヤの種類を選択することが重要です。スタッドレスタイヤ、夏用タイヤ、オールシーズンタイヤなど、季節や用途によって種類が異なります。
あなたの使用目的や運転環境を考慮して適切なタイヤを選びましょう。
2.サイズと性能
タイヤのサイズと性能も重要なポイントです。タイヤサイズは車種に合わせて選択する必要があり、タイヤの性能には、グリップ性能や静粛性などがあります。
価格だけにとらわれず、優れた性能を持つタイヤを選びましょう。
3.耐久性
タイヤの寿命は、走行距離や使用環境、運転方法によって異なります。
耐久性の高いタイヤを選ぶことで、交換回数を減らし、経済的にも効率的に利用することができます。
4.燃費性能
タイヤの燃費性能も重要なポイントです。 燃費性能の高いタイヤを選択することで、燃費の向上やCO2排出量の削減につながります。
5.メンテナンス
適切な空気圧や回転方向、摩耗状態などを定期的に点検し、必要に応じてローテーションを行います。 また、タイヤの寿命や状態に合わせて、適切なタイミングで交換を行うようにしましょう。
関連記事>>>車のタイヤはどこで買うのが一番いいのか/ディーラーやスタンド、インターネット通販やタイヤ専門店の特徴比較
タイヤのローテーションとは

タイヤの装着場所を交換すること
タイヤを同じ位置に固定して長い間装着していると、様々な影響で外側だけ摩耗するなど、一部分だけが摩耗してしまうことがあります。
大手タイヤメーカーのブリジストンではタイヤの寿命を延ばすために、5000km程度の走行を目安に、1回のローテーション(位置交換)することを勧めています。
タイヤを限界まで使うためには

タイヤの寿命をのばし、限界まで使うためには、以下のポイントがあります
- 車庫などの紫外線のあたらない場所に車を保管する
- 空気圧を常に適正に保ち偏摩耗やひび割れを防ぐ
- 保管する際は、紫外線の当たらない場所に保管し、ひび割れを防ぐ
- タイヤのローテーションをこまめに実施し、均等にタイヤを摩耗させる
これらの方法で、確実に寿命をのばし、限界まで使用することができます。なお、車検の際のタイヤの基準には「全周にわたり1.6mmの溝があること」という基準があるため、ひび割れがなくとも、溝がなくなってしまえば交換しなけば車検に合格できなくなります。

タイヤの保管方法
袋やカバーをかけて、直射日光のあたらない場所に保管するのがベストです。こちらの記事を参考にしてください。
タイヤの寿命
- 制動距離が急激に大きくなる残り溝4mmが、夏タイヤを安全に使用できる寿命の限界
- 溝が残っていても使用開始後5年以上経過で交換を
タイヤメーカー最大手のブリジストン公式ホームページでは、このように記載されています。
「夏タイヤの寿命は10年、15年」と言われることもありますが、そのようなタイヤは、いかに保管方法などを最適に保ったとしても、ひび割れなどが起き、大きく性能が落ちている危険な状態と言えます。早めの交換を心がけましょう。
>>>ブリジストン公式:タイヤの寿命はどれぐらい?知っておきたい交換時期と見分け方
スタッドレスタイヤの寿命についてはこちらに書きました。

タイヤの寿命と走行距離の関係
一般的に、走行距離は4~5万km程度、使用年数は4~5年程度が目安(サマータイヤ)
「夏タイヤは何km走行すると寿命か」と疑問に思う方も多いですが、車種や使用環境、運転状況、保管方法、そのタイヤがそもそも持っている性能、タイヤの空気圧調整などのメンテナンス状態など、様々な要素で決定するため、一概に走行距離や年数では判断することはできません。
走行距離は4~5万km程度、使用年数は4~5年程度というのは、あくまでも目安とし、実際にはディーラーやショップの専門家に相談することをおすすめします。
タイヤのひび割れに関するよくある質問と回答
- タイヤのひび割れの原因はなんですか?
-
以下の6つがあります。
- 経年劣化(寿命)
- 熱や紫外線などの外部要因
- 過大な負荷(悪路走行や過積載)
- タイヤの適度な空気圧の維持不足
- タイヤの偏摩耗
- タイヤワックス(つや出し)の使用
詳しくはこちらを確認してください。
- タイヤのひび割れは危険ですか?
-
タイヤのひび割れが深刻化すると、タイヤがパンクやバーストする可能性があります。また、タイヤのグリップ力や操縦安定性も低下するため、事故につながる危険性があります。
- タイヤのひび割れはどのように点検すればよいですか?
-
タイヤのひび割れは、目視で確認することができます。タイヤの接地面や側面を、タイヤの周りを一周して確認してください。
- タイヤのひび割れを見つけた場合、どうすればよいですか?
-
タイヤのひび割れを見つけた場合、早めにタイヤ交換が必要です。ただし、ひび割れが浅い場合は、そのまま使用しても問題ない場合がありますので詳しくはこちらを確認してください。
- タイヤにひび割れがあると車検に合格できませんか?
-
程度により車検に合格できません。詳しくはこちらを確認してください。
まとめ
タイヤのひび割れはタイヤの寿命が来たサインであることが多いです。車両の安全性を考え早めに交換することが重要です。
また、タイヤのひび割れが深刻になると、グリップ力の低下や破裂する危険性が高まり非常に危険です。タイヤのひび割れが見つかった場合は、基本的にはタイヤを交換することが重要です。
以上、タイヤのひび割れと交換時期についてでした。
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